極低温環境(液体窒素レベル)で、部品固定や導通接続が必要になる場面があります。一方で、温度差が大きいと材料が収縮・膨張し、接着界面が剥がれることが課題になりがちです。そこで今回、ONE-HAND MIXING®を用いて -196℃⇔常温の熱衝撃試験(10回) を行い、接着力の変化と破断面を確認しました。
結果として、接着力残存率72% を確認し、破断面は 凝集破壊 でした。極低温環境での適用可能性を検討するうえで、有用な示唆が得られました。
✅結論(今回確認できたこと)
-196℃⇔常温の熱衝撃を10回与えた条件で、接着力は 7.5 MPa → 5.4 MPa となり、残存率は72% でした。
破断面は処理前後ともに 凝集破壊 でした。
以上より、今回の条件では、極低温環境を含む用途での適用可能性を検討するための基礎データが得られました。
✅検証方法
試験片
〇 #240の紙やすりで研磨したアルミ板
〇 アルミ板上に直径約5mm、高さ約5mmの円柱状硬化物を作製
熱衝撃条件
〇 液体窒素(液温 -196℃)に30秒浸漬
〇 常温に20〜30分間晒す
〇 上記を10回繰り返し
接着力の確認
〇 ボンドテスタで側面から力を加え、破断する力を測定
〇 破断面を観察し、凝集破壊/界面剥離などを判定
✅検証結果
試験片作成条件
〇 25℃で5日以上放置・乾燥後、100℃で1時間加熱
処理前(試験温度 25℃)
〇 接着力:7.5 MPa
〇 破断面:凝集破壊
液体窒素処理後(試験温度 25℃)
〇 接着力:5.4 MPa
〇 破断面:凝集破壊
接着力残存率:72%
※「凝集破壊」は、界面が先に剥がれるのではなく、材料内部で破断している状態を指します。今回の結果は、(少なくとも本条件では、)界面剥離が支配的にならなかったことを示唆します。
✅考察
乾燥・硬化条件の影響
〇 加熱によって反応を進めた試験片で、比較的良好な結果が得られました。硬化状態が安定していることが、熱衝撃下の挙動に影響した可能性があります。
充填材の寄与の可能性
〇 バインダのみの検証では試験中に剥離する結果となりました。今回の条件では、極低温環境での接着性には充填材が寄与している可能性があります。
✅想定される用途
宇宙開発:人工衛星のセンサー・光源等の導通接続
医療機器:MRI装置など超伝導機器の部品固定
研究開発:低温試験装置内での電子部品固定、超伝導実験
産業用途:寒冷地で使用される機器の導通補修
試作・評価:研究開発用途における試作・評価工程
✅まとめ
今回の検証では、「ONE-HAND MIXING®」の極低温(-196℃以下)環境での使用の可能性を確認しました。極低温環境で使用できる材料は限られている中、今後の研究やものづくりの幅が広がることに期待されます。