第27回日本プロ音楽録音賞
受賞作品&エンジニア紹介
受賞作品&エンジニア紹介
本賞は音楽文化と産業の発展の一翼を担う録音エンジニアが制作し応募した音楽録音作品について、エンジニアが有する音楽に対する感性、技術力等を評価することにより、授賞対象優秀作品および最優秀作品並びにベストパフォーマー賞を選定し、これに携わり制作を担ったエンジニアおよびベストパフォーマーのアーティストを顕彰することでエンジニアの技術の向上と次世代エンジニアの発掘を図ることを目的とし、表彰を行うものです。 昨年はコロナ禍の影響で残念ながら中止とさせていただきましたが、今年の第27回は感染症対策を講じながらの運営を決定しました。 全178作品の応募の中から審査委員会の厳正なる審査を経て優秀作品を選定し、12月6日(月) キング関口台スタジオにおいて開催した授賞式で、表彰および最優秀賞の発表をいたしました。
「受賞作品」計16作品
・Best Sound部門:クラシック・ジャズ・フュージョン(最優秀賞1作品、優秀賞1作品)
・Best Sound部門:ポップス・歌謡曲(最優秀賞1作品、優秀賞1作品)
・Best Sound部門:ポップス・歌謡曲~35歳以下の部(優秀賞1作品)
・Super Master Sound部門(最優秀賞1作品、優秀賞1作品)
・Immersive部門 (最優秀賞1作品、優秀賞1作品)
・アナログディスク部門 (最優秀賞1作品、優秀賞1作品)
・放送部門:2chステレオ (最優秀賞1作品、優秀賞1作品、審査員特別賞 1作品)
・放送部門:マルチchサラウンド (最優秀賞1作品、優秀賞1作品)
「ベストパフォーマー賞」1作品
【審査日および本審査会場】
※全日程において審査委員および運営スタッフのPCR検査、および換気状態を把握するために二酸化炭素濃度をモニターしながらの審査を実施しました。
Best Sound部門 2021年11月1日、5日 ソニー・ミュージックスタジオ 3st
Super Master Sound部門 2021年11月1日、5日 ソニー・ミュージックスタジオ 3st
アナログディスク部門 2021年10月18日、19日 ビクタースタジオ 202st
2021年10月27日 ワーナーミュージック・マスタリング
Immersive部門 2021年10月23日 東京藝術大学 北千住キャンパス 2st
放送部門 2021年11月6日 NHK放送センター本館CD-520st
【 受賞作品&エンジニア紹介 】
Best Sound部門 クラシック、ジャズ、フュージョン 応募作品47作品
☆最優秀賞
「BEYOND THE STANDARD 4 ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14/黛敏郎:バレエ音楽「舞楽」」より
「ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14 より第4楽章 断頭台への行進」
アンドレア・バッティストーニ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
発売元:日本コロムビア株式会社
フォーマット:96kHz/24bit 2ch
〇マスタリング・エンジニア:佐藤 洋 日本コロムビア(株)
ミキシング・エンジニア :塩澤 利安 日本コロムビア(株)
マスタリング・エンジニア:佐藤 洋 日本コロムビア(株)
《プロフィール》
1990年スタジオ業務に携わる。1993年マスタリング・エンジニアとなり現在に至る。
《受賞の感想》
この度は、第27回日本プロ音楽録音賞Best Sound部門「クラシック、ジャズ、フュージョン」において「最優秀賞」に選定頂きありがとうございます。常に魅力のある作品創りを目指し臨んでいる中で、このような形で評価して頂けたことは、とても嬉しく光栄に思います。
この作品は、「BEYOND THE STANDARD」シリーズと銘打ち、アンドレア・バッティストーニ指揮×東京フィルハーモニー交響楽団と日本コロムビアDENONレーベルがその両者の持てる力を最大限に引き出すためセッション録音を行い、クラシック王道の名曲中の名曲と、日本人作曲家による傑作をカップリングし、時代と国を越え、新しいスタンダード作品を生み出すプロジェクトです。
マスタリング作業でのリクエストは、精度の高い録音、ミックスされた音源の空気感と臨場感、ダイナミクスを最大限に活かすようにとのことでしたので、様々な方向性を模索し、提示、検討を繰り返し、音の粒立ちと躍動感のある、現代に相応しい新たなオーケストラサウンドを目指しました。明るく鮮明で迫力のある演奏をホールの響きと共に楽しんで頂けましたら幸いです。
最後に、この作品に携わった全ての方々に心から感謝申し上げます。これからも、この栄えある賞を励みに、魅力ある作品を一人でも多くの人に楽しんで頂きたいという気持ちで取り組み、日々努力を続けていきたいと思っております。本当にありがとうございました。
ミキシング・エンジニア :塩澤 利安 日本コロムビア(株)
《プロフィール》
クラシック、ジャズの録音に深い興味を持つ。アーティストそれぞれの「魅力」と「感動」が伝えられる作品創りを心掛けている。
スタジオ録音とホール録音の両立、そしてソロから大編成、ステレオからサラウンド、
PCM録音、DSD録音など、あらゆる録音を究めたいと努力の日々である。
過去に於いて多数作品の本賞を受賞。
佐藤 洋
〇優秀賞
「Salon de Mari Platinum Songs ~Special Edition~」より
「Waltz for Debby」
ミズノマリ
