死神のシゴト。

(登場人物)

・二ノ宮 潤一(にのみや じゅんいち):♂

主人公。大学生。

変わらない日々に飽きている厨二気質。


・ヨミ:♀

新米の死神。見た目12、3歳くらい。

「死人の魂をいち早く回収する事」を役目とする死神の新人。

仕事に対して勤勉なのだが、張り切りすぎて失敗するタイプ。

仕事着と称して、黒衣に大鎌というとても分かりやすい格好をしている。


・閻魔(えんま):♂

ヨミの上司で、死後の沙汰を決める番人。見た目20代後半。

「死人の魂の逝き先を判決する事」を役目とする、死後誰もが出会う番人。

基本的に温厚なのだが完璧主義で、こと仕事のミスには容赦無く鉄槌を下す。


・リム:♀

死神兼閻魔の補佐。見た目20代半ば。

ヨミの先輩で、2世紀半ほど死神を務めているベテラン。

仕事のミスにも寛大で優しい女性だが、怒ると怖い。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(役表)

潤一:

ヨミ:

閻魔:

リム:

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


潤一:(M)

   ……この世界は、退屈だ。

   身勝手な権利と、無意味な義務と、理不尽な責任に溢れ、

   嘘と保身にだけ長けた大小様々な人間が跋扈している。

   そんな集団の一部に、俺もまた含まれている。

   ……反吐が出そうだ。

   無味乾燥な世の中で光を見出して生きている人を見ると、素直に尊敬する。

   俺はただ、理由も分からずに大学に通いながら、

   何の変化も無い毎日を悄然と過ごす、漠然とした考えも持たない時の流れの一部に過ぎない。

   そんな事を考えながら、今日も朝のニュースを寝ぼけ眼で観ていた。

   テロップが泳ぎ回り、何の変哲も無い特集を報じている。


潤一:ふーん……自殺者が例年の倍以上に増加……ね。

   死ぬのは勝手だけど、せめて場所くらい選んでくれなきゃな。

   電車通学の身からしたら、たまったもんじゃないっての……

   ……と、もうこんな時間か。

   行ってきます。

   ……ま、誰もいないけどさ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


閻魔:ヨミ。

   ヨミは何処ですか。


ヨミ:はい!

   はい閻魔様、ヨミはこちらに!


閻魔:元気がいいのは結構ですが、返事は一回でよろしい。

   それよりヨミ、いよいよ貴女の研修期間も終わりですが。

   ……どうですか、塩梅のほうは?


ヨミ:えっと……自分の中では……いいほうかなー……なんて。


リム:そうね。

   毎月の魂回収ノルマも問題なく達成しているし、私はなかなか優秀だと思うわ。


ヨミ:え、えへへへ……それほどでも。


閻魔:……ふむ、よろしい。

​   リムの太鼓判も出た事ですし、最終試験を受けてもらいましょうか。


ヨミ:さ、さいしゅうしけん?


閻魔:リム。


リム:はい。

   これが最終試験のノルマの、死亡予定者リストね。

   確認してみて。


ヨミ:……あれ?

   あの、これ、一人しか載ってませんけど……?


閻魔:その通り。

   最終試験は、たった一人分の魂を回収すれば、問題無く合格。

   晴れて一人前の死神として、第一線で働く資格を得る事が出来ます。

   ……ですが、重要なのはその回収対象者の死因。

   よく見てみなさい。


ヨミ:……自殺?


リム:そう。

   昨今では、自ら命を絶つ人間が後を絶たなくてね。

   流石に戦時中の頃程ではないにせよ、正直、結構私達も毎日天手古舞なのよ。

   ……だから、新人の死神も逸早くその手伝いを出来るようになる為に、

   実技試験形式で、その最前線を経験して貰おうってわけ。


閻魔:何故それが最終試験なのかは、現場に行けば嫌でも理解できますよ。

   研修期間中は主に病死者、老衰死者等の穏便な現場にのみ赴いて貰いましたが、

   自殺者の場合、その死体は……大抵目も当てられない程に凄惨な物になる。

   それこそ、死因にもよりますが、肉体が原型を留めない程に酷く無惨な場合もあります。

   そんな現場に幾度と無く出向き、数え切れない程の血腥い現場を目の当たりにして、

   精神的疲労からノイローゼを起こしてしまう死神も増えてきてしまっているのが現状です。

   ……だからこそ、そういった最前線で活躍出来る死神が、一人でも多く必要なのです。


ヨミ:……わ、わかりました。

   ががががっ、が、頑張りますっ!


