高橋 和代

調布市立第七中学校

神奈川県出身。夫、大学生の娘と息子の4人家族。東京都の中学校で理科講師として勤務中。歳を重ねるごとに理科好きに拍車がかかり、ついに興味は南極へ。今まで知らなかった世界の扉を、ぜひご一緒に開きましょう!

新井 啓太

相模女子大学高等部

福岡県生まれ、神奈川県育ち。2006年に東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。翌年から相模女子大学中学部・高等部に勤務。美術教科とメディア情報部主任を担当。2人の息子と一緒に参加した南極中継と千葉セクション見学がきっかけとなり、教員派遣の応募を決意した。

【2019.3.30 相模女子大学 教員南極派遣プログラム 帰国報告会@夢をかなえるセンター】

3月31日、今年の南極授業会場の1つとなった相模女子大学の夢をかなえるセンターにて、帰国した新井先生から、帰国報告がありました。

会場には、1月29日に生徒が仕上げた作品がずらり。

美術が専門である新井先生は、“デザインは世界の共通言語”と話し、南極へ行った感想として、「氷に絵の具を落としたような世界だった。 」と語りました。

復路の「しらせ」では、毎日南極授業の動画を見ていたと言います。


南極授業を国内で担当した生徒からもたくさんの感想が寄せられました。

・相模女子大での南極授業は、当日を想定したリハーサルの繰り返しを何度もして、やっと合わせることが出来た。

・前日の夜も細かく打ち合わせた。

・終わった後は泣きそうだった。

・デザインワークショップでは子供達に気をつけて、率先して動く事を目標にしていた。

・日程が変わった事で参加出来ない生徒がいたけれど、頭の回転の早い生徒達ばかりで、すぐに対応でき、大成功だった。


また、新井先生が南極にいる間に留守を守られた先生から、「生徒達には、協働して調整して動く力がついた。新井さんのテーマが生徒達に浸透し、生徒同士が調整し、教え合う事が出来るようになった。」とお話がありました。


校長先生からもストリーム教育のきっかけになった、と感想をいただき、無事に報告会は終了しました。

相模女子大学の桜

2019. 3. 21 観測隊帰国!

【2019.3.10 贅沢な船旅。いよいよ北上が始まる】

昭和基地で日本のマイナス6時間を指していた時計の針が、今では7時間も進み、日本時間プラス1時間の位置で時を刻んでいます。南緯63°ラインを東へ進み、1日23時間のサイクルが数日続いたことと、波による揺れで頭のネジがどこか緩んでしまったように思います。1日が過ぎるのが異常に早く、金曜カレーが日本で過ごす2日ぐらいの感覚で昼食に並びます。しらせカレーはあと1食のみ。いよいよ東経150°ラインの北上と暴風圏への進出が始まります。

そんな船内生活で一番の楽しみは、観測隊やしらせ乗組員との会話。船内には4つの観測室があり、南極で採取したサンプルやデータの解説はとても興味深い内容ばかりです。観測隊員が各分野について語る南極大学講座、59次越冬隊による観測系セミナー、海上自衛隊の仕事を紹介する しらせアカデミー、不定期に開催されるリクエストセミナーや談笑の場が沢山あり、長い船旅でも暇を持て余すことはありません。

