これからの学術集会を考える

Designing the Next Normal of Academic Conferences

日 時: 2022年10月6日(木)13時~17時30分(予定)

会 場: オンライン (Zoom Webinar)

主 催: 東北大学 電気通信研究所

共 催: Japan ACM SIGCHI Chapter

協 力: 公益財団法人 仙台観光国際協会

参加費無料.登録いただきました方に接続先をメールでお知らせいたします.

本シンポジウムは多くの方にご参加いただき,無事に終了いたしましたが,ご希望の方には動画をご覧いただけるように用意しました.ダイジェスト版やハイライト版も用意しておりますのでご利用ください.ご登録いただきましたメールアドレスに動画視聴のURLを送らせていただきます.

今,国内・国際会議等の学術集会は重要な岐路にあります.開催形式としてのオンライン/対面/ハイブリッドにはそれぞれメリットやデメリットがあり,各方面で様々な試みがなされています.また,参加者が誰でも全てのプログラムに安心・安全・快適に参加できるアクセシビリティ,そして幅広いダイバーシティにも配慮したインクルーシブな学術集会にしてゆく工夫や,持続可能な社会への貢献も大切になって来ています.また,そもそも「集まる」意味を考え直すことが必要な時期かもしれません.未来を見通し辛い昨今ですが,研究者,学生,企業の方,そしてサプライヤーと呼ばれる方々を含めた多くの方々の活動にとって,学術集会などのイベントが,これからも益々,魅力的で,役立ち続けるものであるように,さらに,市民,国民,ご家族にも応援してもらえるように,皆さんと考えてみる良い機会ではないかと思います.

本シンポジウムでは,学術集会に関わる各方面でご活躍の皆さんに集まっていただき,これからの学術集会について一緒に考えたいと思います.どうぞお気軽にご参加ください.

13:10 Opening

来賓ご挨拶

遠藤 克己(日本政府観光局(JNTO)理事)

司会: 北村 喜文(東北大学 電気通信研究所 教授)

プロフィール: 2010年より現職.2018年より副所長.インタラクティブコンテンツの研究に従事.国際会議 ACM SIGGRAPH Asia 2015 Conference Chair,CHI 2021 General Chair 等.VRST,3DUI,SIGGRAPH Asia,ICAT,EGVE,CHI 等の Steering Committee 委員を務め,その中で2015年から VRST Steering Committee Chair.情報処理国際連合 IFIP TC-13 日本代表.日本政府観光局 MICE アンバサダー.

13:20 - 13:50 最近の国際会議の開催形態・事例紹介 講演 20分・質疑 10分 )

池松 香(Yahoo Japan 研究所 上席研究員 / 東北大学 電気通信研究所 助教)

概要: COVID-19の感染拡大以降,多くの学術集会は,一部を,あるいは完全にオンライン化し開催されるようになりました.本講演では,コロナ禍での学術集会の開催形態について,ACM系列の国際会議を中心に事例を紹介します.オンライン,オンサイト,ハイブリッドでの開催における課題や工夫についても紹介し,情報を共有することで,今後の学術会議のあり方を考える場としたいと思います.

プロフィール: ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI) を専門とし, 特に入出力インタフェース,デジタルファブリケーションの研究に従事.ACM CHI 2022 General Chair AssistantやAsian CHI Symposium (2017, 2018) オーガナイザーなどの国際会議・ワークショップの運営に携わる.

13:50 - 14:20 学術集会のこれから ~研究者の視点と学会主催者の視点 講演 20分・質疑 10分 )

山谷 泰賀(量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部 次長 

概要: 新型コロナウィルスのパンデミックが始まった2020年3月頃から,それまで対面形式が当たり前であった学術集会は中止もしくはオンライン開催が余儀なくされましたが,その後withコロナ社会への理解が進みハイブリッド開催が主流となってきました.選択肢が増えた今,学術集会をよりよいものにするにはどうしたらよいか,私が関わる物理・医学分野の事例を紹介しながら議論したいと思います.大事なことは要素分けと優先順位付けであり,学術集会の本質とは何かを考えることであろうと思います

プロフィール: がんや脳の早期診断に活躍する陽電子断層撮像法(PET)の次世代装置の研究開発で世界をリード.千葉大学,横浜市立大学,東北大学の客員教授も務める.初代MICE誘致アンバサダーとして,原子核物理と医用イメージング応用のメイン学会であるIEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conferenceの2021年大会の日本誘致に成功.同大会は完全バーチャルを余儀なくされたが、2025年に当初プラン通りパシフィコ横浜での開催を予定している.

14:20 - 14:40 Break

14:40 - 15:10 学究生活における文脈の共有と文化的交感 講演 20分・質疑 10分 )

中小路 久美代(公立はこだて未来大学 教授)

概要: これまで30年余りに渡り,数多くの学術集会への参加を通して,国内外の研究者らとの知識の交換と社会的交流を体験してきました.物理的な場に集い語らうことの好都合と不都合,場の共有を端緒とする即時的共創と漸次的連携,移動や宿泊,食事や買い物といった起居を共にすることに起因する獲得と喪失,といったことがらを列挙し,長年に渡る学術交流の多様な様相を振り返ります.

プロフィール: 人の知的創造活動を支援,促進するようなソフトウェアシステムのデザインとその原理の解明についての研究に従事.ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)デザイン,共創的ソフトウェア開発支援,人工知能による創造性支援といった分野において国際的に分野を先導し,国内外の会議運営や学会運営に多数関わる。文部科学省科学技術・学術審議会委員,科研費プログラムオフィサー等歴任.

