アズマニシキ
Azumapecten farreri (Kuroda, 1932)
レア度:ふつうに見られる
形態:見ての通りホタテガイの仲間。ホタテガイと比べると、本種は小型(7~8㎝)で細長く、表面のすじが細かい。また、棘のような突起があり、ザラザラしている。さらに、てっぺんについている耳のような部分の大きさが非対称で、大きいほうの耳は左右の殻を合わせると隙間ができる。この隙間から足糸を出し、基質に付着する。ホタテガイは右殻が純白食だが、本種は左右同色のことも多く、白ではない何らかの色(オレンジ・茶色・赤色などさまざま)がついている。 雌雄異体であり、繁殖期の生殖腺は、雌がオレンジ色、雄が乳白色となる。
生息域:北海道から九州、朝鮮半島、中国沿岸に分布し、潮間帯から水深50mの岩礁に付着して生息する。七重浜では堤防の転石によく付着しているほか、砂浜に殻が頻繁に打ちあがる。
生態:体外受精により繁殖し、日本における放卵・放精期は7–8月である (菅野・谷田 1961)。受精後、プランクトン幼生期を経て16–18日後には付着生活を始める (結城 1987; Park et al. 2005)。ホタテガイと違って生涯付着生活を送るが、足糸を切って移動することもできる (Guo & Luo 2006)。
その他:アカザラガイの名で流通している。許可なく採ってはいけない。
引用文献:
菅野尚・谷田専治. 1961. アカザラガイ Chlamys farreri nipponensis KUROAD の増殖に関する研究 (2). 東北海区水産研究所研究報告, 19: 135–141.
結城勝久. 1987. アカザラガイ人工種苗の量産化研究. 水産増殖, 35: 175–182.
Park, K. Y., Kim, S. K., Seo, H. C. & Ma, C. W. 2005. Spawning and larval development of the jicon scallop, Chlamys farreri. Journal of Aquaculture, 18: 1–6.
Guo, X. & Luo, Y. 2006. Chapter 23. Scallop culture in China. In: Scallops: Biology, Ecology and Aquaculture (eds. Shumway, S. E. & Parsons, G. J.). Elsevier. pp.1143-1161