キセワタガイ

Philine orientalis A. Adams, 1855

レア度:めったに見ない

形態:全長は3~4㎝程度。全体に不透明な白色を呈し、手ごたえは湯通ししたイカのよう。表面はぬめぬめしている。頭部 (頭楯:長細い楕円形の方) はシャベルのような形をしており、殻は体後部の体内に埋没している。殻そのものは半透明白色でフィルムのように薄く、内側に少しだけ巻くカサ状。多分ヤドカリには背負えない。

生息域:北海道~九州沿岸。潮間帯~水深100m程度まで見られる。干潟などの砂泥底に、半ばうずまるようにして生活している。七重浜では、稀に貝殻が打ちあがる。

生態:動きは案外すばやく、頭楯で頑張って砂を掘る。肉食性貝類であり、ツメタガイと並んでアサリ稚貝の捕食者として悪名高い (瀬川・菅沼, 1996; 堤ら, 2018)。

その他:ふつう食用にはならないが、内臓も筋肉もうまみが詰まって非常においしいとのレポートあり (ぼうずコンニャク)。ほんとか…?

2021年4月@船橋・三番瀬 大友

引用文献:

  1. ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑:キセワタガイ. URL: https://www.zukan-bouz.com/syu/キセワタガイ (Accessed on 2021/5/24)

  2. 瀬川直治・菅沼光則. 1996. 漁場および飼育にみる捕食者キセワタガイと被食者アサリの関係について. 愛知水試研報, 3: 7-15.

  3. 堤裕昭・西岡祐玖・北川昇・藤芳美裕・小崎盛行・山元光晴・一宮陸雄・小森田智大. 2018. 佐敷干潟におけるアサリ (Ruditapes philippinarum) 個体群の季節変動とその変動を制御する要因. 日本ベントス学会誌, 73: 1-10.