発売元:(株)JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
フォーマット:96kHz/24bit 2ch
〇ミキシング・エンジニア :谷田 茂 (株)JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
マスタリング・エンジニア:川﨑 洋 (株)JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
ミキシング・エンジニア :谷田 茂 (株)JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
《プロフィール》
バークリー音楽院を経て1995年ビクタースタジオ所属。現在に至る。
2005年第12回日本プロ録音賞 優秀賞受賞。
2006年第13回日本プロ録音賞 最優秀賞受賞。
2011年第18回日本プロ録音賞 優秀賞受賞。
2013年第20回日本プロ録音賞 最優秀賞受賞。
2015年第22回日本プロ録音賞 優秀賞受賞。
2016年第23回日本プロ録音賞 最優秀賞受賞。
《受賞の感想》 ビクタースタジオ 谷田茂
この度は、栄えある優秀賞を頂きましたこと、とても栄誉のあることと感動しています。
先ずはじめに、御推薦してくださったe-onkyo様には大変感謝しております。ありがとうございました。
この栄誉は私個人の力ではなく、今回のレコーディングに関わられた歌手のミズノマリさん、プロデューサーの杉山洋介さんをはじめ、バンドのメンバーやスタッフの皆様、これまで私を育てて頂いたビクタースタジオのスタッフと、私を支えてくださった全ての皆様のお陰であると実感しております。
このような栄誉ある賞を受賞できたことを心から感謝するとともに、今後とも、多くの方々にお力添えを頂きながら、音楽制作に邁進していきたいと思います。(ビクタースタジオ 谷田茂)
マスタリング・エンジニア:川﨑 洋 (株)JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
《プロフィール》
1982年日本ビクター株式会社 カッティングセンター入社。
1989年ビクターエンタテインメント株式会社 ビクタースタジオ移籍。
2000年FLAIR設立にあたり核のメンバーとして参入。
現在は若き巨匠との評価を受け業界をフィールドとして幅広く活躍。近年は写真家、ドローンパイロットとしての仕事も増えている。今回の受賞作のジャケット写真の撮影も担当した。
谷田 茂
Best Sound部門 ポップス、歌謡曲 応募作品62作品
☆最優秀賞
「KOE」より「甘い煙」 佐藤千亜妃
発売元:ユニバーサル ミュージック合同会社
フォーマット:96kHz/24bit 2ch
〇ミキシング・エンジニア :安達 義規 (株)ミキサーズラボ
マスタリング・エンジニア:柴 晃浩 (株)テイチクエンタテインメント
アシスタント・エンジニア:日浦 佑弥 (株)ミキサーズラボ
ミキシング・エンジニア :安達 義規 (株)ミキサーズラボ
《プロフィール》
2001年ミキサーズラボ入社。WESTSIDE STUDIO勤務。数々のレコーディングのアシスタント~エンジニアの経験を経て、2007年よりマネージメント契約。2019年よりミキサーズラボ外部取締役。
《受賞の感想》
この度は第27回日本プロ音楽録音賞『Best Sound部門 ポップス、歌謡曲』において、
最優秀賞に選定して頂き誠に感謝申し上げます。
今回の受賞にあたり、佐藤千亜妃さん、共同プロデュースの河野圭さん。作業しやすい環境を用意していただいたEMI RECORDSの渡辺雅敏さん、北山俊さん、ホリプロの菅原健臣さん、田中千暁さん、千葉さつきさん。素晴らしい出音と色々なアイディアを出してくださったミュージシャンの方々。沢山のサポートをしてくれたアシスタント、その他関係者の皆様に熱く御礼申し上げます。
今回受賞させていただきました『甘い煙』はアルバム『KOE』の1曲で、1年かけてアルバムを作っていたので、コミュニケーションも上手く取れており、デモの段階で唄もアレンジも素晴らしいものでした。
マスタリングでは、柴さんが唄にフォーカスを置きつつ、心地よい圧と抜け感を出していただき、素晴らしい仕上がりにしてくださいました。
このようなセッションに参加でき、とても光栄でした。ありがとうございました。
安達 義規
〇優秀賞
「oar」より「December 13」 角銅真実
発売元:ユニバーサル ミュージック合同会社
フォーマット:48kHz/24bit 2ch
〇ミキシング・エンジニア :奥田 泰次 studio MSR
マスタリング・エンジニア:木村 健太郎 Kimken Studio
ミキシング・エンジニア :奥田 泰次 studio MSR
《プロフィール》
上原キコウ氏に師事した後、prime sound studio formを経てstudio MSRを拠点とするエンジニア。クラブ・ミュ ー ジ ッ ク の 影 響 を 受 け サ ウ ン ド・メ イ ク に 興 味 を 持 つ 。2 0 2 1 年 は Templay、Mono No Aware、中村佳穂、AJICO、AI、YUKI、SOIL&”PIMP”SES SIONS、ハナレグミ、原田郁子、Nakamura Emi、荒内佑、ドレスコ ーズなどの作品に携わる。現在、バイナル・カッティングの修行中。
《受賞の感想》
このような栄誉ある賞をいただけたことを感謝申し上げます。この作品は角銅さんを中心に素晴らしいミュージシャンによる一斉に録音した緊張感のあるセッションでした。
この先も多くの方に聞いていただきたい作品です。ありがとうございました。
