オレの恋人は可愛い
オレの恋人は可愛い
ピンク色の花束を持って現れたシエテを見て驚くと同時に、ドス黒い感情がじりじりと身を焦がす。彼にとてもよく似合っている可愛らしい花束は、誰から貰ったのか、それとも誰かに捧げるのか、考えるだけで周囲をめちゃくちゃに壊してしまいそうになった。勿論、デートの前にそんなことはしない。表情にも出さずに堪えた。
まさかそんな可愛い花束を、オレに似合うと思って買ってくるだなんて思いもしていなかった。
オレのことを可愛い可愛いと言ってくるシエテこそ可愛い生き物だろう。力強く特別な音のする存在が、何も身に着けず無防備な姿でオレに全てを委ねるなんて正気とは思えない。オレの行動一つ一つに反応して音を奏でる。涙を浮かべて痛くて苦しいはずなのに、目を細めて笑いかけてくれる。日に日に愛おしさが増していき、壊してしまいたくもなる。
パフェを頬張りながら、目の前に座るシエテの顔を眺める。目が合うと照れくさそうに微笑んでくれた。目の下に笑い皺が寄っているのを見て思い出してしまった。オレの恋人の、可愛い姿を。
待て、と飼い犬のように待たされている。艇を発ってから今日の夜がくるまで、いつもより長く感じる。オレからのキスは拒んだくせに、シエテから耳にキスをしてきたのはいくらなんでもやり過ぎだ。あの特徴的な髪の先から足の爪先まで何十倍にもしてお返ししてやりたい。
可愛い可愛い恋人に焦らされ続けるのも悪くないが、そろそろ我慢の限界だ。