先生の服の中、ヒミツ! 0
作者は外国人のため、日本語の語彙や文法に不自然な点がある場合がございます。
乳首ピアス(出血描写)および結腸の開発要素を含みます。どうぞよろしくお願いいたします!^^♡
先生の服の中、ヒミツ! 0
作者は外国人のため、日本語の語彙や文法に不自然な点がある場合がございます。
乳首ピアス(出血描写)および結腸の開発要素を含みます。どうぞよろしくお願いいたします!^^♡
「ん……」
「…はぁ、」
ゆっくりと、 重なり合っていた唇が離れた。二人の間に透明な糸が伸びた。それは少し長く続いたが── 大崎が顔を上げると、途切れた。
「……、楓さん。」
「はい」
今日、青海楓の若い恋人は、なぜか悲壮な表情を浮かべていた。何か重大なことを告白でもするかのように。青海は少し不思議に思ったが、その宣言が何であれ、まずは聞くべきだと思った。傾聴者らしい落ち着いた視線が、大崎に向けられた。大崎はその赤く鮮やかな瞳を避けなかった。
さらりと、だぶだぶの浴衣が滑り落ちた。大崎の無骨な手が裾を掴み、脱がせた 。白い肌とまっすぐな骨格。芸術的とも言えるほど端正な体が露わになった。朱色の電灯が、そのすべてをくっきりと照らし出した。大崎は欲望に揺らぐ目で彼を観察した。青海は姿勢を少し正した。
「緋色さん」
「何か、あるんですか。望むことが」 その問いは明快だった。彼が大崎の視界から外れることはなかった。その代わり、帯に直接手を伸ばした。しっかりと結ばれていた帯があっけなく解け、下着一つ身に着けていない裸体が露わになった。肌に触れる夜の空気が冷たかった。青海は顔色一つ変えずに動いた。両腕を広げて大崎を腕の中に引き寄せた。大崎は喜んで彼を抱きしめ、ひんやりとした首筋に鼻を埋めた。
「少し長く、触りたいです」
「……どうぞ」
白檀の香りが鼻腔をくすぐった。大崎はこのこれ以上ないほど上品な香りさえも、興奮させていた。青海を抱きしめる時、その香りがより一層強く自分を包み込んでくるからだ。しかし、今日は我慢しなければならなかった。ゆっくりと、優しく。彼の目的は愛撫にあった。
「…ふっ」
大崎は青海の肩のラインに沿って唇をくっ付けた。まるで飴でも味わうかのように舐め、痛くない程度にじわじわと噛み、そっと吸い込んで赤く染めていくのだ。青海は一番上までしっかり閉めたシャツを制服のように着込んでいたため── 大抵の場所は見える心配なく噛みしめることができた。特に首の真ん中にある傷跡の下は、極めて自由だった。
「ひ、いろ、さん……」
名前を呼ばれたが、それは拒絶の意味ではなかった。むしろ、気持ちがいいと言う意思表示に近いものだった。青海の体が微かに震えた。彼が片腕を上げて、大崎の頭を撫でた。梳かした髪に沿って。丸い頭が青海の細い指で揉みほぐされた 。大崎はその優しい手つきを受け入れながら、続けた。
「……ふっ、っ」
時々、歯を食いしばるたびに── 青海は短い吐息を漏らした。愛する人と肌と肌が触れ合っているというだけで、少しずつ熱が伝わってきた。大崎が残した痕がヒリヒリと疼いた。体温で火傷をするわけがないと分かっていながら。青海はとんでもない考えを巡らせた。視線を少し下ろすと、大崎はいつの間にか彼の胸元に唇を当てていた。
「っ、そこは。」
「ダメですか」
「いや…、ひっ」
青海の肩が大きく震えた。大崎が彼の乳輪を噛んだせいだった。ふっくらとした肉に埋もれていたものが、びくびくと反応した。大崎は丁寧にその周囲を舐め 、 吸った 。もう片方は手でくるくると回しながら押し付けていた。そんな中、残った片手で青海の腰を支え、くぼんだ背骨のラインを擦っていた。同時に、あちこちからゾクゾクとした感覚が青海に湧き上がってきた。青海の眉間にしわが寄った。彼はいつの間にか「絶頂時」の表情を浮かべていた。
「うっ、は、ひいろさん」
「はい、っ」
珍しく、大崎の発音が濁った。青海はその原因を正確に知っていた。ちらりと姿を現し始めた乳首。大崎は子供のように、その上に唇をぴったりと押し当てた 。温かく湿った舌が、乳首を丁寧に舐め回した。わずかに窪んだ部分に舌先が食い込むこともあった。青海の腰が少し硬直した。すると大崎が円を描くように愛撫し、彼の緊張をほぐしてくれた。
「ひ、うっ…」
青海は下唇を舐めた。明日も出勤だ。むやみに噛みついてはいられない。口が小さいせいで、乾燥して噛みちぎった傷さえすぐにバレてしまう。だから、舌を少し引っ込めることで、喘ぎ声をこらえた。
ただ、大崎はその顔を見上げて、はっとした。もともときつかったズボンの内側が、さらに息苦しくなった。キスをせがむかのように真っ赤な舌が飛び出しており、瞳の焦点が溶け出しそうなほど揺れていたからだ。青海は少しぼやけた視線を大崎の顔へと移した。目が合った。
「ひいろ、さん。」
青海特有の短い言葉さえも、途切れ途切れになった。久しぶりに会う恋人だからだろうか。青海は深く考えないことにした。今すぐこのもどかしさを解消したかった。下腹がズキズキと痛み、引っ張られるようで、我慢できなかった。
