ミサゴ

Pandion haliaetus (Linnaeus, 1758)

レア度:いつでも見られる(春~夏)

形態:全長約60cm、翼開長約160cm。中型のタカ類で、翼が非常に長細い。雌雄ほぼ同色。よく目立つツートンカラーで、体上面が黒褐色、体下面が白色である。首元には襟巻き的な黒褐色の羽根があり、これは雌のほうが濃い傾向にある。虹彩は黄色で、目は他のタカ類より正面を向く。目の周囲に太い黒褐色帯があり、水面を反射する光を吸収して眩しさを軽減しているらしい。足裏には棘状の突起が発達し、第4趾は後ろにも回るため、魚の捕獲に特化している。さらに、鼻孔には開閉可能な弁もそなえており、水の侵入を防いでいる。

生息域:極地を除く全世界に分布する。北海道では夏鳥で、4月上旬までに飛来し、繁殖する。 3月下旬から9月いっぱい、函館湾内の海岸や河口付近に餌を獲っている姿を毎度のことのように目撃する。

生態:ほぼ完全な魚食性。水深が浅く、流れが緩やかな湾内や河口部を狩場とし、主に表層を泳ぐ魚類 (サバ科、ボラ科など) を食べる (森ら 2020)。上空を飛翔して餌を探索し、しばしばホバリングして水面を凝視している。狙いを定めると翼をすぼめて急降下し、水面近くで両脚を前方に突き出して爪を開き、水中にダイブして魚を捕らえる (森ら 1995; 渡辺ら 2012)。年に一回、一夫一妻で繁殖する。3–4月に造巣し (しばしば修復して連続利用する)、海岸や湖沼周辺の断崖、樹木、鉄塔などの頂部に枯れ枝を使った皿状の巣を構える。1巣卵数は通常2–3個で、主に雌が37日ほど抱卵する。育雛期は50日程度、雌は給餌と巣の防衛を行い、雄はもっぱら狩りをして餌を運んでくる (森ら 1995; 渡辺ら 2012)。

その他:本種ただ1種でミサゴ科を形成する。英名は"Osprey"。

2018年4月 山上なんか持ってる(ボラ?)
2018年4月@常盤川 山上なんか持ってる(ウグイ?)
2018年4月@八郎沼 山上なんか持ってる(さかな)
2019年8月 山上函館湾を優雅に飛行

引用文献:

  1. 森岡輝明・叶内拓哉・川田隆・山形則男. 1995. 図鑑 日本のワシタカ類. 文一総合出版.

  2. 渡辺靖夫・越山洋三・先崎啓究・伊関文隆. 2012. フィールドガイド日本の猛禽類 vol.01 ミサゴ. 西本眞理子植物画工房マカロン.

  3. 森航大・榊原貴之・野口将之・吉井千晶・東淳樹. 2020. 岩手県沿岸部におけるミサゴの育雛期の食性. Bird Research, 16: A15–A24.