太陽光発電量
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金
地球温暖化対策のため,化石燃料発電に代わる自然エネルギーを利用した発電が緊急の課題である.2020年には太陽光発電量が水力発電を抜いたという.ウエブ上では,太陽光発電や大容量蓄電池を用いたエネルギー自給率70%超の住宅を発表」,「100%ソーラー発電による工場を実現」,「オール電化キャンペーン」などの情報が溢れている.一見順調にみえるが,一方では再エネ賦課金や化石燃料の高騰で家計への影響は無視できない状況という.もともと家庭の電気料金には,消費税の外に割高な太陽光発電を買い取るために,「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が上乗せされて徴収されている.標準家庭 (300kWh/月)の場合,年間12098円(2021)に達している.2013年(1260円)の10倍にあたる.これは2030年まで続くことが決まっていて,家計の圧迫は避けられない.我家の場合,消費税の1.56倍の賦課金(2220円/月,今年8月16日ー9月19日分)が徴収されていた.
再エネ賦課金単価
2012年 0.22円/kWh
2015年 1.58円/kWh
2018年 2.90円/kWh
2021年 3.36円/kWh
正直言って,水道料金,ガズ料金,電力料金について真剣に考えたことはなかった.そこで改めて我国における発電の現状を調べてみた.資料は経済産業省資源エネルギー庁の電力調査統計を利用した.各年度の資料を抽出し整理した資料が環境エネルギー政策研究所により公開されているので,それを使用させてもらった.グラフ化はGoogleスプレッドシートを利用した.
総電源を原子力,火力,自然力に荒分けし,グラフ化したものをAに示した.自然エネルギー(自然力)を利用した発電の割合が着実に伸びていることが分かる.ここ2,3年は年1%の伸びである.火力,自然力の中身についてはグラフBを見てほしい.火力発電はLNG,石炭,石油である.
A 電源構成推移(3分割) 2020年の自然力発電は20.8%
B 電力構成推移(9分割) 2014, 2015のLNG, 石炭は総火力を当分
自然力発電は水力,バイオマス,地熱,風力,太陽光によるものであるが,着実に増加しているのは太陽光発電であり,2019年に水力と肩を並べ,翌年には水力を抜いた(グラフC).グラフDは2020年の内訳である.
C 自然エネルギーの推移
D 2020年電源構成 地熱2.25%
自然エネルギーの中で,太陽光はそれなりに増加傾向にある.動植物などから生まれた生物資源を「直接燃焼」したり「ガス化」するなどして発電するバイオマス発電も増加傾向ではあるが,太陽光ほどではない.風力は微増,水力,地熱はほとんど変化がない.
水力,地熱に較べると設備投資が少ないためか,熊本県内でもあちこちにメガソーラー発電所の建設が進められている.建設中のものを含めれば67箇所におよび,水力の59箇所を超えている.それに伴う土砂崩れなどの問題を引き起こしている.また,阿蘇外輪山の風力発電所は熊本地震で使用できない状況になっている.
再生可能エネルギー発電促進賦課金について
自然災害を引き起こす地球温暖化を防止するためには,炭酸ガスの排出を減らす必要があり,そのために化石燃料に代わる自然エネルギーの利用促進が必要であることは誰もが認めるところであるが,そのために応分の負担をしろと言われると俄には賛成できない雰囲気がある.ところが,こっそり満遍なく徴収するために「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が作られている.固定買取価格は.太陽光発電の場合,実際の発電コストよりかなり高額の「40円/kWh以上」に設定された.ところが,40円/kWh前後という高額で電気を買い取る電力会社は赤字を抱え込むことになってしまう.そこで国は,電力会社に赤字分(+通常利益分)を補填する費用を捻出するために,電気を使用するすべての国民からその費用を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という形で徴収することにした.固定買取価格は期限があるので,再エネ賦課金は,2030年にピークに達し,2048年頃には0円になると環境省は予測している.2020年(20.8%,23%との情報もある)には2030年の目標値(22~24%)近くに達しており,そのため賦課金は既に当初の予測より高い金額になっている.
今後,7月に菅政権が表明した「2030年度に温暖化ガスの排出量を2013年度に比べて46%減少させる」という目標に伴い,2030年の自然力発電目標を22~24%から36~38%に14%引き上げるという方針が現実になると,今後どうなるか正確なところは分からないらしい.「自家消費型太陽光発電」を設置して電力会社からの購入電力量を削減すれば問題はないが,高齢者には今更の感が強い.
追記
再生可能エネルギー賦課金は税金みたいなものだが, これにも消費税がとられていることを知った.
参考資料
2020年の自然エネルギー電力の割合(暦年速報)(環境エネルギー政策研究所)
電源 水力 バイオマス 地熱 風力 太陽光 石炭 LNG 火力他 原子力 火力 自然力 VRE
2014 8 1.5 0.24 0.47 1.9 43.95 43.95 0 0 87.9 12.1 2.4
2015 8.6 1.5 0.25 0.5 3 42.85 42.85 0 0.4 85.7 13.8 3.5
2016 7.6 1.9 0.22 0.54 4.4 30.2 38.9 14.5 1.7 83.6 14.7 5
2017 7.6 2 0.21 0.61 5.7 30.2 38.4 12.2 2.8 80.8 16.4 6.3
2018 7.8 2.2 0.22 0.69 6.5 28.2 37.4 12.3 4.7 77.9 17.4 7.2
2019 7.4 2.7 0.24 0.76 7.4 27.8 36 11.2 6.5 75 18.5 8.2
2020 7.9 3.2 0.25 0.86 8.5 27.6 35.4 11.9 4.3 74.9 20.8 9.4
(総)火力=石炭+LNG+その他の火力, VRE=風力+太陽光