MMEZ SC03
『猫の女王の冒険』シナリオソース
暗殺者フレイムトロールVSシージブル
『猫の女王の冒険』シナリオソース
暗殺者フレイムトロールVSシージブル
・M!M!TRPG用のシナリオです。
・使用する戦闘データなどに関しては参加者や戦力によってその場で決めていますので、これは物語のみの「シナリオソース」とします。
・本シナリオは「イージーモード」を用いて、1名あるいは2名のプレイヤーを相手にGMアドベンチャーをするというコンパクトなセッションをイメージしています。「猫の女神の冒険」をGMアドベンチャーとして遊ぶときに挿入するエピソードとしても使用できます。
・ズィムララには魅力的なモンスターがたくさんいます。それらをイージーモードにコンバートしてナラティブに遊ぶ、という試みとしてこのシナリオは作成されました。
■大胆な暗殺者
セクメト宮殿で一室を与えられてくつろいでいるPCのもとに、女悪魔テン=メアが慌てて飛び込んできた。放火能力を持った敵が宮殿内に侵入し、すでにタイガリアンによる親衛隊の一個小隊と交戦状態にあるという。
侵入してきた敵はフレイムトロールである。岩石でできている少年のような姿をしており、瞳や口はオレンジ色に輝き、カボチャのランタンのように見える。コミュニケーションが可能で、基本的に陽気で愛想が良い魔法生物だが、戦闘状態になるとその岩が部分的に溶岩へと変わり、強い炎熱を発する。
このモンスターのデータはMonstrrary of Zimlalaに掲載されているが、イージーモード用として次のデータを用いること(オリジナル)。
フレイムトロール
イージーモード用特徴:
・火への耐性:火の攻撃によるダメージを受けない。
・射撃武器無効:飛来した矢弾を熱で破壊してしまう。
・超再生:耐久力を回復する。イージーモードにおいては、3連続でダメージを与えないと倒すことはできない。
・引火:フレイムトロールの攻撃が命中したとき、1d6を振り、6の目が出たときは着衣に引火する。この炎はフレイムトロールを倒すまで消火することができず、1ラウンドに1回のダメージを与え続ける。
■フレイムトロール VS タイガリアン
宮殿護衛のタイガリアンは1個小隊16名で構成されている。
PCが到着したとき、すでにそれを隊長は黒焦げになって横たわっており、勇猛であるが統制を失ったタイガリアンたちは意を決して次々とフレイムトロールに挑むが、再生能力に手を焼き、そのうち引火して絶叫を上げて倒れ伏してゆく。
女神セクメトは上層の部屋で「おひるね中」とのことである。
もちろん女神の介入を仰げばこれぐらいの敵は一蹴されることだろうが、親衛隊もテン=メアも女神の眠りを妨げたくないと思っている(あるいは女神の機嫌を損ねたら、ネズミにされて喰われてしまう、とも怯えている)。「上には行かせない」と強調すること。
フレイムトロールは子供っぽくけたたましい笑いを上げながら「どうしたんだい、ボクと遊んでくれる奴はいないのかい」とタイガリアンたちを挑発する。
そのフレイムトロールが一か所にとどまっていると、熱で床が溶解してゆくのが判る。
PCが思いつけば、あるいはテン=メアの助言によって、女神から離すためにも、このまま下に落としてしまおう、という作戦をとることになる。
4ラウンドの間、激しく戦闘したとき、あるいは相当する時間、フレイムトロールが発熱した状態で引き留めることができたとき、床は崩壊して下層へと転落する。フレイムトロールは敏捷度においては優れていないので、この崩壊から逃れることはできない。
一緒にいた者はSR2で避難することが可能である。あるいは落下して耐久力に1ダメージを受ける。
■第一下層の戦い
エントランスから落ちた下層は、兵士たちの控え室となっている。広間の中央には訓練のための対戦ができるスペースがあり、おあつらえ向きのようだ。
非番だった兵士たちも、慌てて集合してくる。彼らは女神への忠誠からフレイムトロールに挑みかかるが、常に敗北を喫してしまう。
壁にはいくつかの武器が立てかけられており、さまざまな効果がある。PCが使用してもいいし、他の者に使わせてもいい。
・メデューサの楯:目隠しされたメデューサの頭が貼り付けられている楯。一つではなく、6つぐらいが壁のラックにかけられている(メデューサは1体ではないのだ)。メデューサの視線には石化効果があるが、フレイムトロールはもともと岩石なので効果がない。フレイムトロールに楯を向けると、メデューサたちは熱い熱いと文句を言う。さらに、これらのメデューサは蛇族として、悪神アぺプに属するもので、セクメトの敵であり、セクメトの悪口を口々に叫びたてることになる。
