あかいみはじけた [R18]
あかいみはじけた [R18]
自身の壊れる音以外に、何か新しい音を聞きたくなった。
一番素晴らしいのは自身の壊れる音だ。それ以上はない。幸福で満たされてはいるが、たまには別の音も楽しみたい。
すぐに生き物を壊す依頼に同行したいと団長に直訴した。出来れば人間がいいが、魔物でもいいと言うと団長は難しそうな顔をしてから、素材集めを頼んだ団員について行ってもいいと許可してくれた。あわよくばその団員を事故に見せかけてほんの少しだけ壊してみてもいいかなと思ったが、団長はオレのことを深く理解してくれているため、同行者は熟練の剣士で全く隙がなかった。
日帰りで近場に散歩がてら必要な素材を獲って帰る予定だったらしい。当然、出てくるのは弱い魔物ばかりだ。しかも彼はとても強い剣士だから的確に斬り捨てていく。骨が砕けることも、内臓が潰れることもない。退屈で仕方ない。魔物は彼に任せて団長が欲しがっているという植物を探すことにした。日を改めて団長の依頼に同行しよう。
「ちょっと、あんまり離れないでくれないかな~」
空返事をしながら男を背にして気の向くままに歩く。植物が多く生息していそうな方角へ向かう。部屋の中でクラポティを聞いている方が有意義だったかもしれない。
後悔しながら茂みに入っていくと、突然、草むらが激しく揺れて魔物が飛び出てきた。丁度いいタイミングだった。タワーの手で自身が壊れる音と、今この瞬間が二重奏になるのを試してみるかとわざと足をもつれさせる。やってきた衝撃は期待していたよりも随分と軽いものだった。
バキッと上質な骨が折れる音がした。
何かが始まる予兆、全身が弾けるような祝福の音色だ。
感銘を受けていると、気がついたら地面を転がっていた。土と草の匂いに混じって血の臭いがする。骨の折れる音をリフレインしながら空を見る。雲ひとつない青空が広がっている。
「馬鹿野郎っ!」
飛ばされてきた罵声で意識が戻る。声の方を見ると、同行者がこちらにふらつきながら向かってくる。彼が発した音だったのか。離れた場所にいたのによく一瞬で割って入れたなと他人事のように思った。
飛び出してきた魔物は既に肉塊に変わっている。
「はぁ……怪我は?」
「キミの判断のおかげで無傷だ。メルシー、シエテ」
「そう、足がもつれてたみたいだけど平気なんだな。それじゃ、さくっと右肩嵌めてくれない?」
右腕がぶらりと垂れ下がり、左側はおかしな方向に曲がっている。音がしたのは左腕なのだろう。
「左側の方が重傷のようだが」
「まずはこっちから。早くしてよ」
体の力を抜いて無防備に凭れ掛かってくる。肩を掴んで押し込むと金色の睫毛が揺れる。顔色は青白く、うっすらと脂汗をかいている。唇を薄っすらと開き、浅い息を繰り返す姿が煽情的に見える。
「くっ、上手だね。じゃあ、次はこっち」
「あ、ああ……」
曲がった腕を真っ直ぐに戻せということだろう。言われたとおりに骨を元の位置に動かしてやる。痛みが最小限で済むように魔術を使って一瞬ですませた。
「ぐぅっ! はあ、はあ、流石に治るまで少し時間かかるから、その辺の枝で固定してくれないかな?」
とてもイイ声を耳の近くで受けてしまった。全身に電撃を浴びたような大きな衝撃が走った。呆然として相手の顔を見る。
「あはは、そんなにショックだった? そんな繊細なタイプじゃないって聞いてたけどなぁ」
重症のくせにこちらを心配するような顔をしてくる。そんなことよりも大変なことが起こった。
「いや、今の音と声で達してしまって……その……」
あまりの衝撃で昂りを抑えきれなかった。こんなことになるなら昨晩のうちに抜いてくれば良かった。なるとは思わないからこうなっているのだが。
「はぁっ!?」
驚いているがこっちの方が驚きだ。人前で触らずにイクなんて初めての経験だ。
「腕を固定し終えたら下着を洗ってきてもいいかい?」