「ごめん、なさい、でも… もうやめ、て」
大崎の肩にかかっていた腕を引き離した。片手はたどたどしく下へと滑り落ちていった。脱げそうに太ももにかかっていた浴衣を、指先で押しやった。何度空振りしたか。それでも結局、大崎の目の前にそれをさらすことに成功した。
「して……ください」
細い指が秘部に食い込んだ。太ももがぱっと開いた。穴に透明な液体がどっと溢れ出した。青海が少しもぞもぞと動いた。洗っている間に取り残してしまったジェル。それが完全に溶けた跡だった。
大崎はその瞬間、脳がオーバーヒートした。今日やろうとしていたことなど、あるいは「楓さん」と呼んで伝えようとしていた頼み事など、すべて吹き飛んでしまった。ただ今この光景だけが残った。青海が彼のためにあらかじめ用意してくれていたという事実に、こめかみが熱くなった。
「あ、うっ……」
指二本が無理なく入った。中からぬるぬるとした音がし、青海が腰をくねらせた。敏感な部分を押しつぶすような感覚に、軽く喘ぎ声を漏らした。
大崎は指の関節が濡れていくのを感じた。安全を確認しようとした最後の理性さえも、すっかり消え去った。カチッ、スーツのベルトが掌の中で一気に外れた。青海は息を止めた。熱気で火傷しそうだった。
「……楓さん。」
名前を呼ばれたのを最後に、青海はその日のことを何も覚えていなかった。
***
しかし、大崎の「試み」はまだ終わっていなかったようだ。翌日、彼はなぜか物足りなさそうにしていた。まだ片付けられていない布団も気にせず。青海をぎゅっと抱きしめたまま。何かを否定したいかのように、首を左右に振った。大崎が青海の耳元で呟いた。
「自分は獣です……」
「……」
違います。青海の優しい訂正は、一拍遅れて出た。大崎は少し寂しそうだった── おそらく── 。青海は慎重に体を向けた。真っ赤な彼の目元をそっと撫で、頬を撫でてやった。
「今日までここに、お泊まりになりませんか。」
「そうです……」
「うん。」
はねた髪の毛の一本が、青海の手にかかった。彼はまるで手遊びをするかのように、それをねじって整えた。大崎の鋭い目元が少し見えた。青海はそれをじっと見つめながら言った。
「もう一度やってみてください。……夕食を早めに用意しておきます」
今日は、急かしませんから。青海が小さく笑った。大崎はまるで救われたかのような表情を浮かべた。見つめ合った瞳が、珍しくきらめいた。
推測するに、彼の「試み」は、青海を喜ばせるためのものなのだろう。そんなことにこれほどまで誠意を尽くすなんて。なんだかくすぐったい気分だった。青海は彼を一度抱きしめてから立ち上がった。
「出勤の準備ですか。」
「はい」
「よろしければ、自分もお手伝いします」
「ぜひ」
「それと布団の洗濯も……自分がやります」
「はい、お願いします」
そんな青海の後を、大崎が急いで追いかけた。肩にかけるだけの青海の浴衣と、不器用に結び目を結んだ大崎の浴衣が混じり合ってひらひらと舞った。足音が重なり合った。
***
仕事帰りの青海先生は、いつもと変わらない姿だった。かわいいイチゴ柄のネクタイ。白いシャツと黒いベスト。違いを挙げるとすれば、スーツのジャケットを脱いで、腕に掛けていることだけだった。
「春真っ盛りですね。フルコーデには少し暑いです」
「こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
不思議に思うことはなかった。大崎も暑い時はシャツの袖を肘までまくり上げていた。それに、青海なら平気な方だった。もともと体が冷えているからかもしれない、と大崎は思った。
「……」
大崎が青海の上着を掛けて戻ってくる間、青海は自然と奥の部屋に入り、着替えた。よく乾いた浴衣が体にまとわりついた。大崎はその間に家事をすべて終えたようだった。洗濯物がすべて畳まれているのはもちろん、古風な木の床や柱といったところまで、きれいに拭き上げられていた。
「そういえば、昼食は。」
「村でいただきました。青海先生の知り合いだと言うと、快く招待してくださって」
小さな島には、レストランと呼べるような店はほとんどない。船着き場に、船乗りたちが食事を済ませられるよう手助けする小さな店があるだけだ。船頭でもない大崎がそこに入ってすぐに注文したはずもなく、おそらく村の集会所の老人たちが気遣ってくれたのだろう。後で挨拶に行くべきだ。青海はそう考えながら── 大崎にも謝罪の言葉を伝えた。
「すみません。あなたが平日にも泊まるのは初めてだったので。食事のことを考えていませんでした」
「…!気にしないでください」
むしろ自分が申し訳ないです。大島の方々に迷惑をかけてしまって…。そんな具合に、しばらく謝罪のリレーが続いた。青海はふっと笑って、背を向けた。
「約束通り、夕食は少し早めに用意しておきますね」
「は、……はい」
大崎は、そのとき初めて理解した。青海が家に帰るとすぐに風呂に入らなかったという事実の、意味を。