マスタリング・エンジニア:木村 健太郎 Kimken Studio
《プロフィール》
メジャーからアンダーグラウンドまで幅広い作品を手がけるマスタリング・エンジニア。SAIDERA MASTERINGやオレンジという名門スタジオを経て、KIMKEN STUDIOを設立。手がけた作品は電気グルーヴ、石野卓球、七尾旅人、フィッシュマンズなどをはじめ多岐にわたる。その専門知識を活かし雑誌やウェブメディアに多数寄稿もしている。
奥田 泰次
~35歳以下の部~
〇優秀賞
「THE BEST」(YRCN-95314)より 「花」jealkb
発売元:株式会社よしもとミュージック CD
ミキシング・エンジニア :吉貝 和也 (株)サウンドクルー
ミキシング・エンジニア :吉貝 和也 (株)サウンドクルー
《プロフィール》
中学生の時にギターを始める。
高校生の時にバンドを組んでドラムやベースも経験し、それぞれの楽器の音作りに興味を持つ。
宅録し始めたのをきっかけにレコーディングエンジニアを目指す。
東京ビジュアルアーツ専門学校卒業後サウンドクルースタジオに入社
《受賞の感想》
この度はこのような栄えある賞を頂き誠にありがとうございます。
光栄に思うと同時に身の引き締まる思いです。
2000年前後のメロコアや青春パンクブームで育った自分にとって、あまりバンドで賑わっていない近年の音楽シーンは少し寂しくも感じていました。
今回賞を頂いた作品はそんな寂しさを吹き飛ばすほどの感情が溢れた作品となっています。
エンターテイメント性の高い楽曲も多く、芸人がやっているバンドとイロモノ扱いされてしまいがちですが、お客さんを楽しませる事を重視しつつもこの曲のようにしっかり想いを届ける事もできるバンドです。
この作品からも真剣に音楽に向き合っている事が伝わるように仕上がっていると思います。
この作品は俯瞰的に見た奥行き感で美しく仕上げるというよりも、バンドの中に入って一緒に演奏しているような気持ちになれるよう意識してMixしています。
客観的ではなく、ぜひバンドと一緒に同じ方向を向いてメンバーそれぞれの想いも感じながら聴いて頂けたらと思います。
この度は本当にありがとうございました。
吉貝 和也
Super Master Sound部門 応募作品16作品
☆最優秀賞
「ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 Live from Muza! ≪名曲全集第155回≫」より
「ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調 第3楽章 Presto」
大友直人(指揮)・東京交響楽団、黒沼香恋(ピアノ)」
発売元:(株)オクタヴィア・レコード DSD11.2MHz
〇ミキシング・エンジニア :江崎 友淑 (株)オクタヴィア・レコード
ミキシング・エンジニア :江崎 友淑 (株)オクタヴィア・レコード
《プロフィール》
1962年、大阪生まれ。㈱オクタヴィア・レコード代表取締役。クラシック音楽の制作プロデューサー、レコーディング・エンジニア。幼少よりピアノ、トランペットを習い、クラシック音楽に親しむ。桐朋学園大学卒業後、㈱オフィス・トゥー・ワンにテレビ番組の制作アシスタントとして入社。1988年、㈱ポニー・キャニオンにてクラシックの制作ディレクターとしてCDの制作をはじめる。1994年 1995年、仏・ミデム、リーダーズ・チョイス Producer賞。1994年~1998年、ステレオ誌 最優秀エンジニア賞 7回連続1位獲得。1999年、㈱オクタヴィア・レコードを設立。これまでに、ノイマン、アルブレヒト、アシュケナージ、朝比奈隆、小林研一郎、井上道義をはじめとする指揮者や多くの演奏家の1,300タイトルを超える録音を手掛ける。これまで、内外において録音制作に掛かる多くの賞を受賞している。また、音楽家であった経験を活かし、プロデューサーとしてアーティストの絶大なる信頼を得ている。
《受賞の感想》
本年度の栄えある日本プロ音楽録音賞Super Master Sound部門 最優秀賞に選ばれ、とても光栄に存じます。
この録音は、コロナウイルス感染拡大が現実味を帯びてきた2020年3月上旬、突如演奏会開催が出来なくなり、試験的に無観客で演奏を配信という形でお客様にお届けしようという目的で行われたライヴです。
今思えばこの当時、出演者、事務方、そして我々、皆が未知の脅威の前に不安を感じながら真剣に取り組んだ演奏と収録の結果がこのような奇跡の録音につながったと記憶しています。
今なお続くパンデミックの影響で、演奏会などへの影響への懸念は尽きませんが、音楽の持てる力を信じて、私たちが出来ることへの努力は続けて参りたいと存じております。
改めまして、この度は誠に有難うございました。
江崎 友淑
〇優秀賞
「Direct Cutting at King Sekiguchidai Studio」より
「Love Theme from Spartacus(スパルタカス 愛のテーマ)」 井筒香奈江
発売元:JellyfishLB DSD11.2MHz
〇ミキシング・エンジニア :高田 英男 (株)ミキサーズラボ
アシスタント・エンジニア:高橋 友一 (株)キング関口台スタジオ
ミキシング・エンジニア :高田 英男 (株)ミキサーズラボ
《プロフィール》
1969年 日本ビクター入社(現JVCケンウッド)ビクタースタジオに配属
ビクタースタジオにて録音エンジニアとしてアイドル、ポップス、ジャズなど
アコーステック録音を中心に多くのヒット作品を手掛ける。
2001年ビクタースタジオ長
2016年(株)ミキサーズラボとエンジニアマネージメント契約&顧問就任
日本音楽スタジオ協会会長。