「いいよ、こっちは自分でやるから先に洗ってきてくれるかなぁ」
嵌めたばかりの右腕で頭を抱えている。流石に気まずいのでお言葉に甘えてこの場を後にする。
ふらふらと水が流れる音のする方角へ歩く。下着の中が濡れていて歩きにくい。小川にたどり着くと下着を脱いで洗う。硬く絞ってから脇に置き、指を鳴らしてクラポティを出した。
シエテの骨を曲げた時に漏れた「ぐぅっ」という声をリピートする。聞くたびに心臓を鷲掴みにされるような衝撃が走る。他の音声も再生する。段々と、痛みに呻いた声だけでなく普通に話す声も非常に良いもののように感じてくる。語尾が伸びて甘えたような話し方だ。
「オーララ……嘘だろ……」
何故か再び下半身に熱が溜まってきてしまい、処理をしてから湿った下着を履いて戻った。
シエテは木陰に座り目を閉じていたが、近づいていくと気配を察知したのかすぐに立ち上がった。
「随分と時間がかかったねぇ、こっちもポーション飲んで休んでたら治ったからいいんだけど」
日が傾いている。かなり時間が経っていたことに驚く。
言葉を失っていると慰めるように肩を叩かれた。
「いや、まぁまだ若いし。皆には黙っててあげるから早く帰ろう」
「録音した音を確認していたらまた滾ってしまって」
顰めた顔も愛嬌があって良い。彼はこんな顔をしていたのかとまじまじと眺める。垂れた目尻も、個性的な髪型も、長いもみあげも魅力的に見えてくる。空色の瞳と目が合うと心臓の動きが早くなる。
「あーうん、もうそれ以上言わなくていいから。ささっ、行こう」
シエテの左腕を掴む。完全に治っているようで力を込めてもびくともしない。ポーションを飲んだといっても回復力が常人離れしている。
「んー……手、ちゃんと洗ってきてるよねぇ?」
何を警戒しているのか察して黙って頷いた。
「それならいいけど。もう大丈夫だから行くよー。お腹空いちゃった。今日の晩ご飯はなんだろうね」
歩き始めたシエテの少し後ろからついていく。来た時よりも早いペースで歩いていて、話をする雰囲気ではない。
不思議な癖のついた髪が上下するのを見ながら、音のことを考える。折れる音だけじゃなく、声もよかった。もっと聞きたい。幸せの音とは性質の違う良い音だった。もっとシエテのことが知りたい。
「団長ちゃんへの報告と納品はお兄さんがしておいてあげるから、そのまま部屋に帰っていいよ。着替えたいでしょ?」
「メルシー。今度、正式にお礼がしたい」
「気にしなくていいのに。まぁ、また今度ね」
去っていくシエテに、思わず手を伸ばして肩を掴んでしまう。あんなことがあったのに微笑みかけてくれる。
「もう大丈夫だって。おやすみ、ロベリア」
だめだ。完全にオレの頭も体もおかしくなってしまった。心臓の辺りを握って痛みを耐える。
原因不明の痛みを避ける為にもシエテに接触しないようにしていたが、どうしてもまたあの音を直接聞きたくて耐えられない。胸の痛みも酷くなっていく。クラポティに収めた音だけでは満足出来ない。
「サリュ、シエテ」
食堂の入り口を張って目的の人物に近づいた。
「ああ、……大丈夫?」
あの日のことを思い出す度に、全く大丈夫ではないのだが笑ってみせる。今も心臓が激しく動いている。あまりに大きな音がするものだから、シエテにも聞こえてしまわないか不安になる。
「キミこそ怪我の具合は?」
左腕を見ると、ぐるぐると回して無事をアピールしてくる。
「何の問題もないよ。ああいうことには慣れてるから気にしないでいいって」
シエテの手をとって両手で握る。ガントレットで覆われていて直接肌に触れられないのが残念だ。きっちりとした武装は、白い肌を最小限にしか見せてくれない。
「キミはオレの命の恩人だからお礼がしたいんだ」
庇われずとも死にはしなかったが、接点を失いなくないので大袈裟に表現をする。
「あ~、うん。いいって。同じ団の仲間を守るのは当然のことだから」