心臓がドキドキと激しく鼓動した。
***
「では……」
大崎は、極めて貴重で繊細なものを扱うかのように、慎重に触れた。青海の首、 肩、 二の腕の柔らかな肌 、 そして胸まで。緊張しているようでありながらも、濃厚な指先が肌の上を這い回った。青海は、相変わらず夜になると冷たくなる空気と大崎の手に触れて身震いしたが、避けはしなかった。大崎が触れるたびに、小さく震え、熱い息を吐き出した。真冬の唯一の温もりであるかのような錯覚に陥った。
「っ…うっ、ん」
胸元がくすぐったかった。大崎が唇を離した。その辺りの肉を寄せ集め、上に押し上げるように押し上げた。青海は自分にできた溝を見つめた。浅いが、はっきりとくぼんでいた。大崎の荒い掌の下には、ふくらみ上がった丘が押しつぶされていた。ふにゃふにゃとした肉に血が上ったのか、突き出た乳首から赤く染まっていった。
「……ひっ! ひいろ、さん……!」
大崎はそうして集まった胸を一口いっぱいに噛みついた。歯形が残るだろうことを、直感的に悟った。鈍い歯が柔らかい肉を容赦なく噛みしめた。胸から湧き上がる快感とわずかな痛みが混ざり合い、頭がくらくらした。青海は目の前が霞んでいくのを感じた。性的な快感を感じた時、いつもそうであるように。
「は、うっ…… あま、りに、……」
青海は力のない指先で大崎の背中を叩いた。叩くというよりはというより、ポンポンと触れる程度に近いものだった。大崎は、その動作の一つ一つに頭が熱くなるのを感じながら── 必死に理性を保った。自ら性感の鈍さを宣言していたのとは裏腹に、青海は体のどの部分でも容易に感じる方だった。地道に開発さえしていれば。
「…あ、っ…!」
開いていた口が再び閉じた。飲み込むような喘ぎ声が大崎の耳に流れ込んできた。彼は愛撫にさらに拍車をかけた。噛んだ場所を舐め、つねった場所をねじり。触れることのできるあらゆる方法で快楽を煽った。青海は大崎の後頭部を抱きしめ、ガクガクと震えた。
「うっ、くる…、し…、」
快感は着実に蓄積していった。それでも溢れ出すことはなく、ギリギリのラインを保っていた。青海は、いっそ一度きっぱりと爆発してしまえばいいのにと思った。本能的に胸を突き出し、大崎を助けた。手を使うことはできなかった 。昨日のように下を触られるかもしれない、という判断のもとで。大崎がしっかりと縛り付けていたからだ。せいぜい大崎の服を掴んだり、拳をぎゅっと握りしめることしかできなかった。
「ひいろさん……」
舌が乳首を舐め上げた。微かな電流が走ったかのように、ピリッとした。青海の腰がわずかに反り、硬直した。大崎は、こうした反射的な状態の肉体を弄ぶのが一番好きだった。
「……、」
青海は何度か懇願の言葉を吐いたが、約束を思い出したかのように口を閉ざした。 フン、 ッ、 といった鼻息だけが漏れた。短い眉がぎゅっと寄った。しかし大崎は、それが不快の表れではないという事実を知っていた。耐えきれない快楽が押し寄せてきた時。あるいは、快楽のあまりどうすればいいのか分からなくなった時……青海は困ったようにそわそわしていた。そのたびに大崎は、サディスティックな衝動を抑えるために努力しなければならなかった。
「…っ」
正確なタイミングは分からない。大崎はただ、思うままに青海の胸を弄んだ。噛みしめてできた傷跡を堪能し、ふっくらと腫れた肌を押しつぶしながら、味わうように唇の跡を残した。そうしているうちに自然と牙を立て、ガブリと噛みついた。
「うっ、……!」
すると、青海の首筋がピンと伸びた。後ろへすっと反り返った首の下で、首筋の筋肉がくっきりと浮き上がった。一瞬、息が詰まった。青海は大きく見開いた瞳で天井を見つめた。頭の中が真っ白になり、口が開いた。唾液が口元を伝って流れているのに、気づかなかった。
「はっ、あ…?」
彼がぼんやりと我に返った時、目の前に若い恋人の顔があった。目標を達成したかのように、とても満足げに見えた。大崎は青海の腹の上をゆっくりと擦った。彼は粘り気のある白濁液を塗り広げていた。
粘度の高い液体特有のぬめり。青海は自分が射精したことに気づいた。胸だけでイった。後ろには指一本も触れていない。ましてや前を触った記憶すらない。時々、大崎の引き締まった腹筋に触れたことはあったが。まともに擦り合わせることもできなかった。つまり、この射精は完全に大崎の愛撫のおかげだった。
「あ、……」
かすかな笑い声が漏れた。一瞬、ため息のようにも聞こえた。大崎は思わず青海を見上げた。快楽にどっぷりと浸った瞳。その視線が優しく弧を描いていた。感傷的な微笑みと目が合った。一瞬の長い沈黙が、さらりと溶けていくようだった。
「楓さん…、」
大崎はその胸に顔を埋めた。甘える生徒のように。ああ、青海は絶頂の余韻が残り、浮き立った様子だった。彼は何度も大崎を撫で、しばらくの間、可愛がった。そして、赤く満たされた自分の胸を見下ろした。
「あなたは、」
「……」
「ここが好きなんでしょうね……」
