明星学園クリスマスコンサートでラプソディー・イン・ブルーを演奏する三好さん。
2020年5月2日にライブピアニスト三好駿(みよしたける)さんと、当団指揮者 瓦田によるオンライン対談が三好さんのInstagramにてライブ配信されました。三好さんとムジカ・プロムナードは過去にベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番《皇帝》や、ガーシュインのラプソディーインブルーで共演をしています。今回は2人の出会いのきっかけや今後の共演予定など、フリートークも交えて盛りだくさんの内容となったその対談をお届けします!
瓦田:瓦田尚(かわらだひさし)と申します。指揮者って紹介されましたけども、実際はしがない地方公務員でして、都立高校の教員をやりながら、趣味でムジカ・プロムナード(以下、ムジカ)というオーケストラをやっていて、タケル君とはムジカで何度も共演したんですけれども、そもそもは、後の方でも詳しく触れるんですけど、明星学園という学校でご一緒したところから、ご縁で、これまでいろいろ楽しくやらせてもらっています。
三好:もう10年以上前ですよね、初めてお会いしたの。
瓦田:僕が明星学園で働いてたのが2009年だと思うので、そうですね11年前か。(タケル君のお母さまの)バイオリン教室のおさらい会で…
三好:そうだそうだ!
瓦田:バイオリンの生徒さんよりも、ひたすら目立って弾いているあのピアノの人なんだろうなと思ってたのが、第一印象。もう全部暗譜で、バイオリンの人にぴったりつけて弾いてて、きらきら星から、ベートーヴェンのバイオリンソナタまで何でも弾きこなしてて、鮮烈な思い出でしたね。いやーほんとびっくりでした。
瓦田:タケル君としては最近の活動はどうですか、まあ最近というと、ほんと最近はひどいかもしれないけど。
三好:そうですね、ここ2、3か月の話をさせていただくと、僕は基本、生演奏メインの人なので、2月末くらいの段階でキャンセルが相次いで、もう6月、7月までの予定がばばばってなくなって、本来の今年も演奏家として活動していこうと思ってた部分に関しては、もちろん収入面もそうだけど、時間的にもなくなってしまったので…
瓦田:今はそうだとして、ビフォーコロナというか、2月より前はどういう軸の活動だったんですか?
三好:まずひとつは、東京ピアノ爆団っていうグループをやってまして、これは年に1回ライブハウスでクラシックを演奏する演奏会をやっていて、場所はライブハウスなんですけど、やる曲はガチガチにクラシック。あとは、僕はクラシックに限らず、ポップスもジャズも、伴奏業がメインですね。既存の曲をそのままやるんではなく、その人、歌手だったりバイオリン奏者だったり、その人に寄り添った形でどう伴奏するかっていうことで全然変わってきてしまうので、そういうのをメインでやっています。
瓦田:なるほど。
三好:その延長で、テレビとかラジオとかにも出演して後ろのほうで弾いてる人をやっている。なので、僕のフォロワーさんはよく知ってると思うんですけど、別に何か特定の、一つのことだけやって、最近ジャズとかポップスばっかりやってるからクラシックはやってない、とかそういうことではなくて、僕は音楽全体的に好きなので、子供のころからそうで、なんでもやってた。
瓦田:うんそうだよね、そういう環境もあったんでしょうね。
三好:僕も質問、瓦田さんにお聞きしたいのが、ムジカ・プロムナードというオーケストラをやられているということなんですけど、これはそもそもどういう経緯でできたオーケストラなんですか?
瓦田:できたのがもう、2003年とかなんですけど、
三好:おお~
瓦田:僕が大学2年生くらいの時なんですね。僕は岩手から東京に出てきて、大学のオーケストラに入ろうとしたんですけど、まあ入ったんですけど、ちょっと自分には合わなくて、非常にガチガチの、もう…軍隊というか宗教というか…そういう風に僕は思ったんで、ちょっと自分には無理だなと思って、(外部で)入れるところを探してたんですけど、僕はもともとフルートをやってたので、なかなかフルートって人気っていうか、人が多いので、入れるオケが少ないんですよ、空きが少ない。で、色んなオーケストラを調べてみると、どこも似たような感じの、なんかベートーベンばっかりやってるとか、
三好:うんうんうん
瓦田:チャイコフスキーと、ドヴォルザークと、で回してるみたいな、なんかもうちょっと、せっかくオーケストラってもっといろんな可能性があるんじゃないかなと思って、だったらもう、作ってみよう!と思って、作ったんですよ。まあそんな経緯ですね。僕も最初指揮者をやるっていうふうに思ってなかったんですけど、指揮者に頼むとお金がかかるっていうことすら知らなくて、お金がかからない方法にしようと思って、僕が振ってるうちに定着し始めた感じ。(笑)
三好:そう、ムジカってありそうでないっていうか、多才ですよね、活動の仕方というか。
瓦田:そうですね、本当にそれが、そのスタンスのなさがスタンスというか、クラシックのコンサートもやりたいし、小学校で体育館でのコンサートもやりたいし、僕の故郷の釜石でもコンサートするし、なんかなんでも楽しそうなことやるっていう感じで、ご縁があっていろいろ、映画にも出してもらったりとか。
三好:はいはいはい。(「オケ老人!」見ましたよ)
瓦田:タケル君とは実は僕3回くらい共演してるんだと思うんですけど。
三好:そうですね、こまごま合わせて、僕がピアニストとしてじゃなくて、第九で歌ってるとか含めるともうちょいあるんじゃないですか。
瓦田:あとチェレスタ弾いてもらったこともありましたね!
三好:チェレスタある!チェレスタ!
瓦田:委嘱の新作みたいのでしたっけ。
三好:そうです、そうです。そこで僕生まれて初めて、たぶん、ステージでチェレスタを弾かせていただいて。
瓦田:夢だったんですよね?チェレスタ弾くのが。
三好:そうそう、チェレスタを弾くのが夢で、学校に転がってるやつとか弾いたことはあったんですけど、その演奏を発表するっていう点で、本番は初めて。
瓦田:タケル君と僕は、その明星で一緒だったっていうのは、ただ同じタイミングで籍が一緒だっただけで、ほとんど面識なかったんですけど。
三好:(当時は)ないですね。
瓦田:いまいち思い出せないんですけど、そのチェレスタ弾いてもらったときが、たぶん初めてまともに接したんですよね。
三好:たぶん、そうですそうです。
瓦田:なんでだったかな、僕が呼んだんでしたっけ?なんかのつてを辿って。
三好:そうです。つてを辿ってというか、出会った時点で僕が高校に通ってて、僕が明星の高校で、瓦田さん明星の中学ですよね、たしか勤めてたのが。だからそもそも学校での接点は全くなくて。
瓦田:そうでしたね。
三好:なんですけど、当時確か、ミクシィですよね、フェイスブックとかじゃなくて(笑)
瓦田:はっはっはっ
三好:ミクシィ時代じゃないですか、ミクシィで、そう、それで僕が卒業してヨーロッパに留学したんだけど、ちょいちょいミクシィで記事書いてるときに、なにかとSNS上でで会話をする間柄みたなことだったので、完全に途切れなかったんですよね。
瓦田:あ、そっかぁ。
三好:そんなこんなで、なーんとなく、SNSのむこうで何をしてるかっていうのを、たぶん、なんとなく(お互いを)頭の片隅で把握していたんじゃないかな。繋がりがあって、たぶんそういうふうに連絡いただいたっていうのが初めてだったかな。
瓦田:そうそう、そうだったんでしょうね。共通の知り合いもたくさんいますしね。
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番を演奏している三好さんとムジカ・プロムナード。
瓦田:新作「モモ」でチェレスタ弾いてもらったのも、第九で歌ってもらったのもありがとうございましたという話で、いよいよコンチェルトをやってみたいなと思って、一楽章だけですけど《皇帝》(ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番)を武蔵野スイングホールでやってもらったんですよね。
三好:そうですね、5年前ですね。
瓦田:《皇帝》はタケル君がやりたいと言ったんだと思うんだけど、コンチェルトをやろうよと僕から提案して、うんって言ってくれたんでしたよね、確か。
三好:何か言いましたね。何と言ったのかいまいちもう思い出せないですけど。僕ベートーヴェンすごく好きなので、瓦田さんもそうだと思いますけど。僕個人としても、節目節目でやっぱベートーヴェンって出てくるんですよね。まぁ人生のっていうほどの歳でもないですけど、何かとベートーヴェンをステップとして踏んでいるところがあって。あれは楽しかったですね。
瓦田:楽しかった。カレー屋さんで打ち合わせしたり。
三好:打ち合わせしたり、区民センターのアップライトピアノでオケ合わせしたり。
瓦田:ラプソディーインブルーがもう3年前くらいですよね。
三好:そうですね、2017年のクリスマスなので。瓦田さんからその(依頼の)メールいただいたのが11月半ばくらいで。
瓦田:そんな(本番まで)迫ってました?(苦笑)
三好:迫ってましたね。なんかね、あのときすごい迫ってたんですよ。
瓦田:それは申し訳なかったです。
三好:迫ってて、僕ちょうど10月、11月は月の三分の二は神戸にいる状態で、12月も関西と行き来していたのに関わらず、そのコンサートの日は空いてるからOKですって即答しちゃって。
瓦田:そうでしたよね。
三好:それで(瓦田さんが)ラプソディー・イン・ブルーがいいです、(僕が)わかりました、って。そこからは練習というより新幹線の中で譜面読んで、頭の中で練習して、みたいな。ピアノに向かって練習しないで、頭の中で(音楽を)作って、みたいな感じでやった記憶が蘇ってきました。
瓦田:いや、実はラプソディー・イン・ブルーって一般的にはすごく有名な曲だし、僕も大好きなんですけど、アマオケでやることってほとんどないんですよね。ガーシュウィンは版権が切れてないので、非常にお金がかかるんですね、やるのに。でも有名な曲だから絶対いつかやってみたいなと思ってたし、(お客様に)聴いて欲しいし、やっぱりタケル君みたいな面白いピアニストとやりたいというのがありましたね。
三好:あれ当時、2017年はぼくが25歳だったんですけれども、実はそのガーシュウィンがラプソディーインブルーを作曲した歳も25歳で、すごく重なる部分があって。僕やっぱあれ弾きながら「すげぇなこんな25歳いたの」って感覚になりながらやってたんですけど。
瓦田:いまの話聞いてちょっとぞくっとしたんですけど、僕が明星学園で働いてたのって25歳のときで…
三好:あ~、なんかありますよね、そういうのね。
瓦田:今後、「こういうことやりたい」みたいのは、あります?
三好:やっぱり僕はライブというか、コンサートというか、人と接する場所で音楽はやりたいというのが、別に今だから特にってことではなくていつもそうなんですけど、あって。
瓦田:一応明るいニュースとしては来年(2021年)6月27日、日曜日に武蔵小金井のホールが予約取れたのでムジカ・プロムナードで何かやる予定で。中身は何も決まってないけど、もしそのときにタケル君が、コンチェルトじゃないにしても、オケの中にピアノのある曲だったらぜひ、と思っています。
三好:全然(いいですよ)、ぼくはピアノくらいしか弾けないので。歌でも参加するけど。でもまたコンチェルトも何かやりたいですね。
瓦田:ぜひぜひ。《皇帝》全楽章でもいいし、他のものでもいいし。
三好:さぁ今日はこの辺であがりましょうか。
瓦田:はい、今後ともよろしくお願いします。
三好:宜しくお願いします。ありがとうございました。おやすみなさい。
今後の活動から目が離せない三好さん、またムジカで一緒に演奏できるのを楽しみにしています!対談のまとめリリースの動画もチェックしていただけます。最後に、対談にも出てきた「ラプソディーインブルー」の共演映像を紹介します。たけチャンネルのフォローも忘れずに!
幼少の頃から音楽に親しみ、高校卒業後に渡欧、ベルギーの王立音楽院にてクラシックピアノ、室内楽やオペラを学ぶ。帰国後、 ピアニストとして演奏活動を開始し現在は東京を中心に国内外での演奏、作曲、アレンジ、公演プロディースを続けている。ライブハウスでの純クラシックを展開する集団、東京ピアノ爆団の発案・創設メンバー。
特に伴奏ピアニスト、アレンジャーとして、海外アーティストを含む多くの歌手や器楽奏者からはもちろんのこと、草刈民代、松田美由紀など、バレエや舞台など表現世界で活躍するアーティストからも信頼を得ており、様々なステージでの活動を広げている。