マツヤマワスレ

Callista chinensis (Holten, 1802)

レア度:めったに見ない

形態:ハマグリサイズの二枚貝類。殻はあまり膨らまないが、硬くて丈夫。つやのある白や淡い褐色を地色として、数本の鮮やかな紫色帯が不規則な間隔で入る。放射肋は盛り上がらないが、はっきりしている。殻の内側はうっすらすみれ色。

生息域:七重浜では、貝殻が稀に打ちあがる。

生態:水深50mくらいまでの、粒形が細かい砂泥底に多く生息する (栗林ら, 1983)。ミトコンドリアゲノムが読まれており、分子的にもウチムラサキと近縁らしい (Li & Luo, 2021)。

その他:「忘れ貝」というフレーズはしばしば和歌に登場する。和歌における忘れ貝とは特定の種ではなく、蝶番が外れてしまった二枚貝の片割れを指す。

2021年5月@三浦半島 大友
2021年5月@三浦半島 大友
2021年5月@三浦半島 大友
2021年10 とみよし
2022年10月8日 とみよし小さめの貝殻。互い違いの柄がおしゃれ

引用文献:

  1. 栗林利明・土田英治・石田文男, 1983. 紀伊半島潮ノ岬周辺海域における貝類相の研究―Ⅰ. 串本西岸沖合のマツヤマワスレガイとコマツヤマワスレガイの分布. 貝類 VENUS, 42 (4): 319-330.

  2. Li, B. & Luo, S. 2021. The complete mitogenome of Callista chinensis (Bivalvia: Veneridae). Mitochondrial DNA Part B, 6 (3): 1028-1031.