給湯器

中和装置が必要な理由

10年以上使用している給湯器のコントロールパネルにエラー(番号29)が表示され,湯が出なくなる現象が現れるようになった.メインスイッチを一旦切り,入れ直すと湯は出るようになるので,リセット操作を繰り返しながら使用していたが,根本的な解決とは思えないので,説明書を見ると,中和器の劣化の際に出るメッセージと書かれている.給湯器に中和反応のための装置が付いていることを知らなかったので,その存在理由を調べてみた.

一昔前の給湯器は,水の通る銅パイプをガスバーナーで加熱する方式であった.この方式では,給湯器の上部から高熱の燃焼ガスが出てくるので,台所用排気ファンを回して使用していたのを思い出す.排出されるガスは200℃以上の高温であり,これを利用しない手はないと考え開発されたのが,現在主流になっているエコジョーズ方式である.本方式では,ガスバーナー(内蔵ファンで送り込まれる空気で燃料ガスを燃焼させる)で加熱する前に水道水を排熱で加熱されたパイプを通過させて予め温めておき,それを更にバーナーで加熱するというものである.これにより15%以上の熱利用の改善が実現したという.次図は都市ガスの場合の概念図である.

ところが,良いことばかりではない.排出されるガスの温度が100℃以下に低下するため,燃焼によって生成する水蒸気が大気中に排出されず,凝縮して装置内に水滴として溜まってしまう.その際,空気中の窒素が酸素と反応して副生する酸化窒素と水が反応して硝酸,亜硝酸が生成する(反応式参照).これらは酸性雨の原因となっている物質であり,ドレイン水をそのまま垂れ流すわけにはいかない.

そこで考えられたのが,これらの酸を中和するための反応装置(中和器)である.中和器の中には炭酸カルシウムが詰められているが,当量数を超えたら交換が必要である.我家は設置してから13年経った時点で,中和器交換を促す警告が出た.交換費用は16000円であった.

中和器について(ウエブ情報)

交換費用 工事費込みで2万円程度(商品、設置状況によって変動あり)

製品の寿命は 約10~15年(運転時間換算で約5000時間)

参考資料

イラストはガス協会のホームページの図を参考にしました.

(2022.7.8)