新井 啓太

写真1:しらせ航路

緑が往路。桃色が復路。白が計画航路。「進め!しらせ」ページで毎日の位置が確認できます。

写真2:学生たちによるカジュアルセミナー

60次夏隊同行者の大学院生と博士9名によるセミナー。南極で行った調査やそれぞれの研究を紹介。

写真3:ハシボソミズナギドリの目線

しらせ上空を群れで飛ぶ、ペンギンとアホウドリの祖先にあたる鳥の仲間。

写真は、タスマニアで調査されたというビデオロガーの映像で、潜水中の様子。

写真4:リクエストセミナー

苔をみようの会。露岩域でサンプリングした苔や地衣を顕微鏡で覗き込む。厳しい自然環境下でも逞しく生きのびている。

写真5:南極大学講座

先遣隊でドームふじ基地まで調査に行った隊員たちによる、内陸生活や雪上車の紹介。

写真6:海の豊かさの変化を調査

海洋観測で採取した海水から、光合成生物が持つクロロフィル量を蛍光光度法で測定。

写真7:岩石切断作業

5億年以上前に遡る太古の地殻変動を調べるための調査。

写真8: しらせ甲板の観測装置

船上でも24時間観測は続いている。写真は太陽を追尾しながらエアロゾル測るオリオールメーター。

写真9:オーロラ360°

2月26日から3日連続でオーロラを見ることができた。船内専用webの宇宙天気情報から目が離せない。

【2019.2.27 アムンゼン湾さよなら】

昭和基地からいろいろなものに別れを告げてきましたが、昨日は最後のヘリオペレーションでした。さよなら、アムンゼン湾。さよなら、リーセルラルセン山。さよなら、南極の野外。

でも、目の前の海がモザイクのように見えるのは、待ち焦がれていた蓮葉氷(はすはごおり)!凍りはじめの薄氷の角がぶつかり合って削れ、丸まっています。まだまだ、南極はすてきな姿をわたしたちに見せてくれます。

髙橋 和代

しらせ鳩小屋で撮影したスーパームーン。3km先、氷盤亀裂の海面が輝く。 雲と重なり合う様子が刻一刻と変化して綺麗でした。

日本でみる月とは、模様が逆さ。

2/20 深夜2:00(日本時間 朝8:00)頃

しらせで撮影したスーパームーン

2/20 深夜3:30頃

日本で撮影されたスーパームーン

【2019.2.18 しらせに戻り、南極夏期間を振り返る】

南極地域観測隊は、夏隊と越冬隊で構成されています。11月下旬から2月中旬まで、昭和基地を拠点に働く夏隊。その2ヶ月半に加え、1年間昭和基地を守り続けながら観測を続ける越冬隊。夏隊と越冬隊、そして前次隊の越冬隊が力を合わせて働き、ヘリを使いながら本格的に野外調査を行う「南極夏期間」が終わりました。教員派遣は夏隊の同行者という立場です。私たちは今、南極観測船しらせに帰還し、59次越冬隊、しらせ乗組員と共に、ブリザードによって強固となり砕氷が困難な乱氷帯を少しずつ、少しずつ前進しています。

31名の60次越冬隊は、生活拠点となる管理棟居住区に、夏隊で最後まで残っていたメンバーを迎え入れてくれました。想定されている使用者の倍近い人数が生活することで、施設への負荷がかかることが目に見えて分かるため、「帰りたくない」と軽はずみな発言は口に出せません。ヘリポートでの最後の別れはあまりにも寂しく、涙を流し終えた今も胸にぽっかりと穴が空いたような気持ちです。

無我夢中で過ごした日々を終え、手元に残ったのは膨大なデータ。砕氷の縦揺れを続ける船内で2万点以上の写真・動画を整理しています。

新井 啓太

夜空の星

しらせに戻り、星空を久しぶりに眺めた。日没後の深夜にも太陽の光が残るため、真っ暗にはならない。

東オングル島の360°撮影ログ

東オングル島や南極大陸の氷床、露岩域で撮影を行った。

基本観測棟内装作業

60次越冬隊から使用が開始される新しい建物。電気、機械隊員による配管や配線などの仕上げ作業。

基本観測棟の屋上風景

管理棟周辺、海氷、大陸氷床縁を一望できる景色。

気象棟内オゾン観測装置

オゾンホールを発見した装置。今もオゾンを観測中。基本観測棟への引っ越しが控えているため、気象棟は取り壊しが決まっている。

雪尺

気象隊員の雪尺調査に同行。一年間、海氷上の積雪量を定期的に記録する。

昭和基地19広場

昭和基地の象徴的な看板がある広場。朝礼や越冬交代式などの催しはこちらで行う。

胎内岩

東オングル島Bエリア(立ち入りに許可が必要な区域)にある胎内岩。

観測棟

気水圏の観測装置。大気変動を調べるため、空気中の二酸化炭素、メタンガス、酸素濃度などを観測している。最も古いデータは1984年から。別棟の清浄大気観測小屋では極小の粒子を観測している。

