恋する惑星
恋する惑星
(1995年公開)
監督 ウォン・カーウェイ
作品紹介
太陽系を擬人化し太陽に恋した地球が自身のダメージも厭わずに、恋にのめり込み、周囲の者を巻き込みながら破滅していく過程を恋愛とディダスターを組み合わせて表現した移植の香港映画。
といったトンデモ映画ではなく、昔の彼女のことが忘れられないまま、麻薬の運び屋の金髪女性(ブリジット・リン)に恋をしてみる警官223番(金城武)。警官633番(トニー・レオン)に淡い恋心を抱いて、偶然手に入れた鍵で彼の部屋に忍びこむハンバーガー・ショップ店員のフェイ(フェイ・ウォン)。出会い、すれ違い、刹那的な恋を繰り返す若者たちの群像劇。
本作を高く評価し、配給権まで買ったのはなんとクエンティン・タランティーノだった(当時経営していたローリングサンダー・ピクチャーズが購入した)。
本作の予告映像を見ると「ヴィレッジ・ヴォイス」というアメリカの新聞社が出したコメントが引用されている。
「クエンティン・タランティーノ? 忘れちまえ、そんな名前! いまは、ウォン・カーウァイの時代だ!!」
と大変威勢の良い文言が出てくるが、ヴィレッジ・ボイス社はなにも本質的なことを理解していなかったのだろうとしか言いようがない。
当然と言うのか、必然と言うのか、ヴィレッジ・ボイス社は2018年に廃刊している。
本作の魅力は2つ、トニー・レオン、金城武、フェイ・ウォン、ブリジット・リンといったスタイリッシュなアジア人キャスティング、手持ちカメラを使った撮影や、自然光を使った撮影など当時斬新だった映像表現が重なり多くの人に支持された。
90年代前半の香港の雰囲気が味わえる作品となっておりおすすめです。