リム:……もう既に顔色が悪くなってきてるけど、本当に大丈夫?


ヨミ:だっ、だだ大丈夫です!

   さくっとへっちゃらです、こんなの!


閻魔:では、健闘を祈りますよ。

   ……ああ、そうそう。

   もう聞き飽きたとは思いますが、仕事の時はくれぐれも人間に見付からない事。

   万が一見つかったら、速やかにその者の記憶を消すこと。

   ただでさえ貴女の格好は目立つんですから、注意してくださいね。

​   ……と言いますか、服装は原則自由なんですから、わざわざそんな目立つ服を着る必要は無いんですよ?

​   鎌だって、もっと身の丈に合った小振りな物を支給してあげる事も出来ますし。

ヨミ:いえ、この服も鎌も、死神の就任祝いにって、リムさんから頂いた大事な物ですから、

   私はこれが一番良いんです。

   ……えっと……そ、それでは不肖ながら死神ヨミ。

   最終試験、行って参ります!


リム:……今まで以上にテンパっちゃってるわね……

   昔から大事な時はいつもあんな感じだけど、やっぱり心配だわ。


閻魔:まあ、少々気弱な所を除けば優秀な子ですし、不測の事態にさえ陥らなければ大丈夫でしょう。

   ……尤も、将来の為にも、そろそろ不測の事態にも自力で対応出来るようになって貰わなければ困るんですが。


リム:ふふっ。

   ……さ、それじゃ、私達も早く今日のノルマを終わらせてしまいましょうか。


閻魔:そうですね。

​―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


潤一:はぁ……やっぱり、金曜に講義を詰めたのは失敗だったな……

   終わるのも遅いし、一週間分の疲れが一気に来る……

   ……ん?

   なんだ、あれ……人、か?


潤一:(M)

   帰路の途中にある、人通りの少ないマンション街。

   そのマンションの一つの屋上に、ふらふらと歩く人影がぼんやりと見えた。


潤一:……なんでこんな時間に、あんな場所に……?

   ………っ!!

   まさか……冗談だろ!?


潤一:疑念が確信に変わるよりも早く、その人影は、10階建ての古びたマンションから飛び降りた。

   ほんの十数メートル先で、肉が潰れるような嫌な音が響いた。

   ……それだけで、吐きそうな気分だった。

   帰り道を最悪な障害物に遮断され、通報する事すら忘れて、とりあえず来た道を引き返そうと思った時。

   唐突に響いたその声が、俺の足を止めた。


ヨミ:えっと……確か現場はこの辺……

   ひぃやあっ!?


潤一:……!?


ヨミ:あわわわわわわ……とととと、飛び降り自殺……!!?

   いやいやいや、落ち着け、落ち着け私……

   大丈夫、いつも通りやれば大丈夫……!

   えっと、えっと……


潤一:……なんだ、あの子……?

    こんな時間にこんなとこで、黒装束にあんなでかい鎌持って……


潤一:(M)

   なにを思ったか、俺はその不可思議な子の背後へ歩み寄って行った。

   ……その近くには、死体が転がっているだろうというのに。

   その子は何やら、妙な書類を捲りながら、震え声でぶつぶつ呟いていた。


ヨミ:……で、享年は、45歳……死亡予定者リスト、該当者の全情報と合致。

   ……よし、確認完了。

   あとは魂を回収すればノルマ達成……!

   ご愁傷様……ご冥福を……

   ……うううう、血の臭いが気持ち悪い……っ!

   さっさと済ませちゃお……


潤一:………なぁ、君?

   そこで一体なにを、


ヨミ:ぎにゃぁああっ!!?


潤一:へっ?

   ……ッ!?!?


潤一:(M)

   その少女の悲鳴と同時に、世界が反転し、意識が一瞬吹っ飛んだ。

   なんだ、なにをされた……!?


ヨミ:はぅぁああ……び、びびっくりしたぁ……

   反射的に、思いっきり鎌で殴っちゃったけど……

   ……もしもし、もしもーし……?

   あ、あの、大丈夫ですかぁー……?


潤一:……あんた……なに、を……


ヨミ:はぁっ!!

   ご、ごごめんなさい、ごