マヒトデ

Asterias amurensis Lütken, 1871

レア度:たまに見られる

形態:やや大型のヒトデで、腕は長く、反口側は短く太いいぼのような棘で疎らに覆われる。反口側は青紫や黄色、白色など変異に富み、上記のいぼは大抵白いため斑紋のように見える。口側は黄色。触り心地はけっこう固い。元々は標準和名「ヒトデ」と呼ばれていたが、紛らわしいため「キヒトデ」と呼ばれるようになり、黄色とも限らないため「マヒトデ」と呼ばれるようになった。20年程前の文献でも、本種を「キヒトデ」としているものが多い。さらにややこしいことに、現在では「キヒトデ」というとDistolasterias elegans というニッポンヒトデの仲間を指すこともあるため注意。個人的な観察だが北海道では「The キヒトデ」を見たことがなく、こぞって紫色の個体ばかりな気がする。

生息域:完全に乾くところや浅く水温が上がるタイドプールでは見かけない。

生態:成熟は光条件と水温によって調整されており、南半球の移入先では生活史を器用に半年ずらしていることが知られている(Byrne et al., 1997)。

その他:ある図鑑では「極悪ヒトデ」との言及もあるほどに、たびたび異常発生を起こし、ホタテガイやカキを食い荒らし、漁業に大打撃を与える。最近ではバラスト水による幼生の分散が原因で海外進出を果たしており、ニュージーランドやタスマニア島南部で異常に増え、漁業対象種のトリガイの仲間 Fulvia tenuicostata を食い荒らしている(Ross et al., 2002)。これだけ見ると、その辺の北大生よりいいものを食べているだろう。またこの所業により、IUCNによる「世界の侵略的外来種ワースト100(Lowe et al., 2000)」に選出された。

2013年4月@七重浜 大友釣り人にとっては厄介者なので、よく陸に打ち捨てられている。ちゃんと海に戻しましょう。
2014年7月@臼尻 大友
2014年7月@臼尻 大友臼尻には青い個体が多いが、青色がはげて黄色っぽくなる個体も見られる、奥はイトマキヒトデ
2014年7月@臼尻 大友何かに群がる

引用文献:

  1. M. Byrne, M. G. Morrice and B. Wolf, 1997. Introduction of the northern Pacific asteroid Asterias amurensis to Tasmania: reproduction and current distribution. Marine Biology 127: 673-685.

  2. Lowe S., Browne M., Boudjelas S. and De Pooter M., 2000. 100 of the World's Worst Invasive Alien Species, A selection from the Global Invasive Species Database. The Invasive Species Specialist Group (ISSG), a specialist group of the Species Survival Commission (SSC) of the World Conservation Union (IUCN).

  3. D. J. Ross, C. R. Johnson and C. L. Hewitt, 2002. Impact of introduced seastars Asterias amurensis on survivorship of juvenile commercial bivalves Fulvia tenuicostata. Mar. Ecol. Prog. Ser. Vol.241: 99-112.