ニュージーランドにおける国際移住研究

日本からニュージーランドに移住された方を対象にアンケート調査を引き続き行っています
(2024年7月現在)

 研究主体:加藤  潤三    (KATO Junzo)  立命館大学産業社会学部  教授/  前村 奈央佳 (MAEMURA Naoka)  神戸市外国語大学国際関係学科  准教授

研究の目的

現在、海外にいる在留邦人は131万人いるとされており、ニュージーランドにも約2万人の日本人が生活をしています。人が国を超えて移動する理由は様々ありますが、最近の国際移住においては、生活の質やライフスタイルの向上を目的とした『ライフスタイル移住』が増加しています。ライフスタイル移住が増えた背景には、バブル崩壊後の「失われた二十年」の間に生じた人々の価値観や生き方の変化がありますが、2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発事故、さらにこの数年間のCOVID-19の騒乱も、人々の安心・安全なライフスタイルに対する志向性を高めています。

本研究は、高リスク状況にある近年の日本社会において、人々を国際移住へと向かわせる要因、および移住後の適応を促進させる要因について、社会心理学的な観点から検討することを研究の目的としています。 

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研究の背景

日本の移民の歴史を紐解くと、1885年のハワイへの官約移民から本格的に始まったとされています。明治~戦後における移民は、主に経済的・政治的要因によって海外へ渡航しましたが、劣悪な労働環境や人種差別、さらには戦争という時代背景も相まって、極めて過酷な状況にありました。しかしこの移民の先達者は、高い定着率と勤勉さで、現地社会に貢献するだけでなく、郷土とのつながりによって戦争に荒廃した日本社会も支えてきました。

その後、日本の戦後復興と経済発展によって移民の送り出しは減少しましたが、日本企業の海外進出や学歴社会の流れもあり、海外へ渡航する駐在員や留学生が増加しました。

しかし1990年代以降のバブル崩壊やリーマンショックによる経済的低迷、さらには阪神淡路大震災や東日本大震災などの巨大災害は、人々の価値観や生き方を大きく変えました。それに伴い、ワークライフバランスの取れた生活や自己実現、日本社会の閉塞感からの逃避など、ライフスタイルを志向した『ライフスタイル移住』が増えてきました。 

研究方法

研究Ⅰニュージーランドをフィールドに、国際的なライフスタイル移住をされた皆様を対象とするインタビュー調査を実施します。個々のライフストーリーを分析することで、国際移住における個人の心理的・社会的な変化を詳細に検討することができます。

研究Ⅱニュージーランドにおられる在留邦人(永住者・長期滞在者)の皆様を対象とする社会調査(Survey)を実施します。多くの方にご協力いただくことにより、ニュージーランド移住者の心理的傾向について客観的・一般的に把握することができます。

※研究にご協力いただくことで、皆様ご自身の移住経験を振り返っていただく機会になれば幸いです。

調査をしている人

立命館大学産業社会学部

教授

神戸市外国語大学

国際関係学科

准教授

お問い合わせ

本研究プロジェクトについてのご質問は加藤[jkatoアットマークfc.ritsumei.ac.jp] 

までご連絡ください*送信される際は、アットマークを@に変えてください。