1973年 奈良県出身
1997年 愛知県立芸術大学美術学部油画科卒業
2002年 Chelsea College of Art and Design 総合基礎コース卒業(イギリス)
2004年 Wimbledon School of Art 大学院美術科絵画専攻 修士課程(MA)卒業(イギリス)
2013年 京都市立芸術大学大学院美術研究科 博士(後期)課程メディア・アート領域終了
2015年 博士(美術)
2021-2022年 京都大学医学科人間健康科学専攻技術補佐員
2022年(−現在) 京都橘大学特任研究員
2021年 「かいじゅう未来計画〜アート・ひと・まち in 大和桜井」を設立(代表)
個展
2020年9月 「てすらくらぶ」池田慎 × 岡本奈香子によるコラボレーション (2kw gallery , 滋賀)
2017年11月 岡本奈香子 個展「失われた磁空への旅」(Nooo Kitty Projects, 大阪)
2014年12月 岡本奈香子 個展(京都市立芸術大学 映像スタジオ)
2013 年1月 岡本奈香子 個展(京都市立芸術大学 大学ホール)
2011年9月 岡本奈香子 個展「芸術と脳ー潜在する超正気ー」(TORARY NAND, 大阪)
2011月1月 岡本奈香子 個展(京都市立芸術大学 小ホール)
2005年4月 岡本奈香子 個展(大阪市堀江公園前路上, トラックによる移動ギャラリーTorary Project)
2005年4月 「千連凧プロジェクト」(奈良県吉野郡上市川河川敷,トラックによる移動ギャラリーTorary Project)
2004年6月 「千連凧プロジェクト‘Absolute Perfection’」(Wormwood Scrubs Park, ロンドン)
グループ展
2023年12月「エレメントElements」(Space Department, 奈良)
2022年10月「奈良・町家の芸術祭はならぁと2022」(TARN, 奈良)
2022年10月「狂転体展」(かいじゅう未来計画〜アート・ひと・まち in 大和桜井〜, 奈良)
2022年3月「狂転体展](+1art, 大阪)
2021年12月「Ten years after 」(+1art, 大阪)
2020年9月 「現象学的スケッチ展」(ギャラリー白, 大阪)
2013年10月「Eureka note sketchy」(安田画廊, 大阪)
2012年7月 「ネオジム磁石によるパルス磁場描画実験」(京都市立大学大学ギャラリー)
2010年5月 「表現者決起集会 vol.2 」 (宗右衛門町エーデルプラッツェビル1F空き店舗, 大阪)
2008年2月 「シャンデリングドローイング展」(大阪小大丸ビル, 空き店舗)
2008年8月 「DOOR展」(Port Gallery T, 大阪)
2008年6月 グループ展(京都市立大学大学ギャラリー)
2007年2月 「表現者決起集会 vol.1 」(元名村造船所跡地, 大阪)
2006年11月 「The Torary Project show」(CASO, 大阪)
2005年11月 「ヨコハマトラリンナーレ」(横浜マリンタワー駐車場, トラックによる移動ギャラリーTorary Project)
2005年9月 「ゲンビどこでも企画」(トラックによる移動ギャラリーTorary Project, 広島市現代美術館)
2004年5月 「intermission」(Space44, ロンドン)
1997年9月 「3人展」(愛知芸術文化センタースペースX, 名古屋)
1995年8月 「3人展」(世田谷美術館市民ギャラリー, 東京)
芸術祭
2023年10月「奈良・町家の芸術祭はならぁと2021」桜井・戒重エリア 企画・作品出展
2021年10月「奈良・町家の芸術祭はならぁと2021」桜井・戒重エリア 企画・作品出展
2020年11月「奈良・町家の芸術祭はならぁと2020」吉野上市エリア 「てすらくらぶ」池田慎 × 岡本奈香子
レジデンス
2024年9月 Amazonica, Correlación Contemporánea (ペルー, 2024年9月予定)
2022年4月 La Wayaka Current, Guna Yala, Panama(パナマ共和国)
エクスペリメンタル・フィールドワーク
地磁気探知車両による磁気刺激描画実験
2023年1月 3日 三保の松原
2019年8月15日 アンボセリ国立公園(ケニヤ)
2019年8月13日 マサイマラ国立保護区(ケニヤ)
2018年12月31日 Gaya Island(マレーシア)
2018年8月16日 ドヴロブニク(クロアチア)
2017年12月31日 シーギリアロック(スリランカ)
2017年8月13日モアイ像前(イースター島)
2017年5月5日 アンコールワット(カンボジア)
2014年11月23日 煙樹ヶ浜(和歌山県御坊市美浜町)
2014年1月14日 阿寺の七滝(愛知県新城市)
2014年1月13日 長瀞渓谷(埼玉県長瀞市)
2014年1月12日 諏訪湖(長野県諏訪市上川)
2014年1月1日 草千里(熊本県阿蘇市草千里)
2013年12月29日 砥部衝上断層(高知県砥部市)
2013年12月31日 亀川魚港(大分県別府市)
2013年12月22日 紀ノ川(和歌山県和歌山市)
2013年11月24日 伊良湖岬(愛知県田原市)
2013年11月23日 伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)
2013年11月4日 三野道の駅(徳島県美馬市三野)
2012年12月14日 三社神社(奈良県桜井市多武峰)
2012年12月23日 富士山(静岡県裾野市)
2012年11月23日 分杭峠(長野県伊那市)
ワークショップ