《受賞の感想》
第27回、日本プロ音楽録音賞 Super Master Sound部門にて優秀賞を頂き、心より感謝申し上げます。賞を頂いた楽曲ですが、キング関口台スタジオにてダイレクトカッティングレコード制作時にパラで録音(DSD11.2MHz)した音源です。
ダイレクトカッティングによるレコード制作録音は約40年振りであり、大変緊張した録音現場でしたが、井筒香奈江さん含めミュージシャンの皆様が、緊張感を楽しんで演奏されている感じもあり、エンジニアとして大変助けられた録音現場でした。
特にダイレクトカッティングレコード制作をトラブルなく進める為に、キング関口台スタジオからは全面的に技術サポートを頂き、更に“チーム井筒”として一緒に録音現場をサポート頂きましたエンジニアの高橋友一氏、マスタリング・カッティング・エンジニアの上田佳子さんによるきめ細かな現場対応のおかげで、大変スムーズな録音制作を進めることが出来ました。
上田さんには配信ファイル作成時に、オリジナルマスター音源を基準とした拘りのファイル制作をして頂きました。
井筒香奈江さんによる音楽の世界を「素直で音色の深さ」に拘り、ダイレクト2ch録音で制作した作品です。
ハイレゾリューションならではの深く柔らかで音楽空間が広がる、井筒香奈江さんによる「音楽の世界」を楽しんで頂けましたら幸いです。
(株式会社ミキサーズラボ 高田英男)
アシスタント・エンジニア:高橋 友一 (株)キング関口台スタジオ
《プロフィール》
2015年3月(株)キング関口台スタジオ入社
アシスタント・エンジニアとして録音部に配属。
現在は次世代を担うメイン・エンジニアとしても活躍。
特にアコースティック系のセッションを得意とする。
高田 英男
Immersive部門 応募作品21作品
☆最優秀賞
「冨田勲・源氏物語幻想交響絵巻 Orchestra recording version」(RME-0015)より
「桜の季節、王宮の日々」 冨田勲 / 藤岡幸夫 指揮・関西フィルハーモニー管弦楽団
発売元:株式会社エムアイセブンジャパン Blu-ray Auro-11.1(7.1.4)
〇レコーディング・ミキシング・エンジニア :入交 英雄 (株)WOWOW
アシスタント・エンジニア :大川 宏明 (株)ミリカ・ミュージック
レコーディング・ミキシング・エンジニア :入交 英雄 (株)WOWOW
《プロフィール》
1981年 九州芸術工科大学大学院芸術情報伝達修士課程終了
同年 株式会社 毎日放送入社
2013年 九州大学芸術工学府芸術工学専攻 博士(芸術工学)授与
2017年 株式会社WOWOW出向
《受賞の感想》
このたび、冨田勲氏の「源氏物語幻想交響絵巻」がイマーシブ部門で優秀賞の誉にあずかりました。何より、冨田勲氏との最後の仕事でもある本作品がようやく世に出て先生の遺言が果たせ、肩の荷が下りると共に、栄誉ある賞を頂いたことを心から嬉しく思います。
本作品は、3管編成のオーケストラに5台の和楽器と語り部、さらに4ch再生音響によるムジークコンクレーテ再生まで動員するユニークな編成です。
クラシック作品のイマーシブ収録の基礎をようやく固めることができた6年前の録音ですが、192kHz/24bitを用いたハイレゾ・イマーシブ収録だからこそ和楽器の繊細な音と豊かなオーケストラを緻密に表現できたのではないかと思います。
ムジークコンクレーテは、冨田先生の意図を壊さぬよう細心の注意で11.1chにアップミックスしました。京言葉による語りが本作品の要なのですが、演奏会ではPAのため語りだけが響き過ぎてしまっているので、会場の響きと語りの明瞭度とを両立させることが最も苦労したところです。
冨田勲といえばシンセサイザー作品ばかりが注目されますが、改めて本作品は日本を誇るオーケストラ作品として語り継がれるものと確信します。その様な作品を音源として遺せ、さらにイマーシブ部門で最優秀賞まで頂けたことは録音家冥利に尽きますが、ここに留まることなく、さらにイマーシブ音響普及のため、身を尽くす覚悟です。
最後に本作のリリースのためにご尽力されたシンタックス・ジャパンの村井様を始め、関係者の皆様に感謝申し上げます。
アシスタント・エンジニア :大川 宏明 (株)ミリカ・ミュージック
《プロフィール》
1988年株式会社毎日放送入社。TVマスター、VTR編集、ニューススタジオ、
映像の各業務を担当したのち、主に音声技術を20年近く担当。2019年より現職。趣味はコントラバス演奏。
入交 英雄
〇優秀賞
「僕らのミニコンサート」より
「ヴェルディ・ナブッコ 第2部 御身は預言者たちの唇を通して」
妻屋秀和 上江隼人 宮里直樹 冨平安希子 近藤薫 ほか
発売元:株式会社ジーナ 配信元:U-NEXT Dolby Atmos
〇ミキシング・エンジニア :古賀 健一 Xylomania Studio LLC
レコーディング・エンジニア:池田 高史 (有)限会社ナミ・レコード
ミキシング・エンジニア :古賀 健一 Xylomania Studio LLC
《プロフィール》
福岡県出身 青葉台スタジオに入社後、2014年フリーランスとして独立後、Xylomania Studioを設立。2020年DolbyAtmos対応スタジオに改修。 これまでにASIAN KUNG-FU GENERATION、ichikoro、Official髭男dism、D.W.ニコルズ、チャットモンチーのバンドサウンドからクラシック、映画音楽などの幅広いジャンルに関わる。 また、商業スタジオやミュージシャンのプライベート・スタジオの音響、機材コーディネイトアドバイスも手掛ける。 『Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers –』の特典Blu-rayをDolby Atmosで収録。 国内最大級のオーディオ&ビジュアルアワード『VGP2021 SUMMER』企画賞を受賞する。
