多領域ダイナミクス設計研究分科会

 背景・目的

背景 

ターボ機械は,流力性能の向上と同時に,システムとしての信頼性向上が求められている.その信頼性に関する重要な課題の一つが安定性である.安定性は,シックスシグマやタグチメソッドなどのように品質管理や品質工学的な見地からの取り組みに加えて,不安定を引き起こす要因の追究とそれらを適切に評価して基本設計(初期設計段階)へと反映する手法を構築することが重要である.

これまでのターボ機械における流体不安定現象や回転不安定現象においては,前者は流体工学の分野,後者は回転体力学の分野から,それぞれの立場において研究・開発が行われてきた.近年では,流力性能が向上するにつれて流体励振力・ロータダイナミック流体力が回転体へ大きな影響を及ぼすようになっている.また,流体励振力に応答する回転体の挙動は,再び流体の圧力・速度・密度などに影響を及ぼす,いわゆる連成事象を誘発する.これらの諸問題への対応については,「学際的に,流体工学,回転体力学,設計工学などをダイナミクス分野で融合させて扱うこと」が効果的である. 

目的

 本研究会は,流体工学・回転体力学・設計工学の境界領域を「ダイナミクス設計」と称し,それに関する課題や新たな設計手法を単一領域ではなく多領域から取扱い,ターボ機械の高信頼化と安定化に寄与することを通じて,ターボ機械の発展を目指す.

具体的には,ターボ機械をインペラ・シール・軸受・シャフトなどの多種の流体機械要素から構成された動的システムとして捉え,

を研究会活動の中心に据える. さらに,構成委員が所属する機関からのさまざまな研究ニーズについて議論を行い,課題解決や予防設計・最適設計などについて産業界と学界の両面の観点からアプローチすることで,実設計(製品設計)へ反映させていくことを視野に入れて活動する.

構成委員と主査

 この活動は,マルチフィジックスとして現象を扱うことから,産学連携(大学と企業)がとても重要である.本研究会は,流体工学・設計工学・振動工学・トライボロジー・制御工学など,多分野の技術者・研究者から構成される.

 活動テーマ

以下の項目に関する調査研究および技術情報交換をおこなう.

主な活動内容

・分科会会合:年3回

・ソフトウェアのベンチマーク

 ジャーナル軸受の動特性(CFD解析RD解析,1DCAE解析などのソフトウェアの比較と成果共有)

産学連携コンサル

実験室見学会

・産官学共同研究(検討中)

入会案内

【当分科会への入会について】

研究者委員:研究機関にご所属の方でターボ機械協会の個人会員

企業委員 :関連企業にご所属の個人会員または所属企業が特別会員

であることを入会の条件としています.

入会を希望される方は,ターボ機械協会事務局にお問い合わせください.

分科会メンバー共有用

関連する学会予定一覧(随時更新しており,分科会メンバーには閲覧URL共有) 

ターボ機械 特集:多領域ダイナミクス設計研究分科会の活動(2024年1月号 第52巻第1号)

ターボ機械 2024年1月号

多領域ダイナミクス設計研究分科会の活動 特集号が発行されました.当分科会のこれまでの活動が1冊でわかるものとなっています.ぜひ御覧ください.


[巻頭言] 多領域ダイナミクス設計研究分科会

[分科会報告] 多領域ダイナミクス設計研究分科会の設立目的と活動概要

[展望・解説] 多領域ダイナミクスに基づく総合討論型ベンチマーク活動と展望

[展望・解説] 多領域ダイナミクスを拓く分科会セミナーと若手育成講演会

[展望・解説] 制御工学に基づくシステムモデリング

[展望・解説] 課題解決や技術相談に関する産学連携の取り組み

[展望・解説] 多領域ダイナミクスの観点から観たターボ機械の実験見学会の実施状況と展望

[展望・解説] 多領域問題としてのRD流体力(理論解析・数値計算技術の変遷と展望)

活動記録と次回

 次回 第19回(2024年度 第1回) 20247月10-11日@碧南

New 第18回(2023年度 第3回) 2024年3月1日@広島駅近くの会議室

New ターボ機械 「多領域ダイナミクス設計研究分科会の活動」 発行(2024/1月号)

第18回(2023年度 第3回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

 ・新川電機社長の新川様より、歓迎のご挨拶をいただいた。

 ・ターボ機械のロータ振動解析およびHILに関して,松下修己先生(防衛大学校名誉教授)からご講演いただいた.

 ・新川電機のポータブル振動解析システム「Kenjin」や回転機械の遠隔状態監視システム「infiSYS V-Assist」についてご説明いただいた.

 ・委員への新規加入について審議され,加入が承認された(複数名).また,新たなオブザーバ参加が承認された.

 ・分科会活動期間の延長申請等がおこなわれた旨,主査から報告があった.

 ・2024年の参加費について議論され,承認された.

 ・協会誌「ターボ機械」の当分科会特集号(2024年1月号)の発刊を機に,これまでの分科会活動の種々の振り返り(ソフトウェアベンチマーク,産学連携コンサルタント,実験見学会など)が報告され,今後の活動に向けて建設的な議論がおこなわれた.

 ・当分科会とJAXAとの共同研究の進捗状況(WG活動)について,主査から報告があった.

 ・あらたな分科会活動として分科会データベースの構築を試行する旨,副主査から説明があった.

 ・国際学会,国内学会,展示会などの情報共有がおこなわれた.

 ・2024年7月中旬を予定している.場所は中部地区で,発電所の見学と宇宙輸送スタートアップの企業訪問も行う予定.詳細は別途展開.