さっき大崎がしたことを真似るかのように、青海が手を動かした。相変わらず縛られているとはいえ── 彼にとって大きな問題ではなかった。彼はしなやかに大崎の首から腕を抜き、自分のほうへ引き寄せ、ぎこちなく胸を押し当てた。弾力のある部分が彼の指の間にかすかに挟まった。それさえもすぐに滑り落ちてしまいそうだったが。大崎はその微かな揺らぎさえも捉えた。彼の露骨な瞳に、青海の体がありのまま映し出された。
「…っ。お手伝い…いたします。」
「…はい?」
「……」
青海の視線は、もう少し下へと移った。途中で息苦しさに耐えきれず緩めてしまった── 大崎のズボンまで。下着一枚で覆われた性器が、不気味に浮き上がっていた。青海は、彼が抱きしめやすいように上半身を起こした。大崎は慌てて彼の腰の下に枕を差し出しながらも、呆然とした表情を浮かべていた。
つまり、今。
「…やらないん、ですか」
彼は自ら胸の谷間をさらけ出していた。
***
大崎は結局、自制できなかった。青海の胸に一度射精しただけでは興奮が収まらなかった。彼の小さな口と巧みに開く喉の奥、そして最後には後ろ。すべてが白い液体に溢れかえるまで、止まることはなかった。
「……」
「大丈夫です。」
可愛い恋人がまた落ち込むのではないかと心配して。青海は先手を打っておいた。大崎は、その手のひらに耳を擦りつけられるままにしながらも、目を伏せた。
画用紙のように真っ白だった体は、痕跡でぐちゃぐちゃだった。昨日のものと今日のもの。いつできたものか区別もつかないほど、あちこち赤く染まっていた。それもまた、束の間の所有だと感じて喜ぶのなら、やはり自分はダメな人間なのだろうか。大崎は沈鬱に思いながらも、素直に寄り添って抱きしめた。青海は、昔の無鉄砲だった大崎を思い出し、心の中でふっと笑った。彼がどれほど大人びて見せようとしていたのか、わかる気がしたからだ。
「今朝でしたね。桟橋までは見送れません」
「本土に着いたら、また電話します。」
「はい」
「待っています」という言葉と共に、青海は彼を起こした。布団の洗濯も服の洗濯も、すべて青海の役目になるだろうが。どうでもよかった。
まずは今、大崎をきれいに洗って無事に送り出すことが重要だった。それに加えて、ここ数年で大崎に築いてきた自分の信頼と愛情を、彼に確かめてもらう必要もあった。再び明るい── とはいえ無表情ではあるが、二人の間には変化が見えるのだから構わない── 顔で。心をいっぱいに膨らませてくれる声で。そうやって挨拶したかった。
「大崎さん」
そこで青海は、ある妙案を思いついた。
「お風呂まで、抱っこして連れて行ってくださいますか」
「…! そうします!」
***
それ以来、大崎は気力を充電したようだった。彼は以前より遠慮なく感情を表に出すようになった。時にはカッコよく見せようと努力しながらも、青海の一言一言に打ちのめされることを恥じなかった。青海はそんな恋人を、相変わらず好きだった。全力を尽くした後、胸を張る人は、いつだって見ていて心地よいものだった。
「…っ」
一方、青海は別の意味で胸を張らなければならなかった。大崎の「試み」はその後も数ヶ月間続いた。理性を失って襲いかかる前、彼は必ず青海の体を丹念に愛撫した。とろけるように柔らかくなり、降伏を宣言するかのように絶頂に達してから次にことができた。その過程は実に気持ちよかったが、同時に、なぜここまでするのかは分からなかった。執拗に弄ばれるたびに、無意識のうちに「なぜ、そこばかり…」、といった疑問を口にしてしまうこともあった。
すると大崎は青海の言葉を借りて、「好きだからです」と答えた。青海としては、これ以上分析する余地はなかった。彼は大崎に対してかなり寛大で、大崎の望みが妥当であれば、喜んでそれを叶えてあげた。だから、大崎が渇望する肉体をきつく包み込む必要もなかったのだ。
大崎が貪りたがれば開け、そうでなければきちんと隠した。そうやって日常を送ってきたはずなのに。
「……」
青海の細い眉が困惑した表情を浮かべていた。ひどく弄ばれた乳首が、ぷっくりと浮き上がっていたからだ。以前のように引っ込むこともなければ、ましてや肉に少しも埋もれることもなかった。胸そのものが膨らんでいたせいだった。普段ぴったりと着ていたシャツのバスト部分が妙に窮屈で、滑らかな布地が触れるたびにチクチクと痛んだ。その上、服の上からそのシルエットが浮き出ていた。こんな姿を生徒たちに見せるわけにはいかない。
大崎は前日の夕方に帰った。彼も朝になればすぐに探偵事務所に出勤するだろうから、この事実を相談するには今夜まで待たなければならない。まずは自分で解決するしかなかった。
「服を、できるだけ脱がなければ……」
ジャケットまでは着ていられる自信がなかった。今は日差しが容赦なく照りつける真夏ではないか。それでもベスト程度なら大丈夫そうだった。野外活動はしないという前提で。涼しい地下の音楽室に座っていれば、問題ないかもしれない。
「あ、もう、こんな時間か」