《受賞の感想》
この度は、初応募にも関わらずImmersive部門を受賞できたことを大変嬉しく思います。
RockとPopsのスタジオで育った自分が、Classicの、しかもオペラというジャンルで賞を取れたことは、ひとえにプロデューサーの河野さん、クラシックに精通したエンジニアの池田さんのおかげだと思っています。
この作品はコロナ禍で音楽業界が大変な時期に録音されました。
特にコンサート業界は大打撃をこうむり、演者は表現の場を奪われ、音楽を創る意味を自問自答し、エンターテイメントの必要性に疑心暗鬼になりながら、エンジニアは作品を創ることの意味を問われ、僕らの仕事と言うのはつくづく音楽を奏でる人たちがいて、聴いてくれる人たちがいるからこそ成り立つ仕事であると、再認識しました。
いつか世界が平常に戻る。いやもう元には戻らないかもしれませんが、その日の為に一技術者として、充分に与えられた時間を、技術を磨く修行期間だと思い過ごしてきました。
正直、このコロナ禍の2年と言う歳月は、自分にとっては必要な時間だったと思っています。
偶然に偶然が重なり、自分のスタジオをDolby Atmosに対応するため改修し、短期間で、同じ志を持った沢山の新しい仲間に出会いました。
この賞は、この2年間の関わってくれたみんなで取った賞だと思います。
特にPsスタジオの近藤さん、村上さん、タムコの四ノ宮くん、そして涼真、本当にありがとう。これからも一緒に試行錯誤しながら最前線を突っ走っていきましょう。
この度はありがとうございました。(古賀健一)
レコーディング・エンジニア:池田 高史 (有)ナミ・レコード
《プロフィール》
1990年代末よりクラシック音楽の録音に関わる。
その後有限会社ナミ・レコードに入社。オーケストラ、室内楽、歌曲、ピアノを始め様々なカテゴリ、そして若手からベテランまで多くの演奏家のクラシック音楽のCDのエンジニアリングをし、その数は300枚を超える。
古賀 健一
アナログディスク部門 応募作品13作品
☆最優秀賞
「S.Kiyotaka&OMEGA TRIBE 7inch Singles Box」(VPKC-10370)より
「ガラスのPALM TREE」 杉山清貴&オメガトライブ
発売元:株式会社バップ 17cm 45回転
〇カッティング・エンジニア:北村 勝敏 (株)ミキサーズラボ
ミキシング・エンジニア :三浦 瑞生 (株)ミキサーズラボ
カッティング・スタジオ :(株)ミキサーズラボ ワーナーミュージック・マスタリング
カッティング・エンジニア:北村 勝敏 (株)ミキサーズラボ
《プロフィール》
1977年 日本電子専門学校 放送工学部 放送技術科卒
1977年 ポリグラムRS 入社
1984年 日本ビクター 入社
2017年 ミキサーズラボ エンジニア契約
《受賞の感想》
この度は、日本プロ音楽録音賞アナログディスク部門の最優秀賞受賞を大変光栄に思います。受賞作品の杉山清貴&オメガトライブ「ガラスのPALM TREE」のカッティングを振り返り、僭越ながら所感を述べさせて頂きます。この楽曲の支給された音源は96kHz/24bitでリミックスされており、高音域の伸びもダイナミックレンジも十分あり、低音域のドライヴ感も豊富で身体を震わせます。尺は5分近くあり、昨今では一般的な尺ですがシングル盤の規格サイズ内に収めるには長尺と言わざるを得ません。これをアナログ・カッティングで捉えると難題がいくつか浮かび上がってきます。まず相反する難題は、シングル盤のカッティング・レベルと低音域の量です。ドラムスやベースのドライヴ感を損なうことなく、しかも十分な音圧を得られるようカッティング・マシンのフィジカル面のセッティングとイコライザーで微調整をしました。次に高音域については、カッティング・マシンに必要不可欠なハイ・リミッター(アクセラレーション・リミッター)は、一発勝負で必要な箇所に必要な量だけ掛け、特にヴォーカルの子音は音楽の一部と捉えて必要以上に除去しないように音源の持つ高域特性を活かせるよう配慮しました。これらの手間を掛けることでヴォーカルの生々しく色っぽい声とサウンド全体を、音源のまま活かすことができたのかと思います。
((株)ミキサーズラボ ワーナーミュージック・マスタリング 北村勝敏)
ミキシング・エンジニア :三浦 瑞生 (株)ミキサーズラボ
《プロフィール》
1983年、2年間在籍したテイチク興業(株)からミキサーズラボ入社。ON AIR麻布スタジオのスタートと共にチーフエンジニアとして在籍。 2007年、(株)ミキサーズラボの代表就任。
北村 勝敏
〇優秀賞
「CONGO BLUE(45回転ダイレクトカッティングLP)」(JTRC3)より
「AON」 八木隆幸トリオ
発売元:JazzTOKYO RECORDS 30cm 45回転
〇ミキシング・エンジニア :吉越 晋治 (株)キング関口台スタジオ
カッティング・エンジニア:上田 佳子
カッティング・スタジオ :(株)キング関口台スタジオ
ミキシング・エンジニア :吉越 晋治 (株)キング関口台スタジオ
《プロフィール》
1997年3月(株)キング関口台スタジオ入社。
アシスタン・トエンジニアを経てメイン・エンジニアとなる。
現在はレコーディング&マスタリング・エンジニアとして活躍。
DSD11.2MHzをはじめとする多数のハイレゾ作品に携わる。
《受賞の感想》
この度はアナログディスク部門優秀賞に選定して頂き、誠にありがとうございます。
この作品はダイレクトカッティングにて制作致しました。生々しい演奏をアナログ領域のまま、ダイレクトにプロダクションマスターを完成させる潔さ。このような貴重な経験をさせていただき、大変感謝しております。プレッシャーはエンジニアよりもミュージシャンの方々のほうが大きかったかも知れません。とは言え、通常のプロセスである、ベーシックレコーディング~オーバーダビング~ミックスダウン~マスタリングと、段階を経てより良い音を目指すのに慣れている事もあり、ダイレクトならではの難しさと緊張を感じました。便利なプラグインも使えず、脱デジタルのスリリングなこの方式、癖になります。
カッティング・エンジニア:上田 佳子
《プロフィール》
ミックス、ファンハウス、バーディハウス、メモリーテック等を経て
2018年(株)キング関口台スタジオ入社。
マスタリングとカッティングを担当する。
2020年10月退職。
吉越 晋治
放送部門 2chステレオ 応募作品14作品
☆最優秀賞
「第62回 輝く!日本レコード大賞」より
「I’m Here」 三浦大知
TBS HDTV stereo 2020年12月30日放送
〇ミキシング・エンジニア :中村 全希 (株)TBSテレビ
セカンド・エンジニア :相馬 敦 (株)TBSアクト
フロア・チーフ :長井 愛美 (株)TBSアクト
ミキシング・エンジニア :中村 全希 (株)TBSテレビ
《プロフィール》
2009年TBSテレビ入社。音声として「音楽の日」「日本レコード大賞」「Sound Inn S」など大型音楽番組を中心にミキサーを担当。また、現在は設備設計業務、マネージメント業務も担当している。
《受賞の感想》
この度は名誉ある賞を頂き、心より感謝申し上げます。
本作品は、新国立劇場からの年末生中継番組「第62回輝く!日本レコード大賞」における優秀作品賞のブロックで披露されたものです。街中から人の姿が消えた、最初の緊急事態宣言中の2020年5月に、番組内にて、オーケストラやバンド、コーラス総勢45名が自宅などからリモートで演奏された楽曲です。コロナ禍で前向きになれない世の中、歌詞にこめられた「ありのまま前向きに生きていこう」というメッセージを表現すべく、斎藤ネコさんによるレコード大賞スペシャルアレンジで再披露となりました。コロナ感染拡大防止により、ステージに上がれるコーラス隊の数に制限がありましたが、楽曲のもつ力強さを表現する為に、5月にリモート参加した総勢20名のコーラス隊を交えてのミックスとなりました。コロナ対策も重なり、現場は多忙を極めていましたが、本番では1発勝負の中、三浦大知さんの圧倒的なパフォーマンスと後半に向けて華やかに盛り上がる素晴らしいアレンジの世界観に支えられ、一夜限りの勢いあふれたサウンドになったと感じております。前回に引き続き、この番組での結果を評価して頂けた事に感謝し、今後も更に質の高い「音」を視聴者の皆さまに届け、番組の歴史を歩んでいけたらと思っております。
最後に、三浦大知さん、斎藤ネコさん、演奏家の皆さま、番組の企画演出をされた制作スタッフ他、全ての番組関係者の方々に深く御礼申し上げます。
セカンド・エンジニア :相馬 敦 (株)TBSアクト
《プロフィール》
1997年入社。音声として、「音楽の日」「クリスマスの約束」「オールスター感謝祭」等、大型番組のミックスを担当。現在はデスク業務を中心としながら、現場業務も行っている。
セカンド・エンジニア :長井 愛美一 (株)TBSアクト
《プロフィール》
2007年(旧)タムコ入社。音声として、ジャンル問わず数々のフロア統括を歴任し、TBS内外問わず高い信頼を得ている。また、多くのミキサー業務も担当している。
中村 全希
〇優秀賞
「明日へつなげようスペシャル~音楽で心をひとつに~」より
「Piece of My Wish」 今井美樹
日本放送協会 HDTV stereo 2020年8月30日放送
〇ミキシング・エンジニア :森田 誠 NHK松山拠点放送局
セカンド・エンジニア :遠藤 優太 (株)NHKテクノロジーズ
セカンド・エンジニア :高橋 義洋 (株)ネオテック
ミキシング・エンジニア :森田 誠 NHK松山拠点放送局
《プロフィール》
1992年NHK金沢放送局入局 1996年NHK放送技術局制作技術センター音声部へ異動 2021年7月よりNHK松山拠点放送局勤務
《受賞の感想》
この度は日本プロ音楽録音賞にて優秀賞という栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。大変光栄に存じます。
今回の作品は“NHKウィズ・コロナプロジェクト みんなでエール”の一環として放送された生放送「ライブエール~今こそ音楽でエールを~」の事前収録という位置づけで収録され、「明日へつなげようスペシャル~音楽で心をひとつに~」という番組で放送されたものです。
収録したのは昨年の7月。4月に出された緊急事態宣言の解除もつかの間、再び新型コロナ新規感染者が増えていく中での収録でした。オーケストラはソーシャルディスタンスを十分にとることを余儀なくされ、演奏者同士の距離は2mをとることでスタジオ一杯に広がらざるを得ない配置となりました。そのため人数の制限もあり、ストリングスは通常より少ない編成となり、プルト単位ではなく、演奏者1人につき一本のマイクといった形での収音となりました。吊マイクも併用したのですが、適切な吊りポイントへの配置に苦労した事を記憶しています。バラバラに収録したマイクを一つのオーケストラとして感じられる様な空間の表現が難しく、ミックスでとても苦労したことが今となっては懐かしく思い出されます。
このようなスペシャルパフォーマンスとなった作品に携われた事に深く感謝を申し上げるとともに、今後、この栄誉に恥じることのないようミックスに取り組んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。
