NEDO人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業

インタラクティブなストーリー型コンテンツ創作支援基盤の開発

(Since 2020.7-)

TEZUKA2023にて制作したコンテンツ

こちらにて読むことができます→「機械の心臓ーHeartbeat MarkⅡ」

この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。

目的

小説やマンガ,アニメやドラマから番組企画や企業におけるプロモーション等のコンテンツ制作において,共通する重要タスクが「ストーリーを考えること」であり,人に対して最も高い創造力が求められる作業です.

 

本研究プロジェクトは,ストーリー性のあるコンテンツを生み出す作業において,人の創造力を増強させ,人のみでは生み出すことが困難な斬新・奇抜で多様なストーリー生成を可能とする,人と協調しつつインタラクティブに創造支援を行うAI基盤の構築を目指します.そして,クリエイターの支援に止まらず,一般ユーザであっても完成されたコンテンツを容易に生成できる基盤を構築してのサービス展開を目指します.

背景

この数年における,我々を取り巻くコンテンツ生成市場の急激な変化は今後さらに加速する状況にあります.アニメやドラマなど,NetflixやAbemaのような独自のコンテンツを制作するオンライン映像配信業者の急成長やゲーム市場も世界的に急拡大しています.そして,Youtuberという職業が成立するように一般人もがコンテンツを生み出し,大きな利益を得る状況となっています.レガシーなTVメディアもネット系コンテンツが充実化することに対抗し,新しいコンテンツの開拓が急務です.企業においても,製品やサービスのプロモーションにおいて,単に製品の広告を作成するのではなく,ストーリー性を持たせての印象付けや,著名ブロガーへの積極的な広報など,しっかり練られたシナリオが求められる状況にあります.そして,今後においては,VRやARといった新しい技術が5Gなどの通信基盤の拡充により,社会に浸透していくことで,さらに新たなコンテンツへの需要が増加することが自明です.日本においては,日本文化ともいえるマンガ業界も,生き残りをかけて紙媒体から電子媒体への急激に転換中であり,電子媒体ではWebに代表されるように,リンクによる多様なコンテンツのインタラクティブな制御が可能となり,ゲーム業界においては,オープンワールド型のインタラクティブにストーリーが展開していくコンテンツが急成長しています.

 

そして,これら上記で取り上げたコンテンツ全てに共通する,コンテンツの基盤となるのがストーリー(シナリオ)です.小説やドラマだけでなく,企業における広報や製品のプロモーション企画といたコンテンツにおいても同様です.

 

ところが,この急激なコンテンツ産業の進展に相反して,シナリオやストーリーの供給が追いつかない状況が顕著化しつつあります.現状において,これらを生み出すのはシナリオライターと呼ばれる人材ですが,労働環境の問題や少子高齢化等の影響で減少傾向にあり,需要の増加に相反して不足しつつあります.その結果,シナリオライターの負荷集中問題を引き起こしてもいます.加えて,一人のシナリオライターが書くことのできるシナリオの型は,そう多くはなく,多様性が大きいとは言えない実情もあります.また,現在,アニメコミックや小説など出版作品を創作するにあたり,その作品の企画出しから実際に作家,脚本家への落とし込みのフローの中で,膨大な時間コストをかけている現状もあるのです.TV番組制作などにおいても,特に帯で展開されている番組においては,番組のフォーマットがある程度確立されているため,とにかく番組台本の初稿出しのスピードが大切ともいわれているが,人手による作業のみでの対応が困難な状況となっています.

本プロジェクトの位置づけ

現在の第3次人工知能ブームを支える機械学習が威力を発揮しているのは,そもそも人が苦手とする膨大な量の情報処理や顔認証や異常検知を延々と繰り返すといった作業の効率化においてのみです.もちろん,無駄の削減はエコの観点からも重要ですが,削減は効果が見えやすいものの終わりがあり,残念ながら,削減自体が何かを生み出すことはありません.

 

これに対して,生み出す作業は依然として人の仕事であるものの,創造的作業は人にとってもそう簡単なものでななく,創造力にも限界はあります.そこで,本研究プロジェクトは,効率化を目指す現在のAIの活用とは大局的な,人ならではの能力である創造力を拡張するためにAIを活用するという,今後のAIの社会浸透を見据えた時,本来,AIのあるべき立ち位置,即ち,人と共生し,人の創造力を後押しする役割の確立を目指します.

 

本研究プロジェクトにより,国内での様々なコンテンツ生成を活性化させるだけでなく,特に海外からも注目されているマンガやアニメといった日本ならではの文化のより強力な発信を後押しすることが期待されます.

参画団体

慶應義塾大学

東京大学

電気通信大学

公立はこだて未来大学

立教大学

エッジ
ワークス

手塚プロ
ダクション

ネオンテトラ

ヒストリア

株式会社Ales

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