ヒメムシロ

Reticunassa multigranosa (Dunker, 1847)

レア度:いつでも見られる

形態:小型の塔型巻貝。貝殻表面はつぶつぶした突起で覆われる。本種には外洋型と内湾型とよばれる2型が存在する(鈴木ほか 2013)。外洋型はふっくらしていて1.2cm程度になり、薄いクリーム色である。内湾型は0.5cmと小型で、スリムであり、紫褐色をしている。

生息域:日本各地に分布し、潮間帯から水深20mの砂礫底に生息する。

生態: スカベンジャーであり、カニや魚の死肉に群がる。他種の卵を食べることもある (上野ほか 1994)。春~初夏に凸レンズ状の卵嚢を海藻などに産みつけ、各カプセルから変態を済ませた稚貝が2~4個体ふ化する (網尾 1959; Golikov & Kussakin 1978)。

その他:

2021年10月3日 りった

引用文献:

  1. 網尾勝. 1959. 海産腹足類の卵仔に関する研究― II. ヒメムシロ他6種. 農林省水産講習所研究報告, 8: 73–83.

  2. Golikov, A.N. & Kussakin, O.G. 1978. Rakovinnye briukhonogie molliuski litorati morei SSSR. Nauka, Leningrad Branch. (in Russian)

  3. 上野俊一・岡田節人・小原秀雄・河合雅雄・吉良竜夫・日高敏隆(監修).1994. 朝日百科動物たちの地球 第2巻 無脊椎動物. 朝日新聞社. [99pp.]

  4. 鈴木孝男・木村昭一・木村妙子・森 敬介・多留聖典. 2013. 干潟ベントスフィールド図鑑. 日本国際湿地保全連合. 東京.