障害者支援施設 楽(がく)は、東京都の西のあきる野市に2016年に開設し、生活介護(定員44名)、施設入所支援(定員32名)、短期入所(運営定員14名)の事業を展開し、主に身体の障害(肢体不自由)のある方を対象にした障害者支援施設です。入所者の利用にあたっては、東京都の利用調整を経て入所される仕組みになっており、重度重複された障害をお持ちの方が優先的に入所する施設です。入所者は全室個室での入居であり、利用者の支援ニーズや安全・安心の取組みに職員が一丸となって支援を行っています。
併設施設として上代継在宅地域支援センター(生活介護と児童発達支援センターの多機能型、相談事業)と上代継診療所があり、同じ建物内で医療と福祉の両面から地域の障害児者への支援を行っています。
楽では、令和5年度に東京都の障害者支援施設等デジタル技術活用支援事業を活用し、入所利用者さんの見守り機器を導入しましたので報告します。
中心となるデジタル機器について
バイオシルバー社 aams(アームス)介護 32台
バイオシルバー社 aams(アームス)介護用感圧センサー 32台
ネットワークカメラ 32台
デジタル機器を活用するための環境機器
管理サーバー 1台
ノートパソコン 2台
スマーフォン端末 10台
wi-fi環境設備 工事を含め 一式
aams(アームス)の本体です
起き上がりを即座に感知するセンサーです
ベッドに掛けるコンパクトな操作部です
入所者32名のベッド上での様子が俯瞰できます
スマートフォンで、職員が携帯し観察することが可能です
アラーム発報時に、パソコンやスマホから利用者の様子が確認できます
令和5年度に、機器を設置し業者から説明などを受けて、本格的な活用は令和6年度から開始しました。
個別支援に照らし合わせて機器の具体的な活用を進めるため、「アームス活用プロジェクト」を立ち上げ、利用者のニーズに合わせることはもとより、職員の業務軽減や安心感につながるように、デジタル技術をどのように活用するか提案し、実際の業務に取り入れて評価してきました。以下、夜間の利用者支援における活用事例を紹介します。
Aさん 交通事故の後遺症
深夜に目が覚めるとご自分の排泄物を手で触れてしまって、全身が汚れてしまうことが度々ありました。夜勤の人員体制では、シャワーなどもできず充分きれいに整えることができませんでした。
睡眠中に目が覚め、体動が見られた時の動きを感知するようにaamsで調整し、Aさんの起床時の動きについて細かく設定しました。深夜に目が覚めたタイミングでAさんの様子をうかがうことで、全身が汚れてしまうことを未然に防ぐように支援が出来ています。
Bさん 脳性麻痺
夜間になると目がさえてしまって、ほかの利用者のお部屋に移動して、お部屋にあるものをいたずらしたり、廊下にあるものをばらまいたりすることが、度々ありました。
Bさんの夜間に目が覚める状況をaamsを通して確認できるようになりました。また、ベッドから離れると感知して、夜勤の支援員が様子をうかがえるようになり、行動制限をせずに事故につながらないように工夫ができています。
そのほかにも、呼吸状態で一時的に血液中の酸素飽和度が低下してしまう心配がある利用者にSPO²モニタを装着し、ネットワークカメラでモニタの値を看護師、支援員で共有して確認することなどにも応用して利用させていただいています。
今後の利用者支援と職員の業務軽減や安心感につながるように工夫して活用していきます。