分針が普段より大きな数字を指していた。鏡の前で悩むなんて、子供の頃もしたことがなかったのに。なんだか不思議だと思いながら、青海は急いで家を出た。
***
「青海先生、この後ちょっとだけ手伝っていただけませんか?」
「…はい。分かりました」
ハラハラしながら立てた前提は、いつだって外れるものだ。青海は昼食を途中で止めて、まず眼鏡を押し上げた。カチッ。しかし、体育の先生は彼女の動揺に気づいていないようだった。
「いやぁ、助かりました。3年B組には器具を運べる子がいないんです」
「とんでもないです」
穏やかな食事が続いた。青海は弁当箱から取り出した野菜和えを一口食べた。なぜか酸味よりも苦味が強く感じられた。反射的にご飯が欲しくなった。
「では、また!」
「はい」
お弁当箱がきれいに空になった後。体育の先生は、あらかじめ倉庫のドアを開けておくと言って走り去った。元気で気さくな人た。普段なら、後輩を見るような目で嬉しそうに彼についていっただろう。
「……」
しかし、この問題を抱えたままでは困る。青海は弁当箱の蓋を閉めた。布で包んで縛り、周りの先生たちに軽く挨拶を交わした後。歯を磨きながら、素早く解決策を思いついた。
『応急処置』
迅速かつ正確に下した結論は、保健室だった。保健の先生が食事のために席を空けた隙に、絆創膏を二つ手にした。引き出しをしっかりと閉めた上、保健室の鍵も職員室に戻しておいたのだから── 完全犯罪だ。
「…」
教職員用トイレの個室に入った。服をまくり上げたり、首元へ手を入れようとしても届かなかった。青海はシャツのボタンをすべて外した。冷たいボタンが肌を掠め、鳥肌が立った。でも顔色一つ変えずに、まず絆創膏の包装を剥がした。
「うまく、いかない…」
くぼんだ場所に貼り付けるのは簡単ではなかった。青海は絆創膏の端が折れないよう注意を払った。生まれつき繊細な手先が、こんなことに使われることになるとは。それでも不快だとか嫌だといった気分がしないということは、原因を作った相手にすっかり夢中になっているということだろうか。青海の口元が少し緩んだ。
もがきながら処理を終えると── ベルが鳴った。彼は手際よく身だしなみを整えると、運動場へと向かった。
***
二人はマットや跳び箱などを運んだ。体力測定の日だったのか、かさばって重いものが多かった。青海は途中でベストを脱いで掛け、物がすべて所定の位置に収まると、また着た。
ちょうど授業がなかったため、生徒たちが外に出て体育をする様子を見守った。幸い、運動場の一角に日陰があった。元気な男子中学生たちは、時々青海に手を振ったり、ぴょんぴょんと跳ねたりした。教え子たちの愛らしい仕草を見るのは 、なかなか楽しかった。手で扇ぐたびにシャツがめくれ上がったり下がったりし、胸元が気になる点を除けば、いつもと変わらなかった。絆創膏がリアルタイムで緩んでいっていた。
「青海先生、本当にごめんなさい~。今度、何かお手伝いさせてください」
「いえ」
彼は簡潔に答えた。最後に取り出した器具をすべて片付けている最中だった。彼らは「よいしょ、よいしょ」と足並みを揃えて倉庫へと移動し、あとはこの箱を片付けるだけだった。
その時。
「…ヒッ…!」
「青海先生?」
「いえ、っ、いいえ。何でもないです」
「大丈夫ですか?」
「はい…。」
背中に冷や汗が一筋流れた。かろうじて貼りついていた絆創膏が、上半身を持ち上げた瞬間、ぱっと剥がれ落ちてしまったのだ。幸い、ベストは羽織ったままだったが。大崎に調教された乳首が無意識に反応した。微弱な電流にも似た、ピリピリとした感覚。青海はそれを、よく知る快楽として置き換えないよう努めた。拳を握りしめた。平然を装って箱を降ろし、振り返った。
「では。戻ります。」
「あ、はい!」
青海の足取りは再び教職員用トイレへと向かった。役目を終えた絆創膏と別れを告げた。その過程で、何度も喘ぎをこらえなければならなかったことか。万が一に備えてスーツのズボンと下着まで下ろしておいて、ほんとによかったと思った。絆創膏をゴミ箱に捨てる最中にも、性器の先から透明な液体が込み上げてきたのだから。
その後、青海は午後の授業に10分遅刻した。「体育の先生を手伝っていたから」という言い訳で、生徒たちを納得させることはできた。しかし内心では、こう判断していた。どうやら、大崎の「試み」が過度な影響を及ぼしているようだ、と。
***
事情を聞いて、大崎がした提案はとんでもなかった。
「慣れさせてみてはどうですか」
「…?」
「最初から状態を固定してしまうんです。『今』が『通常状態』として認識されるように。」
青海が最初に抱いた考えは、「論理的には理解できない」というものだった。しかし、大崎の声には確信が込められていた。彼の主張はこうだった。どうせ大崎が触り続け、口に含み続けるなら、以前のような状態には戻れないだろう。だからといって、青海が禁止令を出すわけでもなかった── この点については青海の意向を尋ねたが、青海も断ることはないだろうと一蹴した── 。それなら方法は一つ。慣れることだ。日常生活に支障をきたさないレベルまで適応すれば、解決する問題だというのだ。