団員という存在を、団長の仲間としか認識していないのでシエテの言っていることにはピンとこない。ただ、照れくさそうに笑う姿を見ていると、こっちまで照れくさくなってくる。
おかしな空気になりそうだったので話を進める。
「それでまた散歩に行く時は連れていって欲しいんだ」
「……考えておくよ」
「くはっ、楽しみにしてる」
手を離して部屋へ戻る。足取りが軽い。シエテと話せるだけでこんなにも気分が良くなるだなんて。これからは毎日話しかけよう。
連日シエテを探して声をかけ続けると、苦笑しながらも長く会話を続けてくれるようになった。
「散歩、行く? 艇から少し離れた場所なんだけど」
「ああ!」
待望の散歩に誘われて、2人で艇を停めた街の近くの森へと歩く。どうやらシエテはオレの能力を測りたいようで色々と質問をされたり、注文を受ける。そのどれも予想を上回る結果を出したようで上機嫌だ。褒められて気分も良い。
「ロベリアの魔術は便利でいいね」
「くはっ、キミの期待に答えられたようで良かった」
完全に信頼してくれているようで無防備に背中を向けて欠伸までしている。
頃合いを見て、地面を少し隆起させたり音をずらしたりと試してみるが、小さな悪戯では怪我をする気配がない。
「あのさぁ、いい加減にしろよ。何が目的な訳!?」
苛立っている姿は初めて見る。これはこれで良いが、笑っている時の方が良く思える。なによりもあの骨が折れた時の音が最高だった。
「この前のような音が聞きたい。キミの音は素晴らしかった。トレビアンッ! 何かが弾ける音がして思い出すだけで気持ちが昂るんだ」
思いっきり顔を顰めた後に、顎に手を当てて暫く何かを考え始めた。
「やっぱり、そういうことかぁ」
「なにがだ?」
聞き返しても教えてくれない。
「毎日会いに来るしそうかもしれないって思ったけど、勘違いかもしれないし、俺もそういうのには詳しくないからさ……参ったなぁ」
「さっきからなんの話をしてるんだ」
置いていかれているようで苛立ってくる。折角2人きりなのだから一緒がいい。
「あー、うーん、そうだね……うん、俺も痛いのは嫌だから、別のことにしない?」
「別のこと?」
シエテの顔が目の前に近付いてきて、距離がなくなった。唇に柔らかい肉が当たってチュッと軽い音がした。
「こういうこと」
得意気に、にんまりと笑う顔を見て心臓が激しく跳ねる。顔から全身が熱くなっていく。
こういうことがどういうことか理解した。キスまでされたら流石にわかる。この胸の痛みは恋愛感情が原因なのだ。そうとわかると全身に血液が激しく流れる。
「あははっ、また川に行ってくる?」
「一緒に?」
手を取って指先を握ると、困ったように眉を下げる。それでも強く握り返してくれた。
「う~ん、川は嫌だなぁ」
折角、原因が判明したのに離れたくはない。逃したくない。
「どこなら一緒に行ってくれるんだ」
「……そうだなぁ、ロベリアの部屋とか?」
予想もしていなかった場所の提案に驚きつつ、このまま部屋に2人きりで行ったらどうなるのか考える。シエテが、好意を抱いている相手がオレの部屋に来る。当然ながら音が部屋の外に漏れないようにする。部屋に着くまで誰にも見られないようにすれば……シエテに力づくで無理やり何かをするのは難しいとは思うが、キスはしてくれたからその先も……。安易な期待をしてしまい、頭を左右に振る。
「部屋に2人きりだと、オレはキミになにをしてしまうかわからない」
「へぇ、例えば?」
余裕を持った笑みを浮かべてこちらの言葉を待ってくれている。
「シエテは野良犬が交尾をしているところを見たことがあるか?」
「まぁ、何度かあるよ」
「……そういうことをしてしまうかもしれない」
顔が暑い。シエテはきょとんとした顔をした後に腹を抱えて笑い出した。
「あははっ!」
「笑わないでくれ」
笑いながらもそんな口説き文句見たことも聞いたこともないと合間に言っている。別にオレだって今のは口説き文句ではなく注意喚起で言っただけだ。恥ずかしくて片手で目元を覆い隠す。口説くならきちんと言葉を考えてから言いたい。
