日時:2026年9月28日(月)13:30 〜 9月30日(水)12:00(予定)
場所:(公益財団法人)国際高等研究所
〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3
世話人(五十音順):
飯間 信(広島大学)
石川 拓司(東北大学)
石本 健太(京都大学)
紫加田 知幸(水産研究教育機構)
中垣 俊之(北海道大学)
共催:
(公財)国際高等研究所
自主研究「横断数理科学の新規開拓」(代表者 山田道夫)
科研費基盤研究(A)「複雑状況で奏功する原生生物の行動知能ヒューリスティクス」(代表 中垣俊之)
科研費学術変革(A)(21H05309)(代表者 石本健太)
JST-CREST(JPMJCR25Q1)(代表者 石本健太)
学術変革領域A「ジオラマ行動力学」[1] では,アメーバやゾウリムシといった原生生物(単細胞真核生物)の複雑環境における適応的な行動に着目し,流体力学に代表される環境のダイナミクスを踏まえた定式化を行なってきた.系統的な複雑さを取り入れた実験室実験(ジオラマ実験)の手法と,時間発展を記述する行動力学方程式による数理モデリングにより,環境の複雑さが細胞行動の複雑さを生み出しうることが,具体的な細胞行動を通して明らかになってきた.また,海洋プランクトンの行動は,生態系や地球環境に影響を与えるが,このような時空間的な階層構造を接続するための数理モデリング手法の研究プロジェクト[2]も立ち上がっている.
細胞行動のメカニズムを記述する逐次的な方程式は,知能の原型ともいえる原生知能アルゴリズムと言える.一方,これらの細胞行動は,採餌や生殖,逃避行動として,特定の目的関数の最適解探索アルゴリズムとしても捉えられる場面もあるだろう.しかし,逐次的なルールによる行動の創発と,目的関数の大域的な最適化は,それぞれボトムアップとトップダウンという同じ現象の異なる側面からアプローチであり,双方向的な理解は容易ではない.動物行動学においては,ティンバーゲンの提示した至近要因(how)と究極要因(why)の問いに対応しており,ある種の対立構造をもたらしてきた.
細胞行動研究の利点として,対象の実験的操作可能性や再現可能性が高いこと,細胞内部 of 化学反応や環境の力学過程の数理モデリング基盤が確立していることが挙げられる.これにより,身体と環境の連成系を数値的にも実験的にも検証しつつボトムアップ的に記述できる手法となっている.このようにして得られた原生知能アルゴリズムは,多細胞生物である後生動物の認知や計算,それらの集団である生態・社会・進化へどのように適用できうるのだろうか.本プロジェクトでは,多様な対象における「知能」研究との共通点や相違点を数理構造の視点から捉えることで,原生知能アルゴリズムの展開可能性を探る.
[1] 科研費・学術変革領域A「ジオラマ環境で覚醒する原生知能を定式化する細胞行動力学」(2021年度〜2025年度)(代表:中垣俊之)
[2] JST-CREST「超階層流体数理による細胞行動の予測と制御」(2025年度〜2030年度)(代表:石本健太)
多様な対象における「知能」研究との共通点や相違点を数理構造の視点から捉えることで,原生知能アルゴリズムの展開可能性を探る.具体的には,
原生知能アルゴリズムと後生動物の情報処理を扱う計算論的神経科学手法の比較
化学反応として実装されている原生知能と神経によって実装されている後生動物知能の比較
機械学習から発展した人工知能に対する,数理としての共通点と相違点探索
動物行動学や進化生物学,認知科学や科学哲学,社会科学への展開可能性の探索 などを想定している.