「しかし。今すぐ解決しなければなりません」
次に青海が懸念したのは、時間的な問題だった。夏が徐々に深まり、服装も軽くなるのは明らかだ。大きな動きを一度や二度しただけで剥がれてしまう絆創膏では、乗り切れないようだった。何か、物事を迅速に進めるための手段が必要だった。
「それなら、これを提案します。」
カチッ。軽い金属音が響いた。大崎は手袋をはめた手をゆっくりと広げた。青海は一瞬たりとも目を離さずにそれを見つめていた。その手のひらには、銀色のアクセサリーが二つ置かれていた。
「…これは。」
「ピアスです」
「……、」
青海の並外れた頭脳は、この状況を瞬時に理解した。ついていけなかったのは、青海の感情だけだった。しかし、それも大崎が彼の腰を抱きしめた途端、同じような強さに合わせていった。大崎が「大丈夫ですね?楓さん……」と囁いた。溶けてしまいそうなほど熱い情熱が、冷静な判断力を曇らせた。青海は思わず頷いた。
「痛くないように……してください」
「もちろんです」
***
針をはじめとするすべての道具は徹底的に消毒した。本土で選んで大切に持ち帰ったピアスも同様だった。青海からの相談の電話を受けた時、大崎はすぐにアクセサリーショップへ駆け込み、これを買ってきたのだから。
大崎は乾いた唾を飲み込んだ。青海は手術を待つ患者のように大人しく横たわっていた。広々と敷かれた布団は、いつも通りふかふかだった。腰と背中に当てた枕が椅子の役目を果たしていた。青海は帯の上から浴衣をずらして脱いだ。肩から胸、みぞおちまでが恥ずかしそうに露わになった。
「動いては、いけません……」
緊張のせいで、普段より声のトーンが低くなった。青海は思わずビクッとしたが、すぐに姿勢を正した。彼は、足りないクッションの代わりに、大崎が着ていたシャツをぎゅっと握りしめた。布の感触と、手のひらを満たすその感触が、彼を落ち着かせた。
大崎は彼が準備できたことを確認した。かなり太い針を手に取った。普通のピアス穴を開ける時よりも、倍は太みのある種類だった。しかし中は空洞になっており、用意されていたピアスを差し込むことができた。青海の肩に力が入った。状況のせいか、胸の突起がさらにピンと立っているのが恥ずかしかった。
「っ、……」
冷たさ極まりない消毒用コットンが乳首を撫でるように通り過ぎた。その場所に鋭い先端が位置を定めた。そして、青海が息を吸い込んだその瞬間に合わせて、ズブッと突き刺した。
「うっ…!」
鋭い感覚が胸から脳へと駆け巡った。痛いのか、気持ちいいのか。よく区別がつかなかった。青海は驚いたように顔をしかめ、大崎が彼を優しく押さえて落ち着かせた。
「こちらの方は終わりました」
くるくると、銀色のボールを回して固定する様子が見えた。貫かれた部位が痺れるように痛んだ。以前よりもさらに赤く腫れ上がり、今や痛そうに見えさえした。それでも青海は大人しく横たわっていた。大崎がもう片方の胸の肉を集めていた。
「は、……ふっ」
小さな喘ぎ声が漏れた。大崎は彼をなだめるようにキスをした。我を忘れて舌が絡み合い、チュチュと吸われているうちに、いつの間にか痛みは引いていった。酸素不足で意識が朦朧としている隙を突いて、同じ消毒用綿と針が反対側を通り抜けた。
「うっ……、くっ」
「……いかがですか」
慎重な問いかけ。青海は顔を上げた。生理的な涙のせいで視界が揺れた。間違いなく目元も、もしかすると頬も、真っ赤に染まって見苦しいだろう。しかし、大崎は愛おしそうに、あちこちに口づけをした。塩辛い液体が彼の舌先に染み込み、消えていった。目の前が少しすっきりした。
「よく、分かりません……」
「……」
そこで、大崎の視線は下へと向かった。率直に汚れた腹の皮の上をなぞった。平らな腹と、きれいにくぼんだへそが目を引いた。大崎は、自分を支配しようとする衝動と一瞬戦った。他人の体に、それも同意なしに穴を開けるわけにはいかなかった。
「…は、うっ、大崎さん、そこ、」
痛くて……、青海の声は涙で濡れていた。大崎ははっと顔を上げた。いつの間にか青海の胸元に顔を埋めていたことに気づいた。傷口から少しずつ滲み出る血を舐め取り、無意識に歯を立てていた。大崎は慌てて顔を離した。
「……かえで、さん」
ただ。極度に興奮している最中でも、彼の拙い推理能力は働いていた。青海楓は本来、「表に出さない」人だった。どんな拷問をしても。それなのに、このように感じるたびに口に出しているということは、以前証明された信頼の延長線上にある。彼は弱みを見せているのだ。大崎が喜んで彼の悲鳴を引き出せるように。 それでも大丈夫だ、というように。
「……」
脳が破裂しそうだった。限界を超えていた。大崎は基本的に、哀れな人に心を寄せるタイプだった。弱者の味方であり、たとえ強者であっても、哀れな姿を見せれば寛大になった。