第17回(2023年度 第2回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会


長浜製作所社長の三村様より、歓迎のご挨拶をいただいた。

長浜製作所の最新の技術開発や製品開発に関する取り組みをご紹介いただいた。

長浜製作所の工場見学をおこなった.2022年8月に竣工した新しい工場の現場はどれも興味深いものであった.


共同研究契約が締結されたことが主査から報告された.

室蘭工業大学(マルチボディダイナミクスとJIANTの連携)とJAXA(木材建築の耐震性にJIANTを活用)から,品質工学ツール(JIANT)を活用した研究事例紹介がおこなわれ,活発な意見交換や質疑応答がなされた.


今後活発化されると予想される分科会での研究について,分科会規定(案)が主査から提示された.この規定案で運用を開始することとし,今後、必要に応じてブラッシュアップしていくこととした.


機械要素に関する振動現象を対象として,産学連携コンサルを実施した.大学等研究機関から出席者8名(岩壺卓三 神戸大名誉教授を含む)の参加があり,活発に討論が行われた.



分科会の期間延長について承認された.

ターボ機械協会創立50周年記念の当分科会の寄稿,および協会誌「ターボ機械」分科会特集号(2024年1月号)の寄稿について紹介があった.


次回は2024年3月初旬を予定しているが,詳細は別途展開. 

第16回(2023年度 第1回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

大樹町長 黒川様 

Space COTAN 代表取締役社長&CEO 小田切様

インターステラテクノロジズ・ファウンダー 堀江様

インターステラテクノロジズ 金井様


全員から北海道における宇宙開発の熱さが語られ,その特別な雰囲気が会場を満たし,翌日の見学会への期待が高まったまま夜遅くまでの2分科会交流が続けられた.

荏原製作所 

モデレーター 中部大・安達先生


特色ある4社の技術者にパネラーをお願いし,「ターボ機械の未来像・航空宇宙分野とカーボンニュートラル」のパネルディスカッションが持たれた.技術論,教育論など幅広く話題がカバーされ,あっという間に予定時間がすぎるほど内容豊かな時間であり,また続編を期待する声も多かった.


この3会場を巡る大樹町見学会は,現地において参加者からの圧倒的な高評価を得ていた.

アンケート結果の一部を記す.

「工場,発射場のどちらの見学も非常に興味深かった.ロケットに関心を持つ人々の観光名所にもなりうる.」「やはりロケットの打ち上げには,広大な保安距離を必要とする.体感してみないとわからない視点である.」「発射点の周囲に広がる広大な土地と海の眺めは,大樹町が確かにロケット発射場の適地であることを納得させるものであった.今後,大いに発展していくことに期待している.」「ロケット製造分野に全く関わっていないので普通にしていたら絶対に経験できる事の無い見学をすることができた.ロケットのサイズ感、工場のサイズ感、想像とは全然違った(略)」「実際にISTのロケット開発現場を見学できて,とても興奮した.」「見る機会を得にくい施設ばかりで大変貴重な経験でした.」


第15回(2022年度 第3回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

第14回(2022年度 第2回)  多領域ダイナミクス設計研究分科会

第13回(2022年度 第1回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

関連する今後の講演会や国際会議,国内学会・シンポジウムについて情報共有した.

2学会についてポストコロナとして学会自体はほぼコロナ前と同様に実施されていることが報告された.

開催方法や実験室見学会の実施などについて議論された.

学会誌ターボ機械の分科会特集号について,具体的な執筆方針が議論された.

ハイブリッドで開催された分科会の様子

第12回(2021年度 第3回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

関連する今後の講演会や国際会議,国内学会・シンポジウムについて情報共有した.

開催方法や実験室見学会の実施などについて議論された.

学会誌ターボ機械の分科会特集号について,執筆方針や提出期限などが議論された.

ハイブリッドで開催された分科会の様子

第11回(2021年度 第2回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

幹事より説明があり,承認された.

主査より説明があり,活動期間の延長が承認された.

関連する今後の講演会や国際会議について情報共有した.

今回から国内学会・シンポジウムが追加された.

大学等研究機関側の委員から産学連携コンサルに対する感想・意見が紹介された.

学会誌ターボ機械の分科会特集号について,執筆方針や提出期限などが議論された.

ハイブリッドで開催された分科会の様子

10回(2021年度 第1回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会


     ZOOMによるオンライン会議の様子

ハイブリッドで開催された分科会の様子

9回(2020度 第3回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

ハイブリッドで開催された分科会の様子

8回(2020年度 第2回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

1︓可視化実験・理論解析関係
Theoretical Analyses of the Number of Backflow Vortices on an Axial Pump or Compressor, ASME J. Fluids Eng. Mar 2020, 142(3): 031103 (14 pages),
https://doi.org/10.1115/1.4045859
2︓数値解析関係 One-way Coupling Numerical Simulation of Cryogenic Cavitation Around an Inducer, International Journal of Fluid Machinery and Systems. 2019, 12(3): 235-243,
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ijfms/12/3/12_235/_article/-char/ja/

オンラインで開催された分科会の様子

7回(2020年度 第1回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

オンラインで開催された分科会と懇親会の様子

第6回(2019年度 第3回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会(中止

5回(2019年度 第2回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

解析条件や進め方を確定し,各機関にてそれぞれの解析を進めることとした.

AJK Fluids 2019, AICFM 15, IAHR-Asia 2019, IGTC 2019, APVC 2019に関して,最新動向,印象深い論文、会議の雰囲気などが紹介された.

分科会の様子

4回(2019年度 第1回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

3回(2018年度 第3回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

2回(2018年度 第2回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会

1回(2018年度 第1回) 多領域ダイナミクス設計研究分科会