電離層棟

太陽のご機嫌をうかがう仕事として、太陽活動の記録を続けている。電離層隊員は郵便局員の係も務めているため、建物内にポストがある。

風力発電3号機

60次隊が夏期間で完成させた最も大きい建築物。風速計を取り付けるために足場の最上部に登った。

LANインテルサットアンテナ

この巨大なアンテナにより、南極でもインターネットを利用することができる。

発電棟

管理棟に隣接する発電棟内部。大きな2機の発電機を交互に運行し、越冬生活に必要な電力を発電させている。基地の心臓部。写っているのは発電機隊員と機械をコントロールする制御担当隊員。

時間が経ってしまいましたが、、、1月6日~8日までのブログをアップしました。下↓へスクロールしてご覧ください。

2月11日、越冬隊との涙の別れ。再び「しらせ」からの360度写真をアルバムにアップしていきます!南極PHOTO ALBUM(JARE60)では360度でご覧いただけます。

2019.2.1 越冬交代式

59次隊は南極観測船しらせへ先に移動。60次隊は管理棟へ引っ越し。

【2019.1.29 南極授業ライブパフォーマンス】

ブログ記事が更新できなくなる程、濃密な南極生活を送っています。南極の自然環境は厳しい。昭和基地への到着が予定よりも4日遅れ、悪天候によって、計画されていた仕事が進まないことも少なくありませんでした。そのような南極派遣4ヶ月間の中盤、心待ちしていた南極授業の1日目を終えました。

吹雪となった昭和基地と山口県を経由する衛星のテレビ会議システムでつながった先は私の勤務校、相模女子大学中学部・高等部です。生徒たちは、音楽、美術、書道の融合したライブパフォーマンスで南極へ応援のエールを届けてくれました。自らこの活動に参加したいと手を挙げてくれた学年や部活動などもバラバラな有志の生徒たち。見学にかけつけてくれた小学部の子どもたち。そして、中継の様子を別会場で見学し、後半の中継拡大で合流してくれた他の公私立の小中高8校。最果てで活躍する南極地域観測隊と、これからを担う次世代の夢の交流が実現できました。

相模女子の生徒たちは、半年前からこの日のために音美書以外にも、科学、探求、作曲、写真、フリーなどのパート分担を持ち、ICTツールを活用して互いに連絡を密に取りながら準備に励んでいました。久しぶりに再会した生徒たちの表情は2ヶ月で大きく成長したように思います。生徒たち、子どもたちが主役の活動型南極授業は、日本側と南極側のどちらにも多くの方の支えがあって実現できたものです。授業を終えた今、感動と感謝の気持ちでいっぱいです。


実は、悪天候ではなければ昭和基地側は特別な会場で中継を行う予定でした。開催日となった1月29日は南極観測にとって重要な日。遡ること62年前、1957年1月29日に第1次南極地域観測隊が現在の昭和基地のある東オングル島の隣、西オングル島に初めて到達しました。その第1次隊が建設をして今も唯一残されている第1次隊旧主屋棟が会場予定だったのです。予定通りには何一つ進まないのが南極。南極授業の時間内だけでは伝えきれないものがまだまだ沢山あります。

2月1日、この旧主屋棟のすぐ側にある19広場で、59次隊から60次隊へ正式にバトンがわたる越冬交代式が行われます。そして、2月3日は次の南極授業が開催されます。中継先は、国立極地研究所。今、南極と日本で最後の準備に邁進中です。

南極授業情報はこちら

新井 啓太

【2019年1月8日】

夜の8時。昭和基地にある蜂の巣山へ登ってみました。海氷に浮かぶ氷山や、基地の建物が一望できます。

奇岩!蜂の巣状になっています!風による造形です。

1960年に南極地域観測隊で設置した基準点。風格を感じます。

髙橋 和代

【2019年1月7日】

昭和基地からほど近い北の浦にて、魚類チームの調査に同行しました。目的地までは

スノーモービルとそりで移動します!

力を合わせてドリルで穴をあけます!

ハート形の穴になりました!

人生初の釣りでショウワギスを釣り上げた隊員!


釣れた魚に発信機をつけて、魚がどこで何をしているかを調査するそうです!

海氷の上は、風をよけるものがなく寒いですが、とても楽しいお手伝いでした!

