MMEZ SC01
『猫の女王の冒険』シナリオソース セクメットズーの逃亡者
『猫の女王の冒険』シナリオソース セクメットズーの逃亡者
・M!M!TRPG用のシナリオです。
・使用する戦闘データなどに関しては参加者や戦力によってその場で決めていますので、これは物語のみの「シナリオソース」とします。
■逃げたアリクイ
セクアテムの北東には「セクメットズー」がある。これはセクメトが興味深い生物たちを集めた動物園であり、ある者たちには「箱舟」として知られている。
ある日、タイゲリアンのアルシザーが目を血走らせてPCのところにやってくる。彼は珍しい大アリクイをセクメットズーを納入したばかりなのだが、飼育小屋に入れた翌朝に、大アリクイは床に大穴を開けて逃げ出してしまったのだ。大アリクイはただの珍獣ではなく、なんでも溶かす液を分泌することができ、攻撃的で人を喰う習性もあるという。
動物園の飼育担当者であるグレムリンのフォゲッターはセクメト神の怒りを恐れ、アルシザーに「まだ納入していないことにしてくれ」とすがって頼んでいる。
アルシザーはどう対処するのがベストなのか判らず、PCに相談に来たという次第だ。
■オオアリクイの襲撃
大アリクイは四腕のトロールであるズィムの旧地下都市に入り込んでしまっている。
この地下都市はセクアテムが発展した現在はほとんど使われておらず、部分的に下水道や貯蔵庫として用いられているだけだ。
地下都市の案内人、ズィムのホララドは大アリクイなど知らない、興味もない、と最初は応対するが、すぐに大アリクイによる被害が出始めたことから、顔色を変える。大アリクイはズィムの労働者を次々を惨殺し、悲嘆にかられた未亡人たちはセクメト様に直訴をすると言っている。
もちろん、セクメトに大アリクイの逃走がばれてしまっては、アルシザーは皮を剥がれて女神の足ふきマットとしての奉仕を強いられることになるだろう。
もちろんホララドもズィムの誇りにかけてオオアリクイを討伐したいと思っているが、地下道を溶かして現れる神出鬼没のオオアリクイに手を焼くことになる。ホララドの同行なく地下都市を探索するのは非常に困難だ。複雑な旧都市のなかで迷い、野垂れ死んでしまうことになる(しかし、ここはズィムにとっては庭同然なので、そのまえに救出されるだろう)。
■オセロメーの力
オオアリクイの天敵はテスカトリポカ神に仕えるジャガーの戦士オセロメーである。というのもオオアリクイは水を好み、水中を泳ぐことができるのだが、タイゲリアンは水が苦手だ。それに比べてジャガーは水中を泳ぎ、ワニを捕食することすらできる。
アルシザーはセクメトのピラミッドに姿を見せる『シラザルナスの神官』と呼ばれる神秘的な隠者に、オセロメーになるアミュレットを借り受けている。彼はゲートを超えてオオアリクイの生息地へ行き、オセロメーになってこれを捕らえたが、ゲートが再び開くには来年まで待たなければならない。またアミュレットの変身能力の恩恵は一生に一回しか受けることができない。
アルシザーはこのアミュレットをグレムリンのフォゲッターに貸そう、と申し出たが、グレムリンは戦うなどとんでもない、と逃げ腰だ。タイゲリアンもオセロメーと同じぐらいに強いはずで、なんなら虎柄がジャガーに見えるように斑点を描き足してやるから、とフォゲッターは言うが、アルシザーはこれを侮辱にかなり近いものだとも受け取っている。
ズィムのホララドはこの話を聞いても、オセロメーのアミュレットを使いたくないと感じる。彼はエヂプトに神々が戻ってきて以来、あまりに安易に魔法が氾濫していることに危惧を感じているからだ。しかし必要があれば使うことをしぶしぶ受け入れる。
オセロメーの身体的能力はタイゲリアンの能力値修正を参考とするが、(オオアリクイの特殊攻撃を封じる能力の他に)変身するPCの種族にあわせてなんらかの特別な恩恵を準備する。
■オオアリクイの能力
オオアリクイの主食はアリやシロアリである。動物園から逃亡した後、オオアリクイは下水道でウジを食べながら生きながらえているが、捕食量が少ないことと、汚染による雑菌感染で体力が落ちていっている。
