2021年11月13日(土曜日)

確率論研究会

開催方法: zoomと対面のハイブリッド(関西大学千里山キャンパス)

日程

2021年11月13日(土)

プログラム

10:20-11:00 塩沢裕一 (大阪大学)

  • タイトル:Symmetric non-local Dirichlet forms with singular coefficients: compactness and transience

  • アブストラクト:本講演では,$L^2({\mathbb R}^d)$ 上の非局所型ディリクレ形式から生成されるマルコフ半群が,(非)コンパクトおよび過渡的であるための十分条件を,ディリクレ形式に付随した係数の無限遠方での多項式増大度および減衰度により与える。さらに,これらの十分条件が精緻であることを,具体例を通じて確かめる。マルコフ半群のコンパクト性に関する結果は,Jian Wang 氏 (Fujian Normal University) との共同研究に基づく。

11:10-11:50 土田兼治 (防衛大学)

  • タイトル:Differentiability of spectral functions for symmetric Markov processes with a tightness property

  • アブストラクト:スペクトル関数とは、シュレディンガー作用素のスペクトル下限から定義される関数である。これまで、シュレディンガー作用素の主要項がユークリッド空間上のブラウン運動や対称安定過程の生成作用素であって、そのマルコフ過程の状態空間が比較的低次元のときはスペクトル関数は微分可能であり、高次元のときは微分不可能であることが知られていた。本講演では、対称マルコフ過程の対称化測度がある種の緊密性をもつ場合においては、状態空間が高次元の場合にもスペクトル関数は微分可能であるという結果を報告する。また時間があれば、大偏差原理との関係、具体的なマルコフ過程の例についても述べる予定である。本研究は、隂山塁氏(防衛大)との共同研究である。


13:40-14:20 豊川永喜(九州大学)

  • タイトル:マルコフ作用素に対する不変測度の存在と一次元ランダム力学系への応用

  • アブストラクト:本講演では,確率空間上で定義されるマルコフ作用素に対する$\sigma$-有限不変測度が存在するための必要十分条件を与える.本主結果の応用として,単位区間上の区分凸写像を確率的に反復することで得られるランダム力学系について,ルベーグ測度に絶対連続な$\sigma$-有限不変測度の存在を示し,さらに不変測度が無限測度となる十分条件について報告する.本研究の一部は愛媛大学 井上友喜氏との共同研究に基づくものである.


14:30-15:10 畑宏明(一橋大学)

  • タイトル:Expected power utility maximization with delay for insurers under 4/2 stochastic volatility model

  • アブストラクト:本講演では、次の設定の下で、保険会社のべき型期待効用を最大化する最適投資再保険問題を扱う.

4/2 確率ボラティリティモデルを用いた解析

保険会社の現在の富への資本の流入または流出が存在し、資本の流入/流出の量は保険会社の富の過去のパフォーマンスに比例する場合の解析 (delay) (このとき、保険会社の富のプロセスは確率的遅延微分方程式(SDDE)としてモデル化される.)

終端時刻での資産と平均パフォーマンス資産の組み合わせのべき型効用関数を用いる

富過程には遅延変数が含まれているため、HJB方程式を導出するための動的計画原理は適用できない.そこで、確率的最大値原理を適用して、FBSDEs導出し,解を得ることによって、最適投資再保険戦略を構成する.本研究は、安田和弘氏(法政大学)との共同研究である.


15:30-16:10 天羽隆史(福岡大学)

  • タイトル:黒色雑音の数値計算例

  • アブストラクト: B. TsirelsonとA. M. Vershik(1998)は白色雑音とはまったく異なる性質を持つ雑音を構成した。もともとは確率空間の非線形な連続テンソル積というような用語が当てられていたが、この類の性質を持つ系は後にTsirelsonにより黒色雑音と名付けられた。その抽象的な構成方法によりこの黒色雑音はある系の"無限の過去"に位置する。本講演では、この雑音を実験するための方法を与えその振る舞いについて数値的にも視覚的にも確認する。青山崇洋氏(岡山理)・荒木翔太氏・江口脩氏(福岡大)との共同研究に基づく。

16:20-17:00 今村悠里(金沢大学)

  • タイトル:Asymptotic Static Hedge of Timing Risk

  • アブストラクト:タイミングリスクとは,配当が支払われる時間が停止時刻に依存している金融商品のもつ時間のリスクのことをという.価格を表す確率過程とその到達時間によって商品価値が与えられ,一般化された鏡像原理によって得られる到達時間分布の対称性を用いた漸近的な表現を得ることにより,タイミングリスクのヘッジ公式が得られることを紹介する.本研究は,赤堀次郎氏とFlavia Barsotti 氏との共同研究に基づくものである.


参加方法

当日は一部の講演者及び関大関係者以外の方については zoom にてご参加いただくようお願いします。

Zoomのログイン情報については関西大学確率論セミナーのメーリングリストに後日お送りします。

メーリングリストに登録されていない方で参加希望の方 山崎和俊(kyamazak[at]kansai-u.ac.jp) までご連絡お願いします。

お問い合わせ先

山崎和俊

メールアドレス:kyamazak[at]kansai-u.ac.jp