そんな状況で。愛する人のそんな姿を見ることになったら、どうだろうか。
「大崎さん。血が……」
ビクビクと震えながら、青海が腕を伸ばした。見知らぬ感覚に支配された手が、ガクガクと震えていた。彼はゆっくりと大崎に触れ、鼻の下に流れたものを拭ってあげた。青海の手の甲が真っ赤に染まった。大崎は、自分の顔にこれほどまで血が上っていることさえ気づかなかった。
「あ、うっ。」
何か言おうとした瞬間。大崎が彼に再びキスをした。血の匂いがした。その違和感に満足を感じながら── 手を下ろした。
「っ、ふっ」
塞がれた口から喘ぎ声が漏れた。青海の帯が解けた。大崎が白く赤い液体にぬめった手で、おぼつかない手つきで探った。青海は彼を止めようとしたが、すぐに諦めた。大きく開かれた太ももを、荒々しい指が滑り落ちた。もはやどれが火傷の跡で、どれが血痕なのかも区別がつかなかった。大崎はそのまま指を一本押し込み入れた。
「うっ、……はっ」
その頃になってようやく息ができた。唾液の糸がパッと切れて落ちた。青海は混乱で濁った目を転がした。興奮で何も見えなくなっている大崎と視線が合った。それは交感というよりは、捕食の場面のようだった。本能的な警戒心が鳴り響いた。青海には、直感的に危険を察知し、制圧する卓越した才能があった。
……しかし。彼は逃げもせず、先制攻撃も仕掛けなかった。ただ、少し後ろに身を引いて耐えた。大崎の指は入り口のひだを広げたり、ぐっと押し込んだりし、時には内壁を振り払うかのように広げた。指の本数を一つ増やしてからは、まるでハサミで切り開くかのように広げた。青海の内壁は、異物を押し出す代わりに、引き寄せるようにまとわりついた。大崎が手を引き抜くと、赤い肉が少しずつ引きずり出された。
「ふぅ、ひいろ、さん。私が……、やります」
「……、はい」
大崎の声が低く沈んだ。感情が煮えたぎっているようでもあり、内心の葛藤が喉を掻きむしっているようでもあった。青海は熱い息を吐き出した。彼は大崎を軽く押した。それほど強い力ではなかった。それでも大崎は進んで横になった。
「、……っ」
青海は膝をつき、中途半端な姿勢で身構えた。ピンと立った性器が青海の臀部に触れ、滑った。青海は細い指を曲げて、その柱を握った。息を整えながら、ゆっくりと穴に合わせようとした。腹筋に力がこもった。大崎は彼の精液と少量の血で染まった下腹を優しく撫でた。青海の体は緊張と弛緩を繰り返した。
「……あ、」
入り口が亀頭の先端を包み込んだ。すでに指とは異なるボリュームが感じられた。内壁がぴったりと大崎のものを締め付けた。大崎がだるげな息を吐いた。彼は矛盾した欲望を感じていた。このまま青海が頑張る姿を見たいと思っていた。一方で、本能のまま腰を突き上げたいとも思っていた。まだ動かないのは── 最後の理性そのものだった。
「うっ、っ」
青海のぎゅっと噛みしめた歯の間から、喘ぎ声が漏れた。極点を優しく振れたからだ。首筋が熱く燃え上がった。胸元から込み上げてきた焦燥感は、それ以上の快楽に埋もれた。心地よい電流が彼の四肢を包み込んだ。意志とは無関係に、力がぐっと抜けていった。
あぁ、ずっと、このまま。
身体は同じ感覚を求めてさまよった。青海の腰が小さく円を描いた。内壁が弾力的に性器を包み込んだ。そして絞り出すように圧迫し、どうにかしてさらに触れようとした。まるで奥へと引き込むような動きだった。その時、大崎の忍耐は底をついた。
「ヒッ…! うっ、ふっ、あ…!」
彼は青海の腰をがっちりと掴み、荒々しく腰を振った。一気に根元まで突き刺さった。平らな腹部が丸く膨らんだかと思うと、ぱっとへこんだ。青海は姿勢を崩さないよう必死に耐えた。大崎の引き締まった腹筋に腕を突き立て、あえぎながら耐え抜いた。
「あっ、ひいろさん、それ、……!」
「早すぎる」と懇願する間もなく。青海の目が大きく見開かれた。重力でさらに深く沈み込んだせいか── 普段押し付けられない部分にまで届いた。内壁の最深部。急角度で曲がり、塞がっている場所だった。鋭い痛みが快感の合間にも感じられた。大崎は止める気配を見せなかった。むしろ望んでいるかのように、突き入れを続けた。
「ん、っ、うっ」
もう傷ができるかどうか確かめる余裕もなかった。青海は羞恥心が湧くままに下唇を噛みしめた。内臓を容赦なく殴られているような感覚だった。その苦痛が、どうしても「気持ちいい」へと置き換わってしまうのもまた問題だった。大崎がドスンと、殺気立ったように突き入れるたびに、目の前が点滅した。一面真っ白になったかと思えば、火花が散るように閃光が走った。青海は声を殺すのを諦めた。口を開けて、足りない息を吸い込んだ。へっ、はっ、と荒い呼吸をした。そのせいで、少し飛び出した舌がパサパサに乾いていくことにも気づかなかった。
「うっ、ふぅ……」
