講演概要

タイトル : 離散選択モデリングと群集・交通シミュレーション
発表者 : 西田遼 (産業技術総合研究所)
概要 : 人間の選択行動をモデル化する方法は離散選択モデリングと呼ばれ、古くから交通工学や経済学の分野で発展してきました。また、離散選択モデルはマルチエージェントシミュレーションのエージェントのモデルとしても応用されています。本ワークショップでは、これまで群集移動や交通を対象に行ってきた離散選択モデリングやモデルの群集・交通シミュレーションへの応用の研究について紹介するとともに、近年発展が進んでいる、機械学習を用いた離散選択モデリング手法や、マルチエージェントシミュレーションの機械学習分野への応用について共有します。

タイトル : 大規模イベント会場からの退場時における寄り道行動を含む人流の推定
発表者 : 丹羽了 (筑波大学)
概要 : 人間の選択行動をモデル化する方法は離散選択モデリングと呼ばれ、古くから交通工学や経済学の分野で発展してきました。また、離散選択モデルはマルチエージェントシミュレーションのエージェントのモデルとしても応用されています。本ワークショップでは、これまで群集移動や交通を対象に行ってきた離散選択モデリングやモデルの群集・交通シミュレーションへの応用の研究について紹介するとともに、近年発展が進んでいる、機械学習を用いた離散選択モデリング手法や、マルチエージェントシミュレーションの機械学習分野への応用について共有します。

タイトル : 階層的空間グラフデータの因果効果推定
発表者 : 竹内孝 (京都大学, 理研-AIP)
概要 : 観察データから個々の介入効果を推定することは、因果推論における基本的な問題である。空間領域において介入効果を正確に推定するためには、共変量と介入の空間座標をどのように用いるか、共変量と介入が空間的にどのように相互作用するかといった課題に対処する必要がある。本研究では、階層構造を持つ空間グラフデータから時系列結果に対する介入効果を予測する新たな問題を定める。この問題に対処するために、共変量と介入のリッチな表現を学習するために空間グラフの階層構造を活用し、介入結果の時系列を予測するために学習された表現を利用する空間介入ニューラルネットワーク(SINet)を提案する。マルチエージェントシミュレータを用いて、群衆の移動誘導データセットを生成し、群衆の初期位置を共変量、経路誘導を介入、タイムスタンプ毎にゴールに到達したエージェント数を時系列結果とみなし、条件付き平均介入効果を推定する実験を行った。最新の時空間グラフニューラルネットワークとニューラルネットワークベースの因果推論手法をベースラインとして採用し、提案手法が定量的にも定性的にもベースラインを上回ることを示す。

タイトル : 都市交通における理論に基づく渋滞長予測
発表者 : 白上龍 (住友電工システムソリューション株式会社)
概要 : 円滑な交通を実現するためには、信号制御や情報提供などの交通制御を適切に行う必要があり、交通予測はそれを実行するための重要な要素です。そのため、交通予測はこれまで交通工学、深層学習の両面から盛んに研究が行われてきました。特に近年では時空間グラフニューラルネットワーク(STGNN)の利用により、予測性能は飛躍的に向上しています。しかし、これらの先行研究では交通制御において重要な交通指標の一つである渋滞長の予測が行われていませんでした。加えて、渋滞長は他の交通変数とは異なる特徴を持つため、先行研究の手法をそのまま適用しても良い性能が得られない可能性があります。そこで我々は渋滞長予測のために、交通工学の理論と深層学習を融合させた手法QTNNを提案します。QTNNは道路網上の各道路セグメントに存在する渋滞の長さを予測します。東京都の交通データを用いた検証の結果、QTNNは既存のSTGNNモデルに比べて一時間後の渋滞長予測誤差を12.6%削減することがわかりました。また、QTNNは交通理論に基づいて渋滞長を出力するため、予測結果に対する高い説明可能性を有しています。この性質は安全装置としてリスクを避ける傾向にある交通制御に適用するAIモデルとして、大きな利点となります。本発表ではQTNNの詳細を紹介するとともに、AI技術の交通管制への活用についても議論します。

タイトル :マルチエージェント強化学習を用いた集団行動の意思決定メカニズムの探求
発表者 : 筒井和詩 (名古屋大学)
概要 : 人間や他の生物は、多様な環境や異なる生物種との相互作用の中で集団行動を形成してきました。これらの行動は、生物学、社会学などの多岐にわたる研究領域での重要な課題として取り上げられています。特に、協調や競争の中での個体の意思決定メカニズムの解明は、多くの研究者の関心を集めていますが、その分析は容易ではありません。本発表では、マルチエージェント強化学習という先進的な手法を利用して、集団行動の意思決定メカニズムを探る研究事例を紹介します。さらに、この領域の今後の研究の方向性についても議論を深めることを目指します。