いくつになっても「名前」を呼びかけても、聞いているのか、聞いていないのか、返事がなかったり無反応であったりするお子さまがおられます。
自分の遊びに没頭している、好きなテレビに夢中になっている…。
いろいろな状況が考えられますが、自分の名前を呼ばれたときには、しっかりと声のする方向へ顔を向けて、「なに?」と反応できるようにしたいです。
名前を呼んでも反応できないことで、家庭の中で注意や叱責が増えたり、集団生活の中で行動することが難しくなります。
どうして『名前を呼んでも反応しない』のか?~その背景と関わり方~
① 聴覚の感度に偏りがある(過敏・鈍麻)
・静かな環境で呼ぶ、声の大きさやトーンを調整する
・視覚的な合図(手を振るなど)も併用する
② 呼ばれることへの意味づけができていない
・名前を呼んだあとに楽しいことが起こる体験を重ねる
・「○○ちゃん、おはよう」など文脈で伝える
③ 他のことに強く集中している
・視線や体の向きで注意を向けてから呼ぶ
・関心のある遊びや場面の合間に呼んでみる
④ 人との関わりへの関心が薄い
・お子さまの好きな物を通じて関わる工夫をする
・一緒に遊ぶ中で呼びかけと反応の経験を積む
⑤ 呼ばれていることに気づきにくい
・近くで優しく声をかけ、顔の表情を見せる
・反応があったときはすぐに褒めて共有する
⑥ 発達の特性(例:自閉スペクトラム症)
・呼びかけにこだわらず、反応しやすい方法を探る
・身体や視覚を使ったやりとりを取り入れる
⑦ 名前への認識がまだ十分でない
・日常の中で名前を何度も呼び、意味づけを高める
・「○○ちゃん、いっしょにやろうね」など具体的に伝える
⑧ 繰り返し呼ばれすぎて習慣化している
・大事な場面でのみ呼ぶようにし、反応しやすくする
・名前を呼んだ後に必ずアイコンタクトや声かけを続ける