日時: 2023年6月22日 (木) 17:00-18:30
場所: 京都教育大学1A402教室 (zoom同時配信)
講演者: 深尾 武史 氏(龍谷大学)
題目: 動的境界条件下でのCahn-Hilliard方程式 -弱形式と正則性-
本講演では近年盛んに研究がなされている動的境界条件下でのCahn-Hilliard方程式について、境界拡散の粘性消滅による前方後方拡散方程式への接近で得られた結果を紹介する。境界上でのCahn-Hilliard方程式において、境界上の拡散係数を0に極限操作すると、二重井戸型ポテンシャルの非単調項の効果から方程式は前方後方拡散方程式の形となる。2011年のGoldstein-Miranville-Schimpernaのモデル、2019年のLiu-Wuのモデルのそれぞれに対して粘性消滅の議論を紹介する。この枠組みでは二重井戸型ポテンシャルの極大単調項がなめらかでない場合には一般に解は弱解となるが、内部と境界の単調項に増大条件を仮定すれば正則性が上がり、方程式の解釈が改良される。本研究はパヴィア大学のColli氏、ミラノ工科大学のScarpa氏との共同研究に基づく。なお、講演の前半には学部生に向けて、偏微分方程式の入門的内容として熱方程式や非線形拡散方程式を例に弱解、強解についての解説を行う。