第33回非線形発展方程式セミナー@KUE

日時: 2022年11月22日(火)16:30-18:00

場所: 京都教育大学1A413教室(zoom同時配信)

講演者: 香川 渓一郎 氏 (早稲田大学大学院 先進理工学研究科)

題目: Viscous Cahn–Hilliard方程式の解の方程式内係数に関する漸近極限問題

 本講演では粘性項を有すCahn–Hilliard方程式(以下、viscous Cahn–Hilliard方程式)を斉次Dirichlet境界条件の下で考える。 斉次Dirichlet境界条件の下でviscous Cahn–Hilliard方程式の初期値問題の解は、拡散係数の逆数をゼロに漸近させるとAllen-Cahn方程式の解に漸近し、粘性係数をゼロに漸近させるとCahn-Hilliard方程式の解に漸近することが知られている。 この意味でviscous Cahn–Hilliard方程式は相分離現象を記述する二つの基本的な方程式と深く関わりのある方程式である。 この漸近極限問題において、先行研究では方程式内の非線形項の増大度に制限が課されていた。 本講演では非線形項を単調項と非単調摂動項に分解することでこの制限を外し、非線形項の条件を拡張した結果 (Kagawa–Ôtani, 2022) について報告する。 なお本講演の内容は大谷光春名誉教授(早稲田大学)との共同研究に基づく。