自動車のリアガラスに備わっている熱線(デフォッガー)は、冬場の霜取りや梅雨時の曇り除去に欠かせない装備です。しかし、荷物の積み下ろしや清掃時にうっかり傷をつけてしまうと、熱線が断線し、本来の性能を発揮できなくなります。
修理工場に持ち込むと、リアガラスそのものを丸ごと交換するケースも多く、部品代・工賃を含めて数万円から十数万円の費用がかかることもあります。「ちょっとした断線なのにそこまで払うのはもったいない」と感じる方も少なくないでしょう。
実は、この断線補修は専門的な工具や技術がなくても、自分の手で簡単に行うことができます。導電性接着剤 ONE-HAND MIXING®(ワンハンドミキシング) を使えば、必要な量をワンプッシュするだけで2液が自動的に混合され、面倒な練り合わせ不要。短時間で確実に断線をつなぐことが可能です。
ここでは、修理工場に頼む前に試してみたい「車のリアガラス熱線が断線したときの補修方法」を、準備から施工、確認のポイントまで詳しく解説します。
作業をスムーズに進めるために、以下の道具を事前に準備しておきましょう。
ONE-HAND MIXING® 本体:導電性接着剤。補修の主役です。
アルコールまたはガラスクリーナー:補修箇所を脱脂・清掃するため。
柔らかい布やペーパータオル:清掃用。キッチンペーパーより繊維の出にくいものがおすすめ。
マスキングテープ:補修部分を囲んで、はみ出しを防止。
ヘラや綿棒:接着剤を均一に伸ばすための道具。小さめが扱いやすい。
ドライヤー:気温が低いときの乾燥促進に使用。
手袋(推奨):手や衣類に接着剤が付かないようにするため。
これらが揃えば、あとは落ち着いて手順通りに作業するだけ。特別な工具や高額な設備は必要ありません。
まずは断線部分を探します。肉眼でもうっすら線切れが見える場合がありますが、不安ならテスターで導通チェックをすると確実です。
断線部分がわかったら、アルコールを含ませた柔らかい布でしっかり拭き取りましょう。ここで汚れや油分が残っていると、接着剤が密着せず「直したのにすぐ剥がれた」という残念な結果につながります。
※ティッシュは繊維が残りやすいので避けましょう。
補修箇所をテープで細く囲みます。目安は断線部分+1〜2mm程度の幅。テープを真っすぐ貼れば仕上がりもシャープになります。
よくある失敗は「広く囲みすぎて不格好になる」こと。補修後に後悔しないためにも、貼る前に仕上がりをイメージして幅を決めましょう。
ONE-HAND MIXING® を軽くワンプッシュ。チューブから出てくる瞬間に2液が混ざるので、出したものをすぐ使えます。
断線の真ん中に少量を置くイメージで吐出すると、あとで伸ばしやすくなります。ここで欲張って多く出すと、厚塗りになって乾燥不良の原因になります。
付属のへらや綿棒で、線に沿ってなぞるように薄く伸ばすのがコツ。少しオーバー気味に塗り広げても、マスキングをしていればはみ出さずきれいに仕上がります。
厚みがあると通電しにくくなるので、「断線をつなぐ橋を架けるイメージ」で最小限に伸ばしてください。
塗り終えたらすぐにマスキングを剥がします。乾いてから剥がすと端がガタつくので要注意です。
常温1日程で乾燥しますが、冬場で気温の低い時期は乾燥が遅れがち。導通が確認できない場合は、ドライヤーで温風を15分ほど当てましょう。
加熱のポイントは「近づけすぎないこと」。ガラスが急に熱を持つと割れる危険があるので、10〜20cm離して全体を温めるイメージで。
乾燥後にスイッチを入れ、補修部分が他の線と同じように発熱するか確認します。
曇りが均等に消える
テスターで導通がある
この2点を満たしていれば補修は成功です。
周辺温度が低いと乾燥(反応)に時間が掛かり、導通しない場合があります。その際はドライヤー等で15分以上加温することで反応が進み、導通性が確保されます。
吐出と同時に面塗布ができる「刷毛型ミキサー」(別売)を使えば、作業がさらにスムーズになります。特に補修面積が広い場合や複数箇所の断線補修におすすめです。
「ONE-HAND MIXING®」は、最小限の工程で確実に補修できるのが大きな特長です。DIY感覚で扱いやすい一方、仕上がりの美しさや耐久性も確保できます。リアガラスの断線補修だけでなく、各種導電用途にも幅広く活用いただけます。