15:10 - 15:40 会議におけるアクセシビリティ   講演 20分・質疑 10分 )

原 航太郎(Assistant Professor at Singapore Management University)

概要: コロナ禍で,学術集会の形態はZoomなどのツールを用いた遠隔会議へ変化しました.また,対面での集会が解禁されるに伴い,対面・遠隔を織り交ぜたハイブリッド会議が行われています.会議への遠隔参加という選択肢は,障がい者などの学術集会へのアクセスを向上させました.その一方で,会議に使用するツールのアクセシビリティなど,主催者側が検討すべき課題も再認識されました.本講演では,いくつかのSIGCHIの会議を事例とし,オンライン・ハイブリッド会議のアクセシビリティ向上の取り組みを紹介します

プロフィール: 2017年11月よりシンガポールマネジメント大学にて助教として勤務.2016年に米国,メリーランド大学カレッジパーク校にて博士号(コンピュータ科学)を取得.2016年9月から2017年9月までカーネギーメロン大学にてポストドクトラルフェロー.ACM CHI 2021, 2022,ACM MobileHCI 2020においてアクセシビリティチェアを務めた.

15:40 - 16:10 サプライヤーに求められるもの,会議がもたらすもの 講演 20分・質疑 10分 )

村山 公美(パシフィコ横浜 営業推進部 誘致推進課 課長代理

CMP (Certified Meeting Professional), DES (Digital Event Strategist)

概要: コロナ禍における会議のオンライン化,ハイブリッド開催の興隆を経て,対面での会議開催の価値が再認識される今,会議開催の“場”を提供する都市や会場,会議開催に関わるサプライヤーに求められる要件には,以前とは違った傾向も見られます.一方で開催地も,会議開催が地域にもたらす価値を再定義しようとしています.コロナ後の会議においてサプライヤーに求められるもの,会議が開催地にもたらしうるものについて,会場の立場からお話してみたいと思います.

プロフィール: 2015年に株式会社横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)に入社.会議運営サポート業務を経験の後,2016年に誘致推進課に配属となり,以来,国内および国際会議の誘致,および会場プロモーション業務に携わる。2020年12月開催の第2回ICCA AP Summit 2020(国際会議協会 アジアパシフィック部会サミット)推進委員,2022年12月に4回目の開催となる横浜グローバルMICEフォーラムの企画・運営など.日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)企画委員会・副委員長および同タスクフォース・リーダー.

16:10 - 16:30 Break

16:30 - 17:30 Panel Discussion 「学術集会がビジネスに与える新たなインパクト」

学術集会がビジネスに与える新たなインパクトについて産業界から3名のパネリストをお招きしてディスカッションします.

モデレーター

矢谷 浩司(東京大学 大学院工学系研究科 准教授)

プロフィール: インタラクティブ・インテリジェント・システム ラボ ディレクター.インタラクティブシステムに向けた創造的なAI技術の活用,ユーザブルセキュリティ,生産性・創造性支援システムを重点的研究課題としながら,HCI分野の幅広い研究に従事.同分野の学術界に幅広く貢献し,ACM CHI 2022で共同プログラム委員長を務めたほか,CHI,UIST,UbiCompにおいてスポンサーシップ担当委員を務め,産業界と学術集会の連携に精力的に取り組んでいる.

パネリスト

淺野 正太郎株式会社 Save Medical 代表取締役社長

プロフィール: ㈱リクルートに新卒で入社後, 広告営業や海外事業開発に従事. 2014年のシリコンバレー駐在では現地ベンチャーキャピタル子会社の拠点設立と国内外のデジタルヘルス投資/事業開発を担当し, 医療にITプロダクトを実装するハードルや手法について感銘を受ける. その後, ㈱日本医療機器開発機構の事業開発ディレクター及び聖路加国際大学公衆衛生大学院を経て2018年にSave Medicalを創業. 治療機器としてのソフトウェア開発に取り組んでいる. 疫学修士(MPH).

パネリスト

井尻 善久 (LINE株式会社 AIカンパニー AI開発室 室長)

プロフィール: LINEの注力戦略の一つAI技術に関わる研究開発をリード.研究とビジネスをつなぐ組織づくりに向けてチームビルディング、研究開発を実施.兼務でコンピュータビジョンラボもリードしており,画像とLINEのAIアセットをつなぐ研究開発も実施.国内外の研究発表を通じ,様々共同研究先と出会い,最先端技術の導入等を実施してきた.

パネリスト

湊 和修(TechDoctor 代表取締役)

プロフィール: IT企業で米国小会社副社長や新規事業責任者などを担当.その後,慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室 研究員.研究プロジェクトリーダーとして勤務しPHRコンソーシアム立ち上げなどを担当.その後2019年に株式会社テックドクターを設立.日本製薬医学会会員.デジタルヘルスアライアンス正会員.テックドクターでは大量のデータの医療活用を精神科における研究で取り組む中で、特にウェアラブルデバイスデータの臨床研究活用のシステムやメンタルヘルスにおけるサポートを行うプロダクトなどを開発.

17:30 閉会の挨拶

山下 直美(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 特別研究員 / 京都大学 客員教授

ACM SIGCHI Executive Committee, Vice President At Large

プロフィール: ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)分野,協調作業支援(CSCW)分野の研究に従事.特に,ウェルビーイング,インクルーシブな社会の実現に向けた情報技術の研究開発に力を入れる.2021年にACM SIGCHI Executive CommitteeのVice President At Largeに選出され,SIGCHIコミュニティの拡充やアジアにおけるHCI分野の発展に取り組む.



関連イベント

東北大学 電気情報 産学官フォーラム 2022
10月7日(金)ハイブリッド形式で開催(東北大学 電気通信研究所+オンライン)※ ご参加には事前登録が必要です

通研公開(東北大学 電気通信研究所 オープンハウス)
10月8日(土)9日(日)
(東北大学電気通信研究所)
※ ご参加には事前登録が必要です