日時: 2025年7月18日 (金) 15:20-18:30
場所: 京都教育大学 1A413教室 (zoom同時配信)
15:20-16:50
講演者: 内田 俊 氏(大分大学)
題目: 摂動項付き二重非線型放物型方程式の可解性について
本講演では、時間微分項の非線型性が一般の関数で与えられた、p-ラプラシアンを主要項とする摂動項付きの二重非線型放物型方程式について考察する。この方程式は時間微分項の非線型性やp-ラプラシアンの指数pに応じて退化放物型方程式と特異放物型方程式に分類される。特異型方程式では解が有限時刻で0となる解の消滅が生じることがあり、そのためこの方程式では解の消滅と爆発の拮抗が観測されると考えられる。しかしながら二重非線型放物型方程式の先行研究のほとんどは、方程式が退化型となるような指数、非線型性の条件の下で行われており、特異型となる条件下では可解性についても未解決な部分が多かった。また既存の研究では摂動項の増大度に制限を課しており、任意の爆発項を扱える状況は整っていない。以上を踏まえ本講演では、時間微分項の非線型性、指数p、摂動項の増大度に可能な限り条件を課さずに弱解の存在を示すことを目的とする。
17:00-18:30
講演者: 藤江 健太郎 氏(東北大学)
題目: Keller--Segel方程式におけるエントロピー生成の評価
Keller--Segel方程式は粘菌の集合体形成の過程を記述する数理モデルであり、半導体素子や中性子星などの様々なモデルに類似点が見られる。解の集中現象が期待され、30年間にわたってKeller--Segel方程式の解挙動の解析が精力的にされてきた。Keller--Segel方程式は偏微分方程式の連立系で表されることから、比較原理が有効に働かない。講演前半では、Keller--Segel方程式のリアプノフ汎函数を導出し、リアプノフ汎函数を用いた(エントロピーの評価を用いた)解挙動の解析を紹介する。その一方で、空間次元が1次元の場合にはリアプノフ汎函数を用いた解析が有効に働かないことを紹介する。講演後半では、空間1次元の準線型Keller--Segel方程式を対象とし、エントロピー生成の評価を行う。