セカンド・エンジニア :遠藤 優太 (株)NHKテクノロジーズ
《プロフィール》
2013年NHK福島放送局入局 2017年仙台拠点放送局異動 2019年放送技術局制技技術部異動 2021年NHKテクノロジーズ出向
森田 誠
〇審査員特別賞
「Shibuya Note Presents KID FRESINO ~one off~」より
「No Sun」 KID FRESINO
日本放送協会 HDTV stereo 2021年6月5日放送
〇ミキシング・エンジニア :川付 明範 日本放送協会
セカンド・エンジニア :中川原 修 日本放送協会
フロア・チーフ :日下 南 (株)千代田ビデオ
ミキシング・エンジニア :川付 明範 日本放送協会
《プロフィール》
日本放送協会2014年度入局。横浜放送局を経て現在の部署へ。
1歳半の息子と公園に行くことをライフワークとしている。
《受賞の感想》
この度はこのような賞を受賞することができ大変うれしく思います。受賞に関しては、番組にかかわったスタッフはもちろんのこと、諸先輩方にたくさんご指導していただいたことを、音で表現することができた結果だと思っております。この場を借りて御礼申し上げます。
出演したKID FRESINOは今回が地上波初パフォーマンスでした。また、“初めてはNHKで”という強い思いがあったということも知り、一職員としてとても身の引き締まる想いをしたことを思い出します。この番組はMCが一切立たず、1アーティストに対し30分をすべてパフォーマンスに使用しており、音だけでなく映像演出に対してとてもこだわった作品になっています。全曲生演奏、映像ルックの切り替え、ムービング照明ショー、LED映像と実写の一体化した撮影やテンポの速い曲調に対するカメラワークなど、技術的にもチャレンジした回となっており、演出や映像に負けないような音作りを目指しました。また、各担務のチーフ陣が若手で構成されており、短いながらこれまで培ってきた技術を結集し、番組が作れたことも感慨深いものがあります。
今後はこの結果を1つの自信として、引き続き視聴者に素敵な番組を届けられるように、音に対して研鑽を積んでいきたいと思います。
セカンド・エンジニア :中川原 修 日本放送協会
《プロフィール》
放送ミクシングから音楽録音まで多岐にわたる業務に携わる。
川付とは九州トークに花を咲かせることも多々。
フロア・チーフ :日下 南 (株)千代田ビデオ
《プロフィール》
第25回日本プロ音楽録音賞 放送部門「2chステレオ部門」最優秀賞「THE COVERS」より「紅い花」鈴木 雅之のフロア・チーフ。
川付 明範
放送部門 マルチchサラウンド 応募作品5作品
☆最優秀賞
「プレミアムシアター / 藤原歌劇団公演 歌劇「リゴレット」」より
「歌劇「リゴレット」から嵐の三重唱」
ジルダ:佐藤 美枝子 スパラフチーレ:伊藤 貴之 マッダレーナ:鳥木 弥生
合唱:藤原歌劇団合唱部 管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 指揮:柴田真郁
日本放送協会 HDTV 5.0ch 2020年3月9日放送
〇ミキシング・エンジニア :矢嶌 諭 (株)ネオテック
セカンド・エンジニア :満尾 智子 日本放送協会
アシスタント・エンジニア :中島 勇太 (株)ネオテック
ミキシング・エンジニア :矢嶌 諭 (株)ネオテック
《プロフィール》
2000年に株式会社ネオテックへ入社。様々なジャンルの音声業務を経験し、2008年頃より、クラシック音楽番組のミキサーとして活動を開始。
2017年第24回日本プロ音楽録音賞 最優秀賞受賞
2018年第25回日本プロ音楽録音賞 優秀賞受賞
《受賞の感想》
この度は最優秀賞に選定して頂き大変光栄に思います。音声技術者としての目標をまた一つ達成できた事に、心から喜びを感じています。
出演された皆様、藤原歌劇団合唱部の皆様、日本フィルハーモニー交響楽団の皆様、お世話になった全ての皆様へ心より御礼を申し上げます。
今回受賞した作品はコロナ禍前に収録・放送された作品で、目指した音は大盛況だった公演の熱気と、客席で鑑賞しているような臨場感を再現することでした。
レコーディングでは、歌手と合唱団の歌声が、舞台から客席へ向かって響き渡る立体的な音を、そのまま収音することに拘りました。舞台面には複数のバウンダリーマイクを効率的に配置して歌唱を収音し、場面ごとに変わるセットに対応するため、補助マイクとして超指向性のマイク等をセットや字幕版の裏に隠し収音しました。
ポストプロダクションでは、客席で鑑賞しているような臨場感の再現「S席の音」を心がけながら音創りを行いました。
レコーディング、トラックダウン、マスタリング、MAまで一貫して音声技術を担当でき、目標とする音へ向かって効率良く丁寧に向き合ったことが、今回の受賞へ結びついたと感じています。
この作品に携わった後、間もなくコロナ禍となりました。録音賞に出品するにあたり改めて音源を聞いたとき、ホールいっぱいのブラボーの声と満席の盛大な拍手がとても愛おしく感じました。新型コロナウイルスの一刻も早い終息を心より願います。
セカンド・エンジニア :満尾 智子 日本放送協会
《プロフィール》
プロフィール:1999年に日本放送協会へ入局、大阪局、松山局、大津局、東京中継部、NT、東京中継部を経て、2021年11月から横浜局に所属。
アシスタント・エンジニア :中島 勇太 (株)ネオテック
《プロフィール》
2009年に株式会社ネオテックへ入社。入社2年目から音楽エンター番組やレコーディングのアシスタントを経験。現在はProtoolsを使用した様々な業務を担当。
矢嶌 諭
〇優秀賞
「オーケストラ・アンサンブル金沢「新世界より」 / 一生に一度は聴きたい指揮者 マルク・ミンコフスキ」より
「ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」第4楽章」
指揮 マルク・ミンコフスキ 演奏 オーケストラ・アンサンブル金沢
北陸朝日放送株式会社 HDTV 5.1ch 2019年12月26日放送
〇ミキシング・エンジニア :堤 雅俊 (株)放送技術社
セカンド・エンジニア :山中 康男 (株)アイネックス
セカンド、MA・エンジニア:山﨑 克哉 (株)放送技術社
ミキシング・エンジニア :堤 雅俊 (株)放送技術社
《プロフィール》
2017年 放送技術社 入社
北陸事業所 放送部 制作技術 音声担当
《受賞の感想》
北陸朝日放送は今年10月に開局30周年を迎え、その記念すべき節目の年に、この賞をいただけたことをとても嬉しく感じております。誠にありがとうございます。
普段は30~40人での演奏会が多いオーケストラ・アンサンブル金沢ですが、この作品の収録では、客演奏者を含め64人の編成となり、とても迫力のある、また聴きごたえのある演奏会となりました。
収録にあたり、クラシック専用ホールである石川県立音楽堂コンサートホールの優れた音響特性を最大限生かすため吊りマイクをメインに構成し、スポットマイクは一部楽器の定位付けのみに用いた「正統的」な録音で行いました。
収録から放送まで2か月ほどあったため、丹念にポストプロダクションすることができました。
ポストプロダクションにおいては、会場で聴いた迫力、左右の広がりや奥行き、楽曲の持つ力強さ、清澄な響きなどを損なわないようバランスに留意し、収録で感じた圧倒される臨場感やホールの空気感までもが視聴者の皆さんにも伝わるよう繊細に行いました。
出来上がった音がこのような形で評価いただけたことは大変名誉なことであり、この録音に関わった全ての方々に厚くお礼申し上げます。
(株式会社放送技術社 堤 雅俊)
セカンド・エンジニア :山中 康男 (株)アイネックス
《プロフィール》
1983年 朝日放送 入社
1989年 ラジオ技術部にて従事
1997年 制作技術センターにて従事
2018年 株式会社アイネックスに出向・兼務
セカンド、MA・エンジニア:山﨑 克哉 (株)放送技術社
《プロフィール》
1988年 放送技術社 入社
1992年 北陸事業所 放送部 制作技術 音声担当
堤 雅俊
ベストパフォーマー賞
「Dynamogenic」(KICJ-842)より「Turn Right」
川口千里
発売元:キングレコード株式会社
《プロフィール》
ドラマー
1997年、愛知県生まれ。5歳でドラムを始め、8歳から「手数王」こと菅沼孝三氏に師事している。
YouTubeでのドラム演奏動画は世界中から注目され、その総再生回数は現在およそ4,000万回。
2013年、若干16歳で待望の1stアルバム「A LA MODE」をリリース。
2014年6月にはLAでレコーディングされた2ndアルバム「Buena Vista」をリリース。
2015年3月にはライブDVD「Senri Kawaguchi Live Tour 2014”Buena Vista”」をリリース。
2016年12月にはサウンドプロデュースにフィリップ・セスを迎え,LAでコレーディングした待望のメジャーデビューアルバム
「CIDER ~Hard&Sweet~」をキングレコードからリリース。9月にはそのアルバムのレコーディングメンバーと共に東京ジャズに出演。
2017年にはライブDVD&ブルーレイ「SENRI KAWAGUCHI TRIANGLE LIVE IN YOKOHAMA 2017」もリリース。
横浜で行なった公演は雑誌「JAZZ JAPAN」で2017ベストライブパフォーマンスに選ばれる。
2020年、メジャー第二弾「Dyanamogenic」をリリース。
ガスリー・ゴーバンやアルフォンソ・ジョンソン、エリック・マリエンサルなど海外ミュージシャンのジャパンツアーに参加するなど、現在はライブやスタジオワークなど国内外を問わず多彩に活躍中。
《受賞の感想》
この度は第27回日本プロ音楽録音賞ベストパフォーマー賞に私の最新アルバム「Dynamogenic」から「Turn Right」を選んで頂き、ありがとうございます。
このアルバムはミュージシャンの演奏が隅々まで聴き取れる様に、4リズムでダビング無しというコンセプトでレコーディングしました。アドリブソロや緻密に計算されたキメだけではなく、バッキングでも繰り広げられている素晴らしい演奏を隅々までお楽しみ頂けます。
もちろん、それを可能にするには素晴らしいミュージシャンのサポートが欠かせませんが、櫻井哲夫さん、安部潤さん、菰口雄矢さんという、最高のメンバーにレコーディングをお願いする事で実現出来ました。
この様な一流のメンバーの演奏に感化された事で、私自身もいつも以上に良いパフォーマンスが出来たと思います。メンバーの皆さんにも感謝しかありません。
また、今回は日本プロ音楽録音賞という事で、レコーディング環境も今回の受賞には大きく影響してると思います。ここ数年、いろんなスタジオで個性豊かなエンジニアの方々とご一緒させて頂く中で、レコーディング時のモニター環境が演奏に大きく影響する事を痛感しています。私のアルバムでは今回もプロデュースとエンジニアリングを木村正和さんにお願いしてますが、いつも最高のモニター環境を整えてもらっていて、今回もストレス無く演奏に集中出来ました。
これから先もこの様な名誉ある賞を頂ける様、日々精進して参ります。
川口千里