人型の芳香族化合物

ナノプシャン

最近,サッカーボール状の構造を持ったC60フラーレンについて調べている過程で,人の形をした化合物の合成が2003年のJ. Org. Chem.(米国化学会有機化学および生物有機化学の学術誌.The Journal of Organic Chemistry)に掲載されていることを知った.米国テキサス州にあるライス大学ナノテクノロジー研究センターのジェームス・ツアー(James M. Tour)の研究グループによって合成されNanoputianと名付けられている.

Wikipediaによると,子供達にナノテクノロジーの世界を知ってもらうための化学教育プロジェクトの一環[として発表され科学雑誌"Journal of Chemical Education"の表紙も飾っているとのことである.

該当する論文を調べてみると,Abstractに図が掲載されていた.

Abstract

Described here are the synthetic details en route to an array of 2-nm-tall anthropomorphic molecules in monomeric, dimeric, and polymeric form. These anthropomorphic figures are called, as a class, NanoPutians. Using tools of chemical synthesis, the ultimate in designed miniaturization can be attained while preparing the most widely recognized structures:  those that resemble humans.

DeepL翻訳(オンライン翻訳の中でそれなりにまともなもの)

抄録 ここに記載されているのは、モノメリック、ダイマー、およびポリマーの形で2nmの高さの擬人化分子の配列に至るまでの合成の詳細である。これらの擬人化された?数字?は、クラスとして、ナノプティアンと呼ばれています。化学合成のツールを使用して、最も広く認識されている人間に似た構造体を準備しながら、設計された究極の小型化を達成することができます。

図に描かれている2個の化合物は実際に合成され,核磁気共鳴スペクトル(PMR, CMR)が提供されている.

立体構造予測プログラムによる構造

分子の立体配座の安定性や配座間のエネルギー差を原子間に働くによるポテンシャルエネルギーの総和によって計算する手法(古典的力場計算)を加味した分子描画プログラムで描いた構造を以下に示した.得られた構造は平面ではなく,ねじれが加味されよりリアルである.

タイプの異なる化合物

参考資料

掲載論文 The Journal of Organic Chemistry 68 (23): 8750–8766. doi:10.1021/jo0349227.

ナノプシャン - Wikipedia

(2020.5.10)

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