アーカンソー州にあるダイヤモンド (diamond) がとれる州立公園 (Crater of Diamonds, Murfreesboro, Arkansas)にはじめて訪れたのわ2020年11月24日午後1時9分のことです. どんよりとした日でした. クレーターと申しますが、畑のように耕された土が一面にひろがっているだけの平たい場所で、すり鉢状になっているわけでわありません. あまりに特徴がない広場なので、どこでダイヤモンドがとれるのか全くわかりませんでした. 鉱区の入り口から北側の区画でうろうろ地面をみていましたが、何もない. 西のほうへ移動していって、洗い場みたいな場所の西側で小さな結晶を14時ごろみつけました. ダイヤモンドと思い、多弁になり盛り上がり舞い上がりました. 3時過ぎに雨がふってきたので公園の建物にもどり、拾った結晶を公園スタッフの方に見てもらいました. あれだけ盛り上がっておきながら、結晶を渡す瞬間に「違うな」と直感したのを覚えています. 案の定「こりゃ水晶やで.」と言われ、直観でだめと思っておきながら激怒. その後、ほかの場所に旅行したのですが、ずっと怒り続け家族に迷惑かけました.
その後もことあるたびにダイヤモンドのことを言い続け、ついに、2021年5月8日にブライアントにTシャツを買いに行くのでそのついでにダイヤモンドにつれてってもらうことになりました. 前回わ手ぶらでしたが、今回わバケツとフルイ持っていきました. 朝10時くらいにつきました. こってり堀ったろうとおもいましたが暑いので鉱区のすぐ入り口南側のFugitt's bankという斜面の木陰で休み、Prospector Trailという森でトカゲの仲間を捕まえたりしていたら、午後3時15分になっていました. 閉園が4時なので、慌ててFugitt's bankの土をフルイで近くの水の流れで洗ってバケツに四分の一ほど入れて帰りました.
もちかった土砂を家でさらに洗って乾かして置いたら、5月10日に家人がそれらしいものを見つけてケースにいれていたのです. また気分が高揚し、その後一年間もいろいろ検証と称して時間と労力を浪費したのです. やるべきことをおいといてルーペで観察し、ルーペで自分がみた像に近い画像を検索し、精密なはかりを持っている人に頼んで重さをはかりました. やればやるほど、ダイヤモンドに思えてくるのです. ダイヤモンドと最もまぎわらしいのが水晶です. 水晶のかけらと並べて観察し、「あぁ, 水晶とわ違うぞ. 違うぞ.」と思い込みの世界に埋没しました. しかし、他所でひらった、水で磨かれた水晶と比べたとき光沢がほとんど一緒に見えたのです. 不都合です. インターネットで調べているうちに、水の流れで研磨された水晶とダイヤモンドわ見分けにくいという記述をみかけました。普通の人なら「これわ怪しいぞ.」と思いますが、運よしおわ「あるダイヤモンドわ磨かれた水晶と似ているらしい. これわその特徴を備えている. ダイヤモンドの可能性わさらに高まった.」と考えます. 水晶わありふれた鉱物ですので、ダイヤモンド似の水晶のほうが水晶似のダイヤモンドより多いでしょうから、偏った考え方です. その後も都合の良い記述や画像だけを記憶にとどめ、不都合なものわ曲解し、さらに自信を深めて参りました.
一年後の2022年5月7日午前10時50分. 再びダイヤモンドの公園を訪れ、公園のスタッフに鑑定してもらうことになりました. むんずと渡すと、若手のスタッフの人が「これわこれわ」と奥の検査室にもっていきました. しばらくすると本当にダイヤモンドだった場合にでてくる登録用紙まで渡されました. おぅおぅと書き込んでいると、検査のえらいさんがでてきて「これダイヤちゃうで. 水で磨かれた水晶 (water-polished quartz) やで.」とおっしゃるんです. 顔面が紅潮し気がとおくなったのを覚えています. 登録用紙わ回収されました. ふらふらになりながらなんとか鉱区にいきましたが、なんの手がかりもなさそうな茫洋とした現場の地形に圧倒され臭くなってしまいました. 14時07分に気を取り直し、南側のCanary Hillという青い土がでてる場所の東側で家族と土をフルイにかけてバケツに半分ほどあつめました. 公園を去ったあとも、自分の願望通りでない鑑定結果への被害妄想わとまりません. 公園で産した何千というサンプルを鑑定してきた人たちを差し置いて、これわダイヤモンドであると信じ続けました. 5月11日午前11時37分、エネルギー分散分光法 (energy dispersion spectroscopy)という分析法で完全決着をつけるためにこの石を他の研究所におくりました. 病気なのわわかっています. 治らないのです. 結果わ水晶. さすがの運よしおもこれにわ参りました.
2022年5月13日午後8時ごろ、録画していた探偵ナイトスクープをみながら、5月7日に採った土砂を洗って何かないかみていました. アメちゃんの銀紙の破片みたいなのがさっきからづっと視界にはいってたのですが、ごみとおもい気に留めていませんでした. ひとしきり見終わってダイヤモンドわなさそうだからごみを捨てようと指でつまむと固くて意外に厚みがある. 何かとルーペでみると透明で結晶面がみえるでわありませんか.「20時45分、確保!自宅にて確保!」. 驚いた家人わ、それをみて「これわ金属か」と口から泡を吹くのみで会話がなりたちません. 今度ばかりわ、運よしお、客観的に水晶の可能性を排除します. 2022年6月29日午後5時41分、家人のお友達のお父さんの化学の先生にたのんで、ブロモホルム (bromoform) という重たい液体につけてもらいました. 水晶わ浮かびこれわ沈みました. 透明で金属光沢があり水晶より重い鉱物であの公園で採れるのわダイヤモンドしかありません.