導電性接着剤は、電子機器の進化とともに存在感を増してきた材料です。本稿では、その基本原理、配合技術の工夫、歴史的発展を整理したうえで、「ONE-HAND MIXING®」がもたらす革新性について紹介します。
✅導電性接着剤とは
導電性接着剤は、樹脂に銀などの導電性フィラーを分散させることで、硬化後に電気を通す性質を持たせた接着剤です。
樹脂マトリクス:エポキシやアクリルなど、接着強度や耐久性を担う。
導電性フィラー:銀粒子や銀コート銅粒子など、電気を通す役割を担う。
両者の組み合わせにより、「接着」と「導通」という二つの機能を同時に実現します。
✅配合技術の進化
導電性接着剤の性能は「フィラーの種類・形状・配合比率」と「樹脂設計」の最適化によって大きく左右されます。
フィラー設計:球状銀粒子は流動性に優れ、フレーク状銀は導通性を確保しやすい。近年はナノ粒子や表面処理技術の進展により、より低抵抗で安定した接合が可能になりました。
樹脂設計:硬化速度・耐熱性・柔軟性など、用途に応じて選択されます。自動車用途では耐久性、電子部品用途では微細パターンへの追従性が重視されます。
これら配合設計の工夫によって、はんだに匹敵する低抵抗性と、信頼性の高い接着性を両立できるようになっています。
✅実用化までの歴史
導電性接着剤の実用化は1970年代にさかのぼります。当初は半導体実装や軍需分野での特殊用途が中心でした。その後、
1980〜1990年代:携帯電話や液晶ディスプレイの普及に伴い、フレキシブル基板や透明電極用途に拡大。
2000年代以降:鉛フリー化や環境規制の強化により、はんだ代替材料として注目。
近年:自動車の電動化・電子化や、ウェアラブル機器など新しい応用領域が増加。
こうした流れの中で「導電性接着剤=特殊用途」から「量産対応可能な汎用材料」へと進化してきました。
✅注目される背景とONE-HAND MIXING®の特長
このように長い進化の歴史を持つ導電性接着剤の中で、「ONE-HAND MIXING®」は「高性能を、より使いやすく」という思想から開発されました。
常温硬化で熱ダメージ回避
精密部品やフレキシブル基板に安心して使用可能。
低抵抗と高接着性の両立
銀フィラー配合設計により、はんだに迫る導電性と高接着力を実現。
優れた塗膜耐久性
硬化後は拭き取り・摩擦に強く、長期安定性を保持。
作業性の革新
特殊カートリッジにより、片手でワンプッシュするだけで二液自動混合・吐出が可能。従来の比率管理や手動混合を不要にしました。
✅まとめ
導電性接着剤は、半世紀以上にわたる配合技術と用途展開の歴史を背景に、今や多様な産業を支える基盤材料となっています。その中で「ONE-HAND MIXING®」は、高性能と作業性を融合させた革新的な製品として、自動車からエレクトロニクス、研究用途まで幅広く活用が期待されています。