イシガニ

Charybdis (Charybdis) japonica
(A. Milne Edwards, 1861)

レア度:たまに見られる?

形態:甲幅8 cmに達するカニ。一見ガザミに似ているが背甲の両端がガザミ程突出しない。額に6個の鋭歯、その両側に同大の眼上棘、さらに外側に向かって6個の鋸歯が並ぶ。この特徴はシマアシイシガニ Charybdis (Charybdis) annulata を始めとする他のガザミ科にも見られるが、イシガ二は鉗脚長節前縁に4棘が並ぶことでシマアシイシガニ(3棘)と区別できる。また特に若齢個体は、背甲に短毛が密生しざらざらしていることも特徴である。背甲は緑褐色・茶色~黒のまだら模様で、第4・5歩脚はやや青みがかって見える。

生息域:韓国・中国・日本。図鑑によっては東京~九州とされているが、石狩湾でも報告されているようだ。船底やバラスト水?によって分散しているようで、地中海では1個体の移入の記録があるのみ(Froglia, 2012)だが、ニュージーランドでは定着が確認されている(Smith et al., 2003)。

生態:やや深い溝の岩陰などに潜み、甲殻類や魚類を捕食していると思われる。またサザエ稚貝(藤井, 1991)やアサリ(高橋ら, 2016)の貝殻を割って捕食することも確認されている。そんな力を持ったハサミに挟まれるとかなり痛いので素手で触るのは危険。つつくと遊泳肢で素早く泳いで逃げるか、ハサミを振り上げて威嚇する。夜になると岩陰から出てくる。

その他:

2021年8月21日 りった流れ着いたでカニ(死)
2021年8月21日 りったひっくり返されるでカニ(死)、オス
2021年8月22日 りった堤防の隣にいた
2021年9月20日 藤本夜9時ころ。岩の間にひっそり
2021年9月20日 藤本カメラに威嚇するカニ(生)

引用文献:

  1. Froglia, C., 2012. First record of Charybdis japonica (Crustacea: Decapoda: Portunidae) in the Mediterranean Sea. Marine Biodiversity Records Vol.5, e33: 1-3.

  2. Smith, P.J., Webber, W.R., McVeagh, S.M., Inglis, G.J., & Gust, N., 2003. DNA and morphological identification of an invasive swimming crab, Charybdis japonica, in New Zealand waters. New Zealand Journal of Marine and Freshwater Research 37(4): 753-762.

  3. 藤井明彦, 1991. 各種海産動物におけるサザエ稚貝の捕食. 水産増殖 39巻2号: 123-128.

  4. 高橋宏司・澤田英樹・益田玲爾, 2016. イシガニによるアサリ捕食のメカニズムとその対策. 日本水産学会誌 82(5): 706711.