髙橋 和代

【2019年1月6日】

スカルブスネス きざはし浜

陸上生物チームに同行させていただいたスカルブスネス。「きざはし」という雅な名の付く階段状の岩に囲まれた、静かな浜でした。

朝の浜。夜中の満ち潮のまま凍てつく様子。

浜にはアザラシのミイラが横たわっていました。亡くなってからいったいどれくらいたっているのでしょうか。何千年、何万年、腐ることはありません・・・。

髙橋 和代

【2019.1.2】

観測隊の帰還を迎えてくれたものはまだまだあります。ロープワークを活かしたすばらしい紐かざりの錨。門松、鏡餅、応急工作員の力作「煩悩寺」の卓上除夜の鐘。しらせ神社もきれいに清められています。

大みそかの夜は年越しそば!その後は思い思いの時間を過ごしました。

昭和基地時間で日付が変わるころ、巫女さんに扮した女性・男性(!)自衛官のお二人と男性自衛官の神主さんによる儀式。しらせ神社前は、初詣に集まる自衛隊の方々と観測隊員でごった返します。

元旦はお雑煮でスタート。新年の記念撮影のほか、新年祝賀会では軽やかな獅子舞も披露され、自衛隊員と観測隊員が交流して大いに盛り上がります。トリはひとりひとりに配られたおせち料理!エビやカニ、黒豆、栗きんとん、伊達巻、田作りなど、日本の正月ここにあり!です。

祝賀会の鏡開きのお神酒をしらせの刻印が入った桝に注ぎ、ひのきの香りとともにおせちをいただく南極の元日。互いに、二度とないこの時間を味わっていました。感謝。

髙橋 和代

【2019.1.1】

大みそかの午後、観測隊は基地を出発。沖で待つしらせへ人間氷上輸送です!

みんな、下を向いて何をしていると思いますか?

・・・足踏みしたりこすったりして、靴底に付いている泥や小石を一所懸命取っているところです。黒い汚れは太陽光を吸収して氷を融かしてしまうので、物資輸送のこの時期とても気を遣います。

雪上車にひかれたそりに乗り込み、氷の上を進みます。

なつかしいオレンジ色にたどり着くと、海上自衛隊の方々のあたたかい笑顔に迎えられ、観測隊員にも笑顔がこぼれます。

みなさんは、南極観測船のお正月はどんな様子だと思いますか?テレビもなし、お参りにも行けないし・・・と思いませんか?

次回は南極お正月風景をお送りします。

髙橋 和代

【2018.12.29 辿り着いた昭和基地!始まりの1週間】

12/21から日が変わろうとする深夜、船内に響き続けていた砕氷の轟音と振動が止み、長い船の移動が終わりました。氷が砕けない時に行うラミング砕氷(一旦後進し、採水を行いながら通常以上の速度で氷の上に船を乗り上げ、その自重で氷を砕く)を300回以上繰り返して、少しずつ、少しずつ前進。ようやく到着した昭和基地沖の停留ポイントから最後の移動手段であるCHヘリに乗り込み、わずか数分で昭和基地内Aヘリポートに足をつけることができました。土や凸凹道を歩く足裏の感覚は約4週間ぶり。何度も読んだ本の世界に飛び込んだような気持ちで、ドキドキしながら基地の中を歩き回りました。

隊員一同は昭和基地で頼もしく仕事を開始しています。始まりの1週間の様子の一部をご覧ください。

新井 啓太

チームワークで乗り越える

毎日のミーティング風景。それぞれのチームで協力し合いながら全体のミッションをバランスよく進めます。名前の札を移動させて配置を調整。

最先端研究の裏にある地道な仕事

1045本のアンテナで大気の膨大なデータを取得するPANSYレーダー。現在、ICSOM国際共同観測中。砂を撒いて、光の熱を利用する除雪作業が続きます。今年は雪が多い。

前次隊からの引き継ぎと講習

59次隊の木津隊長からスノーモービル講習を受ける魚類行動調査チーム。海氷行動は危険が多いため、講習を受けた隊員しか外へ出ることができません。

基地を守る設営部門

基地内の仕事に欠かせない重機や車両の整備。設営隊員が連携することで基地内の仕事や生活が支えられています。

氷山の崩れる唄を記録

地震波と音波で地球環境を調べる地物チーム。しらせ氷河に近いルンドボークスヘッタ。手前の白い箱がインフラサウンド装置。

観測を続けていくために

1年後に61次隊が物資をのせて到着するまで、無補給で越冬を行うために欠かせない輸送作業。パイプラインによる燃料輸送と雪上車による氷上輸送。

2018.12.25 測地チーム

北テオイヤの基準点設置作業

南極授業参加者募集!

