6月21日の熊本日日新聞に下記のタイトルの記事が掲載されていた.
総務省
総務省は,オンライン授業など新型コロナウイルス感染症への対応を進めるため,全国への光ファイバー回線の整備計画を2年前倒しして2021年度までにほぼ全世帯で利用できるようにする.そのために,20年度第1次,第2次補正予算で計530億円を計上しており,自治体や事業者による整備を支援.未整備地域を早期に解消することで必要な通信基盤を提供するとのことである.
遠隔授業(理想と現実)で紹介したように,5月8日文科省は大学のオンライン授業のデータダイエットを呼び掛けた.回線圧迫を回避するための要請であった.このような現状認識が今回の総務省計画に反映しているものと思われる.
筆者宅はケーブルテレビ (CATV) 環境下でインターネットを利用しているので,速度に限界があるのではないかと友人に聞かれたことがあった.ホームページの公開はGoogleサイトを利用しているので,問題はないはずである.光ケーブル網にはいろいろな方式があると聞いていたので,これを機会に光ファイバーによる通信網の現状を調べてみた.
光ケーブルの接続方式の違いについて,分かり易い図がWikipediaに掲載されていたので引用させてもらった.FTTx(Fiber To The x)とは,光ファイバーによる有線通信の際のユーザ宅向け網構成方式の総称である.光ケーブルから屋内配線(ラストワンマイル)への引き込み方法により数種類に分かれている.
紫色の部分が光ケーブル,橙色部分は非光ケーブル(銅線など)を示す.下に行くほど紫色の光ケーブルが宅内に入り込んで高速であるのが分かる.
FTTNとFTTHを比較すれば分かりやすい.
FTTNは,主にケーブルテレビで用いられる方式で,ユーザ個宅から300メートル以上はなれたところまでは光ケーブルが来ているが,個宅内へは同軸ケーブルを利用する.
FTTHはユーザ個宅まで光ケーブルを引き込む方式である.
この二つの方式の中間に位置する方式としてFTTC, FTTB, FTTD, FTTR などの方式がある.詳細はFTTxを見てほしい.
ケーブルテレビが採用しているFTTNはもっとも遅い接続方式であり,320Mbpsが限界らしい.上りは10-20Mbpsと極端に遅くなる.総務省がどのような方式による光ケーブル化を計画しているのか現時点では明らかではないが,オンライン授業の円滑な実施を目的としているのであれば,幹線だけにとどまらないFDDHに近い方式のはずである.これを機にケーブルテレビ網の高速化を期待したい.
参考資料
Wikipedia FTTxの説明を以下に引用させてもらった.
FTTN (Fiber To The Node)
ケーブルテレビにおいてよく用いられる,ラストワンマイルの幹線網での網構成方式.HFC (Hybrid Fiber Coaxial) とも言う.幹線を光ファイバーとし,分配ノード (Node) から個宅までは従来の同軸ケーブルを利用する.
FTTC (Fiber To The Curb)
共同溝等(情報BOX等)の場合は道路脇 (Curb) まで,架線の場合は電柱まで光ケーブルを引き込む.HFCとFTTHの両方式の利点を生かすと共に.将来的に完全FTTH化に移行する時は既存の光ファイバーケーブルを活用することで,比較的安易にFTTHへ完全移行できるメリットもある.各個宅への導入方法は次のものがある.
無線 (FWA) 集合住宅近傍に設置した無線基地局と,個宅設置のアンテナとの間で通信.
光無線通信 FWAと同様だが,電波よりも可視光に近い波長の電磁波を使う方式.
FTTB (Fiber To The Building)
マンション等の集合住宅やビルなどに設置されているMDFまで光ケーブルを引き込む.各個宅への導入方法は,次のようなものがある。
FTTH (Fiber To The Home)
ユーザ個宅まで直接光ケーブルを引き込む.FTTP(Fiber To The Premises, Premise : 敷地)とも言う.
(2020.9.3)