シエテは笑い過ぎてひぃひぃと言っていたが、大きく息を吐いてからぼそっと呟いた言葉は意外なものだった。
「しよっか、そういうこと」
上から見下ろすような目で見られると背中がゾクゾクと震える。冷たくこちらを軽蔑するような笑みをしているが、それもまたよく似合っている。
「本当に? トレビアンッ!」
信じられない。嬉しくてこの場でタワーを呼び出して一緒に踊り回りたい気持ちだが、シエテの気持ちが変わらないようにグッと拳を握り締めて堪える。
「有能な魔術師に命を狙われ続けるよりはマシかな」
この際、シエテの思惑はどうだっていい。あの音を奏でた、あの声を発する身体と触れ合いたい。
足早に艇に帰る道すがら思ったことを伝える。
「キミの骨が折れる音を聞いた時、脳が弾けるような衝撃を受けた。あれはウヴェルテュールだったんだ」
とても素晴らしかった。何度も聞いたあの音がきっかけで充実した日々を過ごせている。
「さっきのもそうだけど、そういう口説き文句はどうかなぁ。他の人に言う時は気をつけなよ」
注意してくる言葉は全く響かない。さっきのも今のも口説き文句ではないし、他の誰かを口説くなんてことは想像がつかない。
「こんなことはキミにしか言わない」
思ったままを伝えると、シエテの決して多くはない露出している肌が全て真っ赤に染まった。どうやらこの程度のことで照れているようだ。
「……それならいいけど」
シエテの足運びが早まる。駆けるような速度で移動する背中を追いかける。
そういうことに詳しくないと言っていたとおり、恋愛事や人と触れ合う経験が多くないのかもしれない。誘ってくれるということは今はフリーなのだろうか。骨の折れる素晴らしい音と、苦痛を感じた時に漏らす声以外のことは何も知らない。もっと、シエテのことを知りたい。
部屋に来てもらってから2時間は経過した。触れるだけのキスではなく、もっと深く食べるようなキスもした。白くて張りのある肌は触れても吸いついても興奮を掻き立てる。
乾燥した時に肌に塗るオイルがあったおかげで前戯はスムーズに進行している。途中、赤い痕を付けるのに夢中になりそうにもなったが、今付ける前にはどこにも痕がなかったことに気がついて我に返った。少なくとも痕が残るほど直近に、オレ以外がこの白い肌に吸い付いてはいない。焦燥感に駆られる。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら後孔を押し広げていく。狭くて固くて熱く指を締め付けてくる。
「あの、さぁ……早く……終わらせたいんだけど」
シエテは全身が真っ赤にして震えている。目は蕩けて眉が下がりきっていて艶かしい表情でこちらを見ている。
「痛いのは嫌なんだろう?」
指は3本入るようになったがまだまだ狭い。極力、痛みを感じさせない為にはもっと馴染ませないといけない。指だけでもっと感じてくれるといいのだが、前立腺に刺激を与えたり、一緒に会陰部をなぞっても唇を噛み締めて辛そうな顔をするだけだ。
今も会話しながらオイルを足して指を動かし続ける。
「そうだけどっ、……この状態も辛いんだよ。ほら、ロベリアも辛そうじゃない?」
「キミの為なら我慢する」
陰茎はガチガチに昂っており下着を押し上げて苦しいが、これからシエテにする行為の過酷さを思えば我慢出来る。
「はっ、この前は音だけで出ちゃったのに?」
こちらを挑発するように鼻で笑って見せてくるが余裕はなさそうだ。顔中にじんわりと汗をかいて、口からは浅い息が漏れている。顔を舐めようとすると嫌そうに体をくねらせる。
「今日は慣らすだけで、挿れなくてもいいんだ」
嘘だ。いち早く繋がりたい。他の誰かにとられる前に自分のモノにしたい。触れ合うだけで満足するだなんて無理だ。嘘を吐いても逃すわけにはいかない。
