(1982年公開)
監督 テッド・コッチェフ
作品紹介
ハリウッドを代表する男の一人。そう「映画人」と言える男、シルベスター・スタローン。彼の代表作は複数あり、人それぞれベスト・スタローンがあるだろう。
特に、今回紹介する本作ランボーとロッキーは二強と言うに相応しい。
いずれ、ロッキーも紹介することになるとは思うが、記念すべき第1号記事としてはランボーにさせて頂いた。
ランボーと聞いて大量の火薬と銃弾の雨霰。派手な肉弾戦を想像する人が多いのではなかろうか。実のところ、それ以降のランボーシリーズやスタローンが出演した作品において、イメージ通りの作品が多く、爆破と殴り合いの印象になってしまうのも無理からぬ事と思う。
同時に「ランボー」を観てもいないのに「筋肉バカアクション」と思われている節がある。
大変残念だ。
多くの人がこの素晴らしい作品を紹介し、好事家や映画を専門としている批評家が論じることによってイメージ払拭を試みているが、未だ「筋肉バカアクション」の位置付けで、ゴッドファーザーの様に「重みのある作品」として語られることは少ない。
当学会としても、イメージ払拭の一翼となればと思っている。
ベトナム帰還兵のジョン・ランボーは戦友を訪ねて山間部の田舎町を訪れる。しかし戦友は、戦争で浴びた化学兵器の後遺症で癌を患い、既にこの世を去っていた。戦友宅を辞去し、食事をとるため街へ入ったランボーに、保安官ティーズルが声をかけるが、ティーズルはランボーがトラブルを起こしそうな身なりや顔つきだと判断し、偏見から街を素通りして出ていけと高圧的な態度で告げ、ランボーをパトカーに乗せて市街地の外れへと追い出す。それでも来た道を戻り街へ入ろうとするランボーを、ティーズルは公務執行妨害とサバイバルナイフ所持で逮捕し保安官事務所へと連行する。
留置所で言われのない暴力を受ける中、戦時中の捕虜体験がフラッシュバックしたランボーは保安官達を倒し逃亡してしまう。
ランボーはかつてアメリカ軍最強の特殊部隊グリンベレーの一員だった。
追われる身となったランボーは山に逃げ込み、ここに「一人だけの軍隊」が州警察、州兵達を迎え打つ。
ここまで読んだ方ならお分かりだろう。
実は思われているより、地味な作品で、アクションを全面に売り出している訳ではなく、ベトナム帰還兵の悲哀が描かれた大変可哀想な男が主人公なのである。
彼の苦悩はPTSDと言う言葉が浸透した今だから、より深く理解されると思う。
友を亡くし、自由の為にと戦った若者が帰って来ると石を投げられる状況で、更に差別される。
あまりにも惨めで、酷すぎる状況をどう変えるのか。
原作『一人だけの軍隊』より圧倒的に救いのあるラストが用意されつつも、それでも苦しいラスト。
更に言えば、その後の彼の人生(ランボーシリーズ)を考えると、彼の幸せ、安住を願ってやまない。
鑑賞未経験者はランボー泣きして欲しいし、既に鑑賞済みの方は是非年に数回思い出したように見返して欲しい。