インタラクション技術とデジタルヒューマン技術の融合

〜健康貯金の新たな地平を拓く〜

[開催終了] たくさんのご来場ありがとうございました。

シンポジウム趣旨

「健康貯金」とは,加齢に伴い減少する身体能力を,健常なうちに蓄えておくことです.PRISM健康貯金プロジェクトでは,生活者が日常生活を送る中で,意識させることなく健康貯金ができるような情報基盤技術の実現を目標に,慶應義塾大学,産業技術総合研究所,東京医科歯科大学,東京都健康長寿医療センター,そして筑波大学の5機関が連携しながら研究を推進しています.このプロジェクトとして最初の開催となるPRISMシンポジウム2019では,「インタラクション技術とデジタルヒューマン技術の融合」をテーマに講演会とオープンハウス(デモ展示とポスター発表)を行います.

講演会では,各機関の主たる研究者がユビキタス計測・介入(インタラクション)技術,デジタルヒューマン技術,そして実際の医療・生活現場での情報基盤技術の活用事例を紹介します.また,オープンハウスでは,プロジェクトで開発した技術のデモ展示とポスター発表を行います.研究者と個別にディスカッションすることで,インタラクション技術とデジタルヒューマン技術の最前線をより深く理解していただくことができます.

生活者の心理や行動を情報として取り扱うためのユビキタス計測技術,それらを分析するためのデジタルヒューマン技術,そして心理や行動を変容させるためのユビキタス介入技術は,日常生活に組み込まれた健康貯金を実現する上で不可欠です.シンポジウムを通じてこれらの技術とその活用事例を理解していただき,生活組み込み型健康貯金の将来について議論できることを楽しみにしています.

2019年1月18日

慶應義塾大学・杉浦 裕太

開催期日・時間・場所

  • 期日:2019年3月4日 (月)

  • 時間:

    • 13:00-16:00:講演会

    • 16:00-18:00:デモ展示・ポスター発表

  • 場所:

    • 講演会:産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館11階

    • デモ展示・ポスター発表:同本館3階・4階

  • 事前登録制(お申し込みはページ下部へ)

臨海副都心センター別館

臨海副都心センター本館

アクセス

  • 135-0064 東京都 江東区 青海(あおみ)

    • 講演会:2-4-7(別館)

    • デモ展示・ポスター発表:2-3-26(本館)

  • TEL: 03-3599-8001 (代表)

  • 新交通「ゆりかもめ」テレコムセンター駅下車徒歩3分

  • 産業技術総合研究所臨海副都心センターへのアクセスについては,こちら もご参照ください.

講演会プログラム

  • 13:00-13:05:開会挨拶(杉浦 裕太・慶應義塾大学)

  • 13:05-13:30:PRISM健康貯金プロジェクトの狙いとユビキタスセンシング(杉浦 裕太・慶應義塾大学)

  • 13:30-13:55:人間挙動の常時センシングのためのコンピュータビジョン技術(斎藤 英雄・慶應義塾大学)

  • 13:55-14:20:錯触覚提示手法による歩行動作への介入(橋本 悠希・筑波大学)

  • 14:20-14:30:スポットライト発表 (1件30秒のデモ・ポスター概要発表)

  • 14:30-14:40:休憩

  • 14:40-15:05:デジタルヒューマンを用いた現場志向インタラクションの実現(多田 充徳・産業技術総合研究所)

  • 15:05-15:30:医療現場における運動計測と疾患診断(藤田 浩二・東京医科歯科大学)

  • 15:30-15:55:ICTを利用したフレイル予防システムと地域への介入(遠峰 結衣・東京都健康長寿医療センター研究所)

  • 15:55-16:00:閉会挨拶(多田 充徳・産業技術総合研究所)

杉浦 裕太 (慶應義塾大学 専任講師)

PRISM健康貯金プロジェクトの狙いとユビキタスセンシング

本プロジェクトは,無自覚的に健康貯金が可能な情報基盤技術を構築することを目標とし,その技術によって健康寿命が延伸され,さらに身体能力をも拡張された生活者「サステナブル・ヒューマン」を実現する.プロジェクトが目指している世界とそれに向けた常時身体環境計測に向けた実世界センシング技術を紹介する.

斎藤 英雄 (慶應義塾大学 教授)

人間挙動の常時センシングのためのコンピュータビジョン技術

人間を観察するカメラや,人間の頭部や体に取り付けたカメラに撮影された画像から,歩行や走行等の色々な人間挙動を捉えることができる.特にカメラは利用する環境や条件に対する制約が少ないので,常時データを蓄積することが容易なセンサデバイスである.本発表では,カメラによる人間挙動センシングの研究事例を紹介し,今後の展望を俯瞰する.

橋本 悠希 (筑波大学 助教)

錯触覚提示手法による歩行動作への介入

人は,地面の状態に応じて柔軟に歩容を変更し,転倒せずに歩き続ける.これは逆に,地面の情報を制御することで歩容が変化することを示している.本発表では,錯触覚提示手法による地面の質感重畳によって,歩行動作へ介入する試みを紹介する.