60次隊では、2月9日と2月11日の南極授業に一般の方もご参加いただけます。

どちらとも事前申込みが必要で、募集申込開始は1月9日!

定員に限りがございますのでご注意ください。

詳しくは「南極授業」ページをご覧ください。

【2018.12.18 南極の人気者】

大海を移動中に突然、艦内放送が入ります。「ウゲンホウコウニ、クジラ。」

短い言葉で1回。操舵を行なっている艦橋からの連絡です。繰り返されることはないので、一緒にいる人たちと声をかけあってからカメラを持って外へ出ます。近くまで来ていることが分かってもクジラは簡単にその姿を見せてくれません。プシューっと飛び出す潮吹きを目印に海面を見続けて、次の機会を待ち続けます。


優雅に飛び回る鳥や、気まぐれに現れる生物。

日々変化する景色(オーストラリアの夏から、2週間で氷点下の世界に!)。

観測隊やしらせ乗組員の仕事風景と日々の交流。

どこを切り撮っても素晴らしい光景で、カメラを手放すことができません。

今、停留している場所には人気者のアデリーペンギンが集まっています。次から次へとその数は増え、群れで行動する様子はまるでピクニック。望遠鏡で覗くと、コウテイペンギンが一緒にいることもあります。海氷の裏に藻類が育ち、藻類をオキアミが食べ、そのオキアミをペンギンたちが食べています。

新井 啓太

【2018.12.16 ゆれる船内生活 】

早いもので、フリーマントルを出港してから半月が経ちました。船内では規則正しい生活が続いています。朝食は6時。昼食は11時15分。夕食は17時15分。そして、南極行動に向けて、訓練、講義、打ち合わせの時間があり、荒天でなければ自主的に運動ができる艦上体育の時間も設けられています。

体力不足にならないように観測隊としらせ乗組員は甲板に出て大海を前に何周もランニングをしています。時には、サッカー、テニス、剣道、ボクシングなどをする姿をみることも。沸かした海水のお風呂と船内の機械でつくる貴重な真水のシャワーで汗を流し、22時の消灯になると船内はミント色の廊下に赤灯だけがうっすら灯り独特な雰囲気になります。

普段の生活と一番違う点は、常に揺れていること。出航初日や南緯55度を通過したあたりで波は大きくなりました。滑り止めや固定金具などで什器は動かないように対策が取られていますが、人は大きな波が来ると下半身でふんばり、寝ている時も身体が左右にふられます。船酔いの薬を飲むと効き目は確かにあるのですが、副作用で眠気と戦う1日を過ごすことになります。1週間が経つ頃に、ようやく身体も慣れてきて薬無しの生活を過ごすことができました。しらせ艦長のお話しでは、60次隊の往路は近年になく穏やかに暴風圏を通過したそうです。船が傾いた最大の傾斜角は13°。本格的な揺れを経験する機会は復路になりそうです。

12/14に白夜となり、暗い夜とはお別れになりました。そんな深夜帯に、海と氷山と薄いガラスのような海氷が混在する美しい場所を通過し、現在停留中の定着氷縁に到着しました。不思議なもので、朝起きると揺れない床に違和感を感じます。

新井 啓太

【2018.12.14】

南極授業の打合せです!

新井先生もわたしも、国内に向けて2回ずつ南極授業を行います。昭和基地に着けば全員がそれぞれのお仕事に入り、そろって会うのもなかなか難しくなります。しらせにいる今が、打合せにちょうどよい時期なのです。

中継のさまざまな仕事を受けてくださるのは、本業は医療、建設、通信、モニタリングなど昭和基地でスペシャリストとして活躍される隊員のみなさん。忙しい夏期間の中、一緒に授業を作ってくださる、ウルトラスペシャルスーパーエクセレントジェントリースタッフです!!!

