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レア度：いつでも見られる
形態：全長45㎝、翼開長115–120㎝程度のカモメ類。オオセグロカモメより一回り小さく、並んでいるとサイズの違いが一目でわかる。背面の色はカモメ類では濃い部類に入るが、オオセグロカモメとほとんど変わらないため、函館でカモメを見ているうちはその濃さを認識する機会はあまりないかもしれない。嘴はゴツく、先端部は口紅のように黒と赤の2色で彩られる。歌舞伎の『目張り』のような赤いアイリングがあり、切れ長な目つきを形作っている。足は黄色。国産の他のカモメ類との決定的な違いとして、尾羽の先端から内側2/3程度にかけて黒い帯がある。このため、遠くを飛んでいてもすぐに本種とわかる。これらの外見に雌雄差はないが、冬羽は頭部に褐色斑が出て薄汚れてみえ、また幼鳥は全身こげ茶色で嘴と足はピンク色である。
生息域：日本列島周辺、朝鮮半島、東シナ海沿岸などに分布する。北海道は繁殖地であるが、厳冬期（12～2月）は姿を消して南に移動する。
生態：ジェネラリスト捕食者。その餌資源は海産生物をはじめ (Deguchi et al. 2004; Hori & Noda 2008; Kazama et al. 2018)、人起源のごみまで多岐にわたる (Yoda et al. 2012)。北海道北部では、雌雄ともにイカナゴを主な餌としているが、採餌場所は雌雄で異なり、これは雄の方が大型で種内競争に強いためだと考えられている (Kazama et al. 2018)。また、本種は個性研究が進められてきた生物のひとつである (風間 2020)。本種のなかには、卵の捕食者であるハシブトガラスに対して、積極的に防衛する攻撃的な個体と、非攻撃的個体がいる (Kazama & Watanuki 2010)。そして、攻撃的な個体は血中のテストステロン濃度が高く、年をまたいでも一貫して攻撃的であること (Kazama et al. 2011)、同種の侵入個体に対しても攻撃的であることが示されている (Kazama et al. 2012)。
その他：鳴き声が「ミャー」や「アー」と、ネコのような声に聞こえることが和名の由来。目つきが悪いくせに鳴き声は特徴的でかわいい。
2017年5月 山上
2019年9月 山上
2019年9月＠久根別川河口 山上juv.
2015年5月＠小樽 山上
2016年6＠天売島 山上営巣
2016年7月＠小樽 山上juv.
2020年9月＠砂崎灯台 大友海が悪いときは集団で避難する。足が黄色いのが本種の成鳥、茶色で嘴がピンクなのが幼鳥。オオセグロカモメも混じる。
2020年9月＠砂崎灯台 大友何があったのだろうか…。
2021年8月30日 りったオオセグロカモメと日向ぼっこ
2021年10がつ とみよしなんかたべてる
2021年8月31日 りった集団でいると遠くからは意外にわからない
2021年9月20日 りった
引用文献：
Deguchi, T., Watanuki, Y., Niizuma, Y. & Nakata, A. 2004. Interannual variations of the occurrence of epipelagic fish in the diets of the seabirds breeding on Teuri Island, northern Hokkaido, Japan. Progress in Oceanography, 61: 267–275.
Hori, M. & Noda, T. 2008. Spatio-temporal variation of avian foraging in the rocky intertidal food web. Journal of Animal Ecology, 70: 122–137.
Kazama, K. & Watanuki, Y. 2010. Individual differences in nest defense in the colonial breeding Black-tailed Gulls. Behavioral Ecology and Sociobiology, 64: 1239–1246.
Kazama, K., Niizuma, Y., Sakamoto, K. Q. & Watanuki, Y. 2011. Factors affecting individual variation in nest-defense intensity in colonially breeding Black-tailed Gulls (Larus crassirostris). Canadian Journal of Zoology, 89: 938–944.
Kazama, K., Niizuma, Y. & Watanuki, Y. 2012. Consistent individual variations in aggressiveness and a behavioral syndrome across breeding contexts in different environments in the Black-tailed Gull. Journal of ethology, 30: 279–288.
Yoda, K., Tomita, N., Mizutani, Y., Narita, A. & Niizuma, Y. 2012. Spatio-temporal responses of black-tailed gulls to natural and anthropogenic food resources. Marine Ecology Progress Series, 466: 249–259.
Kazama, K., Nishizawa, B., Tsukamoto, S., Gonzalez, J. E., Kazama, M. T. & Watanuki, Y. 2018. Male and female Black-tailed Gulls Larus crassirostris feed on the same prey species but use different feeding habitats. Journal of Ornithology, 159: 923–934.
風間健太郎. 2020. 集団内における動物の個性の生態学的な機能. 日本生態学会誌, 70: 45–53.
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