多田 充徳 (産業技術総合研究所 研究チーム長)

デジタルヒューマンを用いた現場志向インタラクションの実現

情報インフラの拡充に伴い,様々な現場でのセンシングが可能になりつつある.本発表では,センシングデータからの身体運動の推定,それに基づく適切な介入のデザイン,そしてデータの横断・縦断的な蓄積など,現場におけるインタラクションを実現する上で,デジタルヒューマンモデルが持つ可能性を実例を交えて紹介する.

藤田 浩二 (東京医科歯科大学 医学部内講師)

医療現場における運動計測と疾患診断

医療機関における疾患診断は,血液や画像検査の結果をベースに,患者の状態や動きを医師が観察して行う.医師の観察は,経験に基づく暗黙知が大きな役割を果たしているが,患者の状態,動きを数値化することで,これを一般化する試みを紹介する.

遠峰 結衣 (東京都健康長寿医療センター研究所)

ICTを利用したフレイル予防システムと地域への介入

高齢者の健康寿命延伸のためのフレイル(虚弱)予防が着目されている.フレイルの予防のための活動は,体力(運動)・栄養・社会参加という3つの柱に集約される.しかし,高齢になり段々と気力・体力が衰え,活動範囲も狭まりがちな中,個人の努力でこの3つを続けていくことは非常に難しい.本発表では,それらの活動を楽しく継続するため仕組みと,それを利用した地域など実社会への介入について紹介する.

デモ展示・ポスター発表一覧

A 計測と解析:スポーツ

  1. 生体力学手法による片側大腿義足ランナーの動作解析(スポットライト発表あり)

  2. フォースプレート内蔵トレッドミルを用いた歩行データベースの構築(スポットライト発表あり)

  3. 運動による筋骨格系負荷のマルチスケール解析

  4. スポーツ用義足の研究開発とアスリート支援(スポットライト発表あり)

  5. カメラ映像からのランナーの動作解析(スポットライト発表あり)

  6. 多層運動力学シミュレーションによる運動予測

B 計測と解析:歩行

  1. 環境が歩行に与える影響

  2. 転倒メカニズムの解明と転倒リスクの評価技術の確立を目指した研究展開(スポットライト発表あり)

  3. 足底圧に着目した歩行機能評価に関する研究

  4. 地域高齢者を対象とした歩行機能評価技術の開発

  5. 加速度センサを用いた変形性膝関節症歩行評価システムの開発(スポットライト発表あり)

  6. 日常歩行速度の時間帯ごとの比較

  7. 歩行における客観的な美しさと動作の関連

C 計測と解析:上肢

  1. IoTセンサを使った物体の握り方計測システム

  2. 人為的制約によるものの持ち方の変化

  3. 光センサアレイによる指可動域計測

  4. 母指CM関節症患者用軟性装具の有効性(スポットライト発表あり)

  5. 母指回内運動の可視化(スポットライト発表あり)

  6. 肘の解剖

  7. 指握力計による手指機能評価

D 計測技術:IMU・脈波・ビジョン

  1. IMU運動計測技術の応用(スポットライト発表あり)

  2. DhaibaDAQ:ワイヤレス計測・介入モジュール

  3. 脈波センサを用いたリアルタイムなストレス計測

  4. 指接触圧推定のためのウェアラブルセンサ

  5. データ駆動型実世界計測におけるセンサ配置とデータ収集を支援するシステム

  6. 多視点画像による人の運動時の重心位置推定

  7. RGB-Dカメラによる動的物体の形状推定とセグメンテーション

E 介入:ゲーミフィケーション

  1. ゲーミフィケーションによる家事体験の向上

  2. 喉頭位置の可視化による飲み込み力強化のためのトレーニング支援システム

  3. 橈骨遠位端骨折患者用リハビリアプリの開発

  4. 手根管症候群診断用スマホアプリの精度検証

  5. 地域内グループを利用したスクワット回数の競争が運動実践におよぼす影響

  6. グループ競争が日々の食品摂取多様性得点に及ぼす影響

F 介入:触覚・力覚

  1. 永久磁石を用いた力触覚フィードバック(スポットライト発表あり)

  2. 微弱刺激による足指裏への錯触覚増強手法

  3. 足背部振動刺激による足裏触覚提示範囲の拡張

  4. 爪上の振動刺激による指巧緻性の向上手法

  5. 触覚ポスター:プリンタブルなペーパー静電触覚ディスプレイ(スポットライト発表あり)

G 変容:感覚・運動・社会

  1. 音を用いた介入による歩行速度の変容(スポットライト発表あり)

  2. 歩行を介した転倒リスクGIS構築(スポットライト発表あり)

  3. 実眼鏡装着時における眼鏡の仮想試着システム (スポットライト発表あり)

  4. フレイル予防のための地域介入研究

  5. 杖への触覚提示によるポールウォーキング体験の拡張

  6. 暗所での蓄光材による光情報提示が障害物跨ぎ動作に与える効果の検証(スポットライト発表あり)

  7. ロコモティブシンドローム予防の視覚的な歩行特徴フィードバック装置の開発(スポットライト発表あり)

申し込み

  • 事前参加申し込みは締切とさせていただきました。

  • 講演会会場には定員がございます.お申し込みが定員に達し次第締切となります.

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