髙橋 和代

【2018.12.13】

今朝からしらせは定着氷縁域に入りました。

今は氷の海をゆっくり進んだり、海面が開けたところでときどき止まったりしています。近くにある低気圧をやり過ごしながら進む作戦なのだそうです。

氷の板のモザイクがしらせを囲み、白とグレーのまだら模様が、大きな動物の息遣いのように膨らんだり沈んだりを繰り返します。わたしたちはそのうねりに身をゆだね、しばらくしずかにながめていました。

髙橋 和代

【2018.12.11】

午後のスケジュールの合間を見つけて甲板へ出ました。晴れていれば、凍てつく南極海の空気の中でも、皮膚に力強いぬくもりが届きます。お日さまは偉大です。

そのときの海は、今まで見たことのない穏やかさ。群青の水がとろりとろりと黒曜石のように滑らかに光り、わきたつ雲を映します。しらせの乗員の方も、珍しいと語るほどでした。

海に広く視野をとり、クジラの潮吹きがつくった霧を競って探し、フルマカモメやアホウドリの名前を教え合いながら海と空の境を目で追います。過ぎてきた方角にある雲から灰色の柱が海に向かって伸びているのを指し、あの場所に雪が降っているのだと教えてくれる仲間。こんなしらせの旅も後半戦です。

髙橋 和代

「JARE60 PHOTO ALBUM」にも日々の写真をアップしています。ご覧ください!

観測隊は夏期間、ヘリコプターを使っての野外行動があります。ヘリコプターに迎えに来てもらう際、居場所の風向きや風の強さを知らせるため、航空火工品を使用します。写真は使用の訓練を行っている様子です。

【2018.12.09】

ソフトクリームの日!

しらせでの一日はバランスのとれた朝食に始まり、品数も多く工夫を凝らしたおいしい昼食、国際色豊かなメニューの夕食と、お食事は毎回とても豪華!そして、6時15分、11時半、17時半とあまり時間を空けずに食事タイムが来ます。座学が多いし体を動かすにも限られたスペースだというのに、・・・なぜかおなかは順調にすきます!おいしいおいしい!

さらに昨日からの3日間、昼と夜に1日2回のソフトクリームタイムが!

昨日はバニラ、今日はストロベリー。自衛官の方が作ってくださるソフトクリームを手に、ニコニコ笑顔で歩いています。おなか一杯でも、船が揺れても・・・別腹なんですね~。

髙橋 和代

観測隊は夏の期間、野外での調査も盛んにおこなわれます。その際に必要となるの食糧を各調査グループで分けている様子です。

【2018.12.08】

さて、観測隊がオーストラリアを出国してから、はやくも一週間あまりが過ぎてしまいました。

ここまでの髙橋の生活の中心は、12月2日より毎朝6:30から始まる海洋観測でした。5日間、東経110°ラインに沿って南下し、緯度5°ごとに5地点で船を止めて、研究のための海水を採ったり、その場所に生きる小さなプランクトンを採集したり、海水そのものを調べてデータを取ったりするのです。

海洋観測についてシロウトの自分が、なぜお手伝いさせていただけたのか。それは海の小さないきものを観察したい!とお願いしたことがきっかけです。

水の中の小さないきものといえば、アオミドロとかミカヅキモとかゾウリムシ、ミジンコ、ミドリムシ・・・小中学校理科ではおなじみです。でも、これらはみんな池や田んぼの水に生きる小さな生き物。わたしたちは海の魚を食べて暮らしているし、海に囲まれた国に住んでいるのに、理科では海のことには少々縁遠いようです。でも、自分が南極の環境を勉強してみたら、ますます海に住む小さな生き物の存在は欠かせない!だったらこの目でたくさん見て、その様子をみなさんにお伝えしたいと思ったのです。

ところが、実際の海洋観測のお手伝いは、私が今まで知ることのなかった魅惑の世界でした。


海面近くの水を採るのは、バケツを振り投げ、長いロープを手繰り寄せる職人技です。クリオネやナンキョクオキアミゲットの可能性がある唯一の作業でしたが、残念、そうやすやすとは入ってくれません。


CTD・採水システムは、ほしい水深の海水を採るのと同時に海中の水温・塩分を連続して計ることができる機器です。担当の隊員が一斉に群がり作業をする場には、心地よい緊張感が流れます。

こちらは、海水中の植物プランクトンを大きさで分けているようすです。フィルターに集められたものから葉緑素の量を測定して、植物プランクトンの量がわかります。海水が吸い込まれる瞬間、夜光虫のほのかな青い光が見えることもありました!

