Department of Oral Physiology, Showa Medical University School of Dentistry
Department of Oral Physiology, Showa Medical University School of Dentistry
ヒトや動物が生きていくためには、体の中でエネルギーとなりうるものを外界から取り込む行動、すなわち摂食行動が必須です。
この摂食行動がうまく起きないと十分なエネルギーが取れませんし、逆に食べ過ぎると肥満になってしまいます。
また食物は消化しやすいようによく咀嚼してから飲み込みますが、特に注意しなくても舌や頬は噛まずにうまく食物だけ噛むことができて、飲み込むときも気管に入って窒息するというようなことはありません。つまり、摂食行動は無意識のうちに脳によって巧みにコントロールされています。
当研究室では、パッチクランプ法や筋電図記録などの電気生理学的手法、in vivoイメージング、光遺伝学的手法など、最新の機器や技術を使って顎口腔機能をコントロールする脳の仕組みを研究しています。
Toward understanding the neuronal mechanisms that control jaw and oral functions
The long-term goal of our laboratory is to understand the neural circuit basis of oral motor behaviors such as sucking, chewing, swallowing, and sleep bruxism. The mechanisms responsible for controlling jaw movements during these behaviors exist in the brain; however how and where these motor patterns are generated is poorly understood. To address these questions, we employ a variety of techniques, including anatomical, electrophysiological, imaging, molecular biological, and optogenetic methods, in different animal models, such as brainstem slice preparations, arterially perfused decerebrate animals, and freely moving animals.
当研究室では、咀嚼のパターンを作る神経回路が脳幹のどこにあって、どのような神経回路なのかについて、in vivo動物、大脳除去動物の動脈灌流標本、脳スライス標本等に光遺伝学やカルシウムイメージングの手法を適用して調べています。
食べ物を嚥下するためには舌、咽頭、喉頭の筋が順序よく協調して運動する必要があります。当研究室では、嚥下をコントロールする神経回路の仕組みや嚥下を改善すると言われている薬の影響を、大脳除去動脈灌流標本を用いて、GCaMPを用いたカルシウムイメージングや迷走神経、舌下神経の嚥下活動を指標に解析しています。
大脳皮質は、咀嚼の開始と維持に関与するとともに顎舌運動の協調や円滑な嚥下の誘発に重要です。これらの機能に対する大脳皮質の役割を調べるために、動物が実際にエサを咀嚼している時の大脳皮質ニューロンの活動パターンを、in vivoカルシウムイメージング技術を用いて解析しています。
食物の物性に応じた精密な咀嚼筋活動の制御には、セロトニン、ヒスタミン、オレキシン、ドーパミンなどの神経修飾物質が重要な役割を担っています。当研究室で光遺伝学手法や薬理遺伝学的操作、さらにホールセルパッチクランプ法を用いて、これらの神経修飾物質が顎口腔感覚・運動機能に及ぼす影響の神経メカニズムを詳細に解析しています。
三叉神経運動核周囲の網様体には、咀嚼の神経回路と摂食行動を抑制する神経回路が近接しています。脳スライス標本、大脳除去ラット動脈灌流標本および自由行動ラットを使って、自律神経中枢の発生に必須な転写因子Phox2bをもつニューロンに光操作技術を適用して、咀嚼運動と自律神経系のクロストークの解明を目指しています。
摂食行動は、生後吸啜運動から咀嚼運動へと大きく変化します。この時期に脳は、末梢の感覚受容器、咀嚼筋、骨格等の 口腔諸器官と密接に関わって変化していくと考えられます。脳幹スライス標本を使って、種々のニューロ ンの性質が発育に伴ってどのように変化していくかを解析しています。
歯ぎしりや食いしばりなどを行う人は増加の一途を辿っていますが、その発生メカニズムは不明な点が多いです。私たちは、さまざまな遺伝子改変マウスと最新の神経科学ツールを駆使して、睡眠中の咀嚼筋の活動パターンを解析し、歯ぎしりの発生メカニズムの全容解明を目指しています。
咀嚼には脳および咀嚼筋のスムーズな伝達機構が働いています。これらの2つの組織は人体の中でも多くの乳酸が産生される事が知られている組織です。これら2つの組織で産生される乳酸がニューロンの活動パターンや咀嚼筋活動を解析し、新たな役割の解明を目指しています。
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〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8
E-mail:snaka●dent.showa-u.ac.jp(●は@です)