白菜畑の妖精
白菜畑の妖精
満点の星が輝く澄んだ夜、その中でも一際煌めく七星の光の尾が、どこまでも続く空を写したかのような広大な畑の端との距離を狭めた寒い冬の暁の出来事です。
凍てつく鋭い風が吹き荒び、触れた拍子に星の表面の極一部が畑に零れ落ちた。落ちた先に並んだ白菜の一つが、その眩い星の光の欠片が凍えぬよう優しく包み込んだ。
光を包んだ白菜の隣で生まれ育った同じ大きさの白菜は、同じように在りたいと強く願い、頭上に広がる空に嫉妬する大地がそれに応えた。ありったけの土の奥底の養分を固めた光を包み込んだ白菜は、たとえ後に朽ち果て食卓に並べなくなろうとも、隣の白菜と等しく光を包み込めたことを悔いることはなかった。
太陽が顔を半分覗かせる頃には白菜たちの葉は微かに綻び、中に眠る一組の光の頭の先端を照らした。すぐに春が来て葉が開き、流れる星の光の髪をした妖精と、深き大地の髪をした妖精が、同時に眼を開いて対となる互いを見つけるまで続く静けさは、遠い遠い過去のこと。握りしめた手を開き、手と手を重ね合わせる頃から、幾久しく波瀾が途絶えることはありません。
これは、人とは異なる畏き剣士と魔術師が世界を旅する英雄譚よりも、ずっとずっと昔の御話なのです。