耳元で思ってもいない言葉を囁くと、途端に泣きそうな顔をされてしまう。何か間違えたかと不安になって顔を寄せると腕で顔を隠されてしまった。
「早く……挿れてよ、大丈夫だから」
少しでも情報が欲しくてシエテの首に手を当てる。太い血管をどくどくと激しく血が流れている音がする。シエテも焦れている。懇願されるのはなんて幸せなことなんだろう。
「ウィ、キミが望むなら」
ゆっくりと先端を埋めていく。挿れるだけで脳が溶けそうなくらい気持ちが良くて達してしまいそうになる。
背中に手を回されてシエテの顔が見える。目を強く瞑り苦悶の表情を浮かべていて、この表情はオレがさせていると思うと胸が疼く。唇を噛み締めて、すぐに達しないように耐える。
「ぅあっ、あぁ、ね、ねぇ……キス、してよ」
目の前で蕩けた空色の瞳がこちらを見つめている。噛み締めていた口元を緩めて唇と唇を重ねると、気持ちの良さに脳が弾け飛んでしまいそうだ。陰茎が根元まで入ったはいいが、舌を軽く噛まれると耐えきれずに達してしまった。
「くっ……はぁっ……」
荒く息を吐き出す。ぼたぼたと汗が垂れる。腰を引かないといけないのに動かしたくない。このまま繋がっていたい。シエテの様子を窺うと、こちらが我慢しきれなかったことがわかっているようで口角を上げて笑っている。
「はっ、……あはは。まだ、出来そう?」
背中に手を回される。悪戯な指先が背中にくるくると円を書く。すぐに硬度が戻っていき、腰が勝手にゆるゆると動いてしまう。オレの形に馴染むように中に擦り付けていると、シエテが腰を引こうとする。逃すまいと両手で掴んで打ち付けた。喉を震わせて全身が反り返る。
「あっ……あっ……あぁ……んぅ」
次はなるべく長く味わいたくて、肉欲よりも音に集中して行為に耽る。荒い息遣いも、早鐘を打つ心臓の音も素晴らしい。
「シエテっ」
堪らず名前を呼ぶと中がキツく締まる。絞り取られるような感覚に再び達してしまった。
満ち足りた感覚に浸りながら体を離す。陰茎を引き抜くと、縁が赤くなった穴は開いたままで白濁した性液が溢れて零れ落ちる。淫美な光景を眺めながら荒くなった息を整える。二人共、小走りくらいでは全く乱れなかったのに、今は荒い呼吸音が部屋の中に響く。
「ねぇ、満足した?」
甘ったるい声に頷いて答える。それだけではこの感動を伝えきれないと、言葉を紡ごうとするが説明が難しい。
「キミの音は、言葉じゃとても言い表せない。内臓が弾けて飛んだような衝撃が……」
話している最中に唇が重ねられてその先の言葉を封じられる。唇同士だけでなく、胸も腕も脚も触れ合う。血が流れる音が混ざり合う。肉と肉を触れ合わせているだけなのに満たされる。
「満足したか聞いてるんだけど。ほら、全空一の剣士を抱いた感想は?」
シエテがオレの陰茎を緩く握ってきてゆっくりと上下に摩る。慣れていなさそうな体をしていたのに、煽るのが非常に上手い。
「くはっ! トレッビアンッ! 足りてない。キミの音をもっと知りたい、もっとしよう、シエテ」
誘われるままに覆い被さるとシエテの顔中にキスを落としていくと、両手で頬を包まれて目線が合う。優しい目をしている。ゆっくりと口が薄く開くのを視界の端でとらえる。
「何かが弾ける音、ずっと聞こえなかった振りをしてたんだよね」
それがどういう意味か聞きたいのに、またしても唇で言葉を遮られてしまう。まともに喋れないまま睦み合い、朝を迎える。
気を失うように眠り、目が覚めるとシエテのことを抱き締めていた。触れ合う部分から鼓動が伝わってくる。寝顔はどこか幸せそうにしていて、起きている時よりもずっと幼く見える。
何かが弾ける音がしたと言っていた。きっと、シエテなりの口説き文句だったのだろう。シエテが目を覚ましたら回りくどい言葉は使わずにジュテームと愛の言葉を伝えて、口説き方というものを教えてあげたい。いくら教えることが下手であっても、シエテよりは上手く出来ると思う。