〇研究の概要

・2020年度 研究室の卒業論文テーマ

情報がまとまりましたら公開します。

・大気中CO2濃度の上昇に伴う冷温帯樹木の光合成特性・水分生理特性の変化

Free Air CO2 Enrichmentと呼ばれる屋外でCO2を付加できる装置を用いて、将来予測される高CO2濃度環境下での冷温帯樹木11種の環境適応特性について調べました。光合成の順化や水利用効率の増加、さらに木部の水分通道組織の変化が認められました。

・人工林皆伐後の天然更新の成否を決める要因の探索

森林管理にかかる大きな費用の一つは、伐採後の再造林です。このコストを減らすために天然更新を選択することがあります。どういう環境ならば天然更新によって高木性樹木の更新が認められるのか。その要因を一般化線形モデルを用いてピックアップしました。

・人工林の強度間伐に伴う下層植生及び残存木の成長評価

間伐コストを低下するために、通常よりも高い間伐率(40%)で間伐を行うことがことがあります。この強度間伐によって、残存木の成長や下層植生の多様度はどうなるのか。主に林業的なメリットに着目をしながら、モニタリング調査を実施しました。

・ナラ枯れ跡地における里山林再生に向けた森林整備方針の検討

里山林では、森林整備が行われず放置されることによって、ナラ類の大径化が目立っています。そのことが原因で、カシノナガキクイムシによるナラ枯れが広がりました。大径のナラ類の枯死により、立地環境がどう変わり、更新稚樹の成長生残にどのような影響がでるのか。森林の公的的機能の回復に焦点をおきながら、モニタリング調査を行いました。

・樹木の樹高・直径・材積を推定できるアプリの開発

森林の価値を評価するためには、対象森林からどれだけの丸太(材積)がとれるのかを評価することが一般的です。そこで階層ベイズモデルを利用して、樹木の任意の高さの直径、樹木全体の幹材積を推定する方法を検討しました。またこの結果を、無料のアプリ(細り表アプリ)として公開し、林業の現場で使えるようにしました。なお、この細り表アプリは、アンドロイド、iフォンどちらでも利用できます。


・ニホンジカ急増による森林被害を軽減するためのICTツールの開発

シカの著しい増加によって、国内の森林や農地が甚大なダメージを受けています。被害対策を効率化を図るため、シカの出現可能性の高い場所を推定するモデル式を構築しました。このモデルには、GPS首輪調査から得たシカの行動情報や、多くの方から収集したシカ目撃情報などが使われています。シカ出現予測結果は、やるシカない!という無料アプリで一般公開しました(該当区域は愛知県のみ)。なお、引き続きシカ目撃情報を集めるため、ツイッターを利用して情報提供を呼びかけています。