海水にどれだけ酸素が溶けているのかを調べるお手伝いもさせていただきました。水深によって、溶けている酸素の量が違うのです!それが色の違いで目に見えてわかるのはとても楽しいのですが、正確に調べるには細心の注意と熟練の技術が必要です。目を凝らしてやっと見つかるほどの小さな泡ひとつでも、入ってしまったらやり直しになります。

連日、見学の隊員で人垣ができていたのは、ノルパックネットという、人が採れそうなほど口の大きな網です。この地点の鉛直方向に何が生きているのかを知ることができるので、小さな生き物がつまったボトルに興味津々!エメラルドグリーンの海の日は、とろろ昆布のように緑色のものがどっさり採れ、コバルトブルーの海の日は、桃色の甲殻類がさわさわと揺らめきます。海の見た目と、その中に生きるものがつながっているのを直に感じるときです。これらは、帰国後に極地研の専門家が種類や量について詳しく調べていきます。

観測のかたわらで少し採集したサンプルから、顕微鏡で撮影した写真や動画を残します。万華鏡をのぞくようなドキドキ感に、しばらく釘付けです。

第60次南極地域観測隊 教員派遣

髙橋 和代

【2018.12.07 ごあいさつ】

みなさま、はじめまして。60次隊教員派遣として観測隊に同行させていただいている、髙橋和代です。このブログでは新井啓太さんと共に、時にはそれぞれの見たものを書き留めたり、時には二人で語り合ったりしながらお伝えしていきたいと考えています。

ここ観測隊には様々なサイエンスの専門家が目白押し、設営部門には日本の技術の粋が一堂に集まっています。南極の自然とともに、観測隊員とのぜいたくな時間をみなさまに共有していただけるようなページにしたいと思っています。よろしくお付き合いください。

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HPを担当している新井啓太です。ご挨拶が遅くなりました。

2人の息子と極地研の方の講演を聞いたことがきっかけで南極へ強い興味を持つようになりました。子ども以上に大人がハマってしまったという典型的な流れで、気がつけば今、同行者として南極観測船の中にいます。教員派遣の一番のミッションは南極授業ですが、4ヶ月の派遣期間で届けられる情報を増やすために、出国前に慌ただしくも教員南極派遣プログラムHPを構築させてもらいました。

現在、南極大陸に近づき、南緯60度のラインを西へ進んでいます。文明圏から離れたことでネット環境はありませんが、極地研の頼もしいサポートを受けながら写真や記事を更新しています。不定期ながら、「ここ」にいないと伝えられない情報を集めていく予定です。お時間がある時に、何か増えたかな?とブログやアルバムのページへアクセスしてもらえると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

「JARE60 PHOTO ALBUM」に「しらせ」からの景色を更新しています!360°ビューでご覧いただけますので、ぜひ覗いてみてください。

12月1日「しらせ」からの景色

【2018.11.30 いざ、暴風圏へ】

11月26日、フリーマントル 港で第60次南極地域観測隊は南極観測船しらせに乗り込みました。陸地での最終準備は4日間。ここから先は、一切の補給ができません。夏のパースで爽やかに働く隊員の様子を、後日「JARE60 PHOTO ALBUM」へアップ予定です。

万全の準備が整い、南大洋の船旅がスタートです。

11/30(金)現地時間AM10時に、南極観測船しらせはフリーマントル 港を出航しました。
観測機器の設置や部門ごとのミーティングが進んでいます。写真は大気を調べるためのパイプを外から機器へつなぐ様子。
日本人会忘年会、日本人学校の子どもたちとの交流、艦上レセプション。豪州からも応援と期待の声が集まっています。
観測隊員は各分野のプロ集団。隊員、同行者、しらせ乗組員で交流を深めながら仕事を開始。集団生活の始まりです。
ブリスベンを経由し、パースに到着。しらせ乗組員からの歓迎を受け、南極観測船しらせに乗艦しました。

【2018.11.25 成田空港からオーストラリアへ!】

いよいよ、出発の日を迎えることになりました!

南極派遣が決まってからの約半年は、多くの出会いがあり、訓練や打ち合わせなどを通して南極について学ぶ機会に溢れていました。こちらのページでは、第60次南極地域観測隊の活動に密着して、現地報告をお届けします。教員派遣2名の目線で、南極や観測隊の魅力を発信します!