日時: 2025年6月11日 (水) 17:00-18:30
場所: 京都教育大学 1A402教室 (zoom同時配信)
講演者: 三浦 達彦 氏(弘前大学大学院理工学研究科)
題目: 曲がった薄膜領域上のカーン・ヒリアード方程式の薄膜極限
薄膜領域とは、空間内のある方向への幅が他の方向に比べて非常に小さい領域である。薄膜領域上の偏微分方程式に関する主要な問題のひとつとして、膜の厚さをゼロに近づけると何が起きるのか、という薄膜極限の問題がある。薄膜極限は純粋数学としてだけではなく、方程式を考える領域の次元の削減や、曲面上などで起きる現象のモデリングといった観点から応用上も重要な問題である。本講演では、まず簡単な例を通じて偏微分方程式の薄膜問題の様子を概観する。その後、2次元閉曲面に少し厚みを付けた3次元の曲がった薄膜領域を考え、ノイマン境界条件を課した薄膜領域上のカーン・ヒリアード方程式について議論する。そして、薄膜領域上のカーン・ヒリアード方程式の解が薄膜極限で収束することを示し、その極限関数が満たす方程式として閉曲面上のカーン・ヒリアード方程式を導出する。