そのおりに、ズィムの労働者がナツメヤシの実を地下貯蔵庫に運ぶところに出くわし、これを襲撃し、腹を満たすことになった(誤解があるが、ズィムや他の生物を捕食したわけではない)。
このオオアリクイは舌のまわりから強力な溶解液を分泌することができ、敵の防御点を攻撃1回につき2d6まで削減してしまう。この攻撃によって相手の身体に穴を開けることが、吸血するように見えることがある。
敵に出会うと立ち上がって仁王立ちになって爪を拡げて敵を威嚇する。そのまま体当たりするような初回攻撃においては攻撃点を倍に数えることができる。ただしオオアリクイはオセロメーを恐れているので、オセロメーに対してはこの威嚇攻撃を行うことができない。
これらのオオアリクイの能力はINTのSRの成功1レベルごとに1つの情報を知ることができる。あるいはオオアリクイに襲撃されたズィム達から知ることができる。
MRについてはPCに応じてGMが調整してよい。しかしオオアリクイは衰弱しつつあり、1日あたり10のMRをおのずから失ってゆく。対応が遅れれば、瀕死の、もしくは哀れな死骸となったオオアリクイを発見することになるだろう。
■オオアリクイとの遭遇A
PCが下水道を歩くとき、そこにワニ型の怪物、ドゥルドゥフォムが出現する。これはかなり強力な敵であり、地下水路に現れることは極めてまれだが、この環境に適応しているようだ。
ホララドは地下都市の安全のために、ここでこの怪物を片付けておきたいと考える。
しかし、一行がドォルドフォムを倒す前に、水中からオオアリクイが現れてこれを攻撃する。強靭な甲羅がオオアリクイの溶解液で溶かされるのを目の当たりにして、一行はオオアリクイが強敵であることを思い知らされることになる。
オオアリクイはこの遭遇の後、逃げ去る。
■オオアリクイとの遭遇B
オオアリクイが地下蟻の巣で餌をとっているのを目撃する。オオアリクイは地下トンネルの壁を強力な爪ではがし、その裏に巣をつくっていたオオアリ(MR20)の卵を捕食する。オオアリは必死で攻撃するが、オオアリクイは邪魔そうに振り払うばかりで相手にしない。
一行はオオアリクイを攻撃しようと試みても、気が立っているオオアリが立ちはだかることになる。
■リレッキとの遭遇
セクメトに敵愾心を持つリレク教徒の秘密教団が、このセク=アテムに侵入している。三名からなるそのグループと遭遇する。
彼らはAPPと名乗る過激派で、悪神アぺプを崇めているが、その実はデーモンに騙されている。彼らはまだ下準備の状態で、地下から繁栄した社会を襲撃する手段を考えているが、今なんらかの破壊活動を行う意思はない。遭遇がどのようなものになるかはPC次第である。セク=アテムにさまざまな陰謀が存在することを印象づけるための遭遇である。
■開かずの扉の宝物
ズィムの地下都市を探索するうち、大きな石扉がオオアリクイの分泌液によって大穴が開けられているのを発見する。ズィムのホララドが同行している場合は非常に驚く。ここは鍵が失われ、ずっと開かない宝物だったからだ。
中には、鈍い光を放つ鉱石が積み上げられている。これは原始時代のズィムが収集した鉱石であり、精錬の必要があるが、金をはじめとする貴金属である。
ズィムはこれらが自分たちの継承した財産であると思っているので、PCたちが発見者としての分け前を求めた場合、関係は緊張したものとなる。これによって仲たがいが起こった場合はズィムはPCたちと共闘せず、ズィムたちはPCの力を借りずに戦うことになって敗北してしまう。
■オオアリクイとの戦い
宝物庫の中に隠れていたオオアリクイが立ち上がり、一行を威嚇してくる。
正しい対応はまずは「(攻撃点が倍になる)初撃を喰らわない」ということである。正しい対処ができない場合やなんらかの不運で全滅を喫した場合、PCたちは「時計をもったフクロウ」の夢を見る。それとともにオオアリクイと遭遇した時点に不思議な力で巻き戻され、再び対戦方法を問われることとなる。
■大団円
いかなる形でもオオアリクイの事件に終止符を打ち、生還すればPC達は勝利者である。その冒険を称え、経験点を与えよう。そしてズィムララの冒険は続く!