2013年8月 サマーアートスクール (京都市立芸術大学 大学ホール)
2007年4月 「アート・de・トライ(千連凧ワークショップ)」(東大阪市民美術センター:大阪)
科学論文(査読付き)
2024年4月
Nakako Okamoto1,2*, Akitoshi Seiyama3,4, Shota Hori4,5, Satoru Takahashi2
Role of the left posterior middle temporal gyrus in shape recognition and its reconstruction during drawing: A study combining transcranial magnetic stimulation and functional near infrared spectroscopy, PLOS ONE(Public Library of Science). https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0302375
研究発表
2021年8月20日 ysp2021 認知科学若手の会×日本認知科学会 口頭発表 「"見えないこと"を見るために–感覚遮断による幻視の検証:岡本奈香子×田中誠人」
2019年5月12日 日本認知科学会 第四回若手の会ワークショップ「美術と認知科学による複合研究の可能性」
2013年10月 岡本奈香子 研究発表会 (Torary Project:大阪)
2010年5月 「経頭蓋磁気刺激(TMS)描画実験 研究発表」(京都大学医学科人間健康科学専攻)
2009年9月 「断眠描画実験 研究発表」(京都大学医学科人間健康科学専攻)
子供の頃から絵を描くことが得意であったこともあり、画塾で素描や油彩画のアカデミックな訓練を受けた。大学在学中は、それまでの具象的な表現から新たな表現を生み出そうと、ヨーロッパの抽象絵画やアメリカの抽象表現主義などの絵画を学んだが、描くべき主題や問題意識すら見つからず模倣するばかりであった。当時から、色を扱うことに苦手意識があったため、白黒のモノタイプ(版画技法)を使用し、1996年の卒業制作(図右下)を作成した。しかしながら、それらは、迷いと葛藤のなかで、オートマチックな手法に頼ることしかできなかった結果でしかなかった。
1997年10月25日、大学卒業後の孤独な状況の中、制作が思うように進まず将来への不安をかかえ苦悩の日々を過ごしていた頃、突然、五日以上に及ぶ不眠状態に陥った。一睡もできない日を追うごとに、疲れや眠気を感じるどころか、張り詰めたような緊張状態が続いた。不眠五日目には、切迫した恐怖感情により精神錯乱状態に陥った。そしてその直後に、これまでに経験したことのないほど感覚が冴え渡り、光り輝く妄想の世界がひろがった。自己と世界が幸福な一体感をもつ特殊な心身状態となり、憑かれたように無目的に大量の絵画を制作しつづけた。そこで描かれた絵は、以前の鬱々たる表現スタイルからは全くかけ離れたもので、無数の殴り描きの集積が、画面の枠を超えて、部屋中に拡がっていくという、一種異様なものであった。ようやく睡眠をとることができた後も、自室に閉じこもりドローイングや粘土細工などを朝から晩まで勢力的に作り続けた。
しかし、そのような状態が数ヶ月間継続したのち、安定した精神状態に戻ると、鮮やかな色彩の世界は消え去り、創作意欲がみるみる失われた。その後、何度試みても絵を描くことはできなかった。
それからは、まるで死んでしまった風景を灰色の曇りガラス越しに眺めるような、外の世界と距離をもったように現実と接するようになった。
1997年の意識変容体験によって”描く喜び”、もしくは、“本当の内なる表現”を知ってからは、描きたいという衝動もなくなった今何を描いても嘘としか思えなくなった。以前あれほど夢中であった巨匠たちの作品が、どこか思惑的にさえ見えるようになった。そもそも、自分が今見ている世界は真の姿なのか。当たり前と思っていた物事、普遍的と信じていた価値観が音を立てて崩壊しはじめた。そして、自分はなんら特別な才能も持ち合わせていない凡庸な人間なのだと悟るに至り、絶望の淵に立たされたのであった。もはやこれ以上、美術の道を歩み続けることは無謀としか思えなかった。そして、ついに筆を置いた。
それから4年間に渡り美術の世界から完全に離れた。当時の異様な体験は誰にも公言することなく、自分自身の中でも少しずつ影を潜めていった。しかし、たまに街で見かける障害者の作品展などを目にすると、なぜか心の奥底にしまい込んでいた、当時の色鮮やかな美しい光景や爆発的な表現力の記憶が、フラッシュバックのように突如として鮮明に思い出されるのであった。それまで見向きもしなかった、精神疾患や脳の障害をもつ人々の作品が、圧倒的な独創性と説明のつかない親近感をもってこちらへ迫ってくるのであった。彼らの作品の中に見られる異様な線の連続や執拗なまでの細部へのこだわりを見ていると、まるでデジャヴのように、体験当時の自分の手の先を追っているような感覚に陥り、それらを描いている時の彼らの内なる歓喜の声や画面に食らい付く姿が手に取るように思い描かれた。この不思議な感覚はどこからくるのだろうか?自分の絵と彼らの絵を並べて比べてみると、類似する特徴が次から次へと見つかるではないか。彼らの心身の状態と、当時の自分の不眠状態との間に共通するメカニズムが存在するのだろうか。そして、それらの謎を解き明かすことのなかに、ヒトの創造性の根源はなにかという人類の重要な問題を紐解く鍵が隠されているのではないだろうか。さらには、人類の進化と地球や宇宙の間にはどのような仕組みが潜むのかといった問題へと繋がっていく。
このような問題意識を持ち、2009年より認知神経科学研究を開始し芸術と脳に関する様々な研究と分野横断的な美術表現を行うこととなった。