その時、大崎が上半身を起こした。彼は叩いていた壁を勢いよく開くと同時に、青海の舌を吸い寄せた。舌が互いに擦れ合った。そのまま整った歯並びと口蓋をなぞりながら、口を塞いだ。青海は、どちらの感覚に集中すべきか分からなくなった。へその辺りがズキズキと痛み、息が足りず、いつも整然としていた頭の中が乱雑に乱れた。大崎は、そのすべての思考と意志から青海を切り離したいかのように動いた。多少強く押し進めても彼が構わないということは、すでに学んでいた。大崎もまた、興奮で正気ではなかった。大崎が再び腰を動かした。
「楓さん」
「ふっ、ん、ううっ」
「…次は…、」
「チェーンでもつけてみましょうか」。文脈とは関係なく、思いつくままに口にした言葉だった。青海が彼を抱きしめたかと思うと、はっと驚いて胸元を離すのも。その上に、銀色のピアスと赤い乳首が体液で光っているのも。過度に刺激的だった。それらが大崎に奇妙な満足感と所有欲をかき立てた。
醜いほどに相手を独占したい。青海はよく自分がそうであるかのように話すが 、それは決て彼だけの感情ではなかった。大崎はいつだって、青海の恋人という立場を独占したかった。彼のすべてを細かく切り刻んで飲み込むことはできないと分かっている。自分より長く、異なる環境で生きてきた相手の精神的な部分を占領することはできないという事実も知っている。だから……これくらいならいいじゃないか。彼の肉体的な変化を引き起こし、毎回自分のことを思い出させる仕掛けをするくらいなら。
大崎にしては巧妙な方法だった。解決策ではなく、罠に他ならなかった。 それでも青海は受け入れた。 不思議と納得できたのだ。愛すれば目が曇るといったが。その言葉通り、涙でびっしょりと濡れた視界は、何もはっきりと映し出さなかった。なのになぜか、愛おしい恋人がどんな表情を浮かべているのか予想がついた。青海は虚しく息を吸い込み、もがきながらも── 「いや」という言葉の代わりに、喘ぎと口づけを返してきた。
「うん、っ、そ、しても……、だいじょ、……!」
「……、」
しかし、答えを言い終えることはできなかった。大崎が自制心を失って突き刺したせいだった。奥に粘り気のある液体が溢れ出した。「満腹」とはどういうことか、身をもって理解したような気がした。青海は繰り返される絶頂で、ほとんど透明な液体しか出しきれなかった。
「……はあ、ふっ……」
大崎がゆっくりとペニスを引き抜いた。一度長く射精した後でも、その勢いは衰えなかった。青海は自分の体力の消耗が普段より激しいと思ったが、そう口にする代わりに、少しの間待った。
「……」
下腹部の様子は見るに堪えないものだった。あらゆる体液が区別なく混ざり合い、陰部や太ももを汚していた。青海の整ったへそにも白い液体がこびりつき、みすぼらしかった。
「あざが、できそうです。胸に」
「……温湿布をして差し上げます」
「お願いします」
ピアスを開けた部位から、暴力的に殴られた腹の皮膚まで。すでに斑点が少しずつ浮き上がっていた。大崎は罪悪感を込めてそれを撫で下ろしながらも、一方で下をちらりと覗いていた。
「緋色さん」
「…はい」
「必要ですか。」
何が?余韻に浸った頭では、すぐには理解できなかった。大崎が呆然と見つめていると、青海は自ら後ろに倒れ込んだ。もっと直感的に。膝を抱え込み、指一本がやっと入るくらいの小さな隙間を太ももの間に作って。流れ落ちる液体はそのままにしておいた。
「……」
「……」
やがて、大崎の引き締まった体がその上を覆った。
***
青海のわずかな出血は、かなり長く続いた。性行為によって度々衝撃が加わったためだった。大崎は相変わらず週に一度、長くても月に一度は必ず彼に会いに来ていたし。盛りの青年を独りぼっちにしておくわけにもいかないのだから。
「見てください」
だいぶ治りました。青海がそう言った頃には、暑い季節はすっかり過ぎ去っていた。ピアスを開けることにした当初の目的とも、いつの間にかかけ離れてしまっていた。彼の隆々とした胸とピアスは、何枚もの服で巧みに隠され、そのことで気をもむこともなかった。それは「順応」することに成功したという意味だった。
「…っ。」
しかし、青海の感覚が鈍ったかといえば── そうではなかった。大崎が握るだけで肩が跳ね上がり、優しく回して刺激した途端、肌着が濡れていった。二人きりの場では、むしろ敏感になっているようにも思えた。大崎はそれを好んでいた。いつも穏やかだった顔が、瞬く間に赤く染まった。青海が慌てて大崎の腕を掴んだ。
「……、」
そして、自分の胸の中心へと導いた。頂点を曲線で結ぶチェーン。青海は、その先端に大崎の手を添えた。
「……これは、」
明白な合図。青海は上体を少し低くした。もともと大崎より背が少し低かったが、そうすることで、すっかり見上げる目線に変わった。真紅の瞳が、ほのかな笑みを浮かべた。
「……、緋色さん。」
大崎はチェーンを引っ張った。鼻を鳴らすような音と共に、唇が重なった。
どうやら、自分の恋人より先走ることは、一生ないだろうと思った。
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