・長槍:6本の槍が壁にかかっている。長槍によって離れた場所からフレイムトロールを攻撃できる。判定がフレイムトロール側の勝ちとなったときでもPCはダメージを受けないが、槍は壊れる。
・炎の宝剣と氷の宝剣:対になっている魔法の剣(ただし装飾要素が強いため、武器として強力なわけではない)。炎の宝剣はフレイムトロールに効果を与えず、また、トロールはこれを見ると奪って使おうとする。この場合、トロールが敵に与えるダメージが+1されることになる。一方、氷の宝剣はフレイムトロールに対して+1ダメージを与えることができる。しかしフレイムトロールもそれを警戒し、この攻撃を受けると(あるいは受けそうになると)フレイムトロールは体の熱放射を高めて、ボーナスダメージを無効化しようとする。その一方で発熱によって床が崩壊する速度は倍になってしまう。
■第二下層の戦い
さらに転落が起こった第二下層は調理場と食糧庫となっており、雇用された多くのズィムや他のモンスターが立ち働いている。そのなかに腕のいい伝説の料理人チンザノもいる。
チンザノは片目のズィムであり、四本の腕で包丁を使いこなすことができる。職人かたぎの威勢のいい人物であり「どこのガキかしらねえが、板前の聖域に土足で踏み込んだ奴は許されねえ」と言ってフレイムトロールを迎え討とうとする。
チンザノは倒されてしまうが、「見えた、奴の弱点は……この下の層に」と呟いてこときれる。
しかし、調理場には床に鉄板が貼られており、これまでのように床を崩して落とすことはできない。
隣の部屋、メイドのロッカールームに誘導すれば、床が保護されておらず、フレイムトロールを落とすことができる。メイドたちはすでに避難しているだろう。フレイムトロールはメイドの衣装や私物を見て興奮し、発熱して階下に転落する。
■第三下層の戦い
第三下層には水槽があり、セクメト女神も好物である魚を育てる生け簀となっている。
水のなかに落ちたフレイムトロールは悲鳴をあげ、湯煙に包まれ、倒されたかに見えるが、発する熱は水を蒸発させるほどであり、「この程度で俺を倒せると思うな」と怒りの表情で現れます。フレイムトロールによって水はどんどん干上がってゆく。
生け簀のなかの魚たちも泳げずに、陸に打ち上げられたようなような状態となる。
しかし、PCたちはその中に「シージブル」という野菜を発見する。
これは海に育つ大きな玉ねぎで、食肉生物でもあり、蔓を絡みつかせて対象を捕食することができる。吸血鬼でも食べられる玉ねぎということで愛好されているらしい。
フレイムトロールには蔓の力程度では通用しないのだが、もうひとつ、この玉ねぎは中に酸を持っており、投げつけると破裂してその酸を相手に浴びせることができるという特徴がある。
SR3でシージブルをフレイムトロールに命中させることができる(様々な大きさのシージブルがあり、それによって難易度を変えたり、ダメージを変えたりするといいだろう)。投げつけると、フレイムトロールは最初はなんのダメージも自覚しないが、すぐに酸によって自分の身体が溶け砕けてしまうことに気づく。
■フレイムトロールの敗北
無敵を誇ったフレイムトロールだが、敗北を予感するとすぐに降伏する。
彼は自分はトゥー=エバンの街でAPPと名乗る勢力に属する者に、セクメト女神に挑むようにそそのかされたと告白する。元来の調子のよさから、自分が女神に実力を認めさせるという野心に取りつかれ、宮殿を襲撃したという経緯である。
フレイムトロールをどう処断するかは、PCに託される。
降伏してセクメト女神の配下にする、ということであれば、セクメトは鷹揚にそれを受け入れるだろう(そもそもフレイムトロール「程度」を敵として認識してはおらず、しばらく便利な道具や玩具として彼を扱うだろう)。
受け入れずに処刑することもできるが、彼は魔法生物なので、なんらかのきっかけで復活することもある。そのときは恨みを持つことになるだろう。
フレイムトロールは、おそらくはトロウルワールドで魔法生物として強力な魔術師によって作り出された魔法生物であり、現在はその記憶をすっかり失っている。彼を仲間や友人として迎え入れるなら、名前をつけると喜ぶだろう。
フレイムトロールの攻撃によって死傷したと思われた者たちは、かろうじて命を保っており、セクメトの配下の神官たちによって治療される。もちろん彼らはフレイムトロールに強い怒りと憎しみをもっているが、フレイムトロールの側はさして気にしていない。
そしてズィムララの冒険は続く!