なかなか実現できないことが,新型コロナウイルスに後押しされる形で実現した典型的な例としてはマイナンバーがあるが,「国会図書館の資料送信サービス」がその仲間に加わった.
4月末,NHKウエブニュースに以下の記事が掲載されていた.
2022年4月30日 5時50分
絶版などで入手困難となった資料をパソコンやスマートフォンで閲覧できるようにするサービスを国立国会図書館が5月19日から始めることになりました。
対象となるのは、国立国会図書館が所蔵し、すでに電子データ化された書籍や雑誌、論文など150万点余りです。こうした資料を閲覧するには国立国会図書館や連携する図書館に出向く必要がありましたが、新型コロナウイルスの影響などを受けてインターネットを利用したサービスの導入を求める声が上がっていたということです。
事前に利用者登録を済ませたうえで、国立国会図書館のウェブサイトにアクセスすれば、5月19日以降、個人のパソコンやスマートフォン、それにタブレット端末での閲覧が可能になります。
国立国会図書館サービス企画課の福林靖博課長補佐は「国会図書館でしか得られない情報を手軽に利用するきっかけにしてほしい」と話していました。
これらの電子データは、来年1月から印刷もできるようになる予定だということです。
以上,NHKウエブニュース
5月19日,国会図書館デジタルコレクションにアクセスしてみたら,トップページに「個人向けデジタル化資料送信サービス」の提供開始がアナウンスされていた.
図書コレクション一覧の1ページ目を表示させてみた(次図).の黄地に黒文字(国立国会図書館/図書館・個人送信限定)が新たに追加されたサービスである.黒地に白文字は図書館限定公開であり,デジタル版は存在しない.
⬇⬇⬇(青字部分が追加)⬇⬇⬇
この資料は、著作権の保護期間中か著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開していません。閲覧を希望される場合は、国立国会図書館にご来館いただくか、送信サービスをご利用ください。
個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)を利用するには、サービスにログインする必要があります。以下のページからログインしてください。
利用者登録
個人送信のためには,利用者登録(メールアドレス,本人確認書類のアップロード)が必要である.
本人確認書類のアップロード
本人確認のために,氏名,生年月日,住所が確認できる本人確認書類(個人番号カード(マイナンバーカード),運転免許証,健康保険証,パスポート,学生証など)の画像ファイルをアップロードする.
著作権の保護期間中か著作権の確認が済んでいない資料を館内で閲覧するのをリモートで実現するわけであるので,それなりの身元確認が必要ということのようだ.国会図書館にならって県立図書館や大学図書館が同様なサービスを始めることを期待したい.
参考資料
個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)は、国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なものを、著作権の保護期間満了前であっても、インターネットを通じて利用者個人の端末等で閲覧できるサービスです。
図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)は、国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難な資料を全国の公共図書館、大学図書館等(当館の承認を受けた図書館に限ります。)の館内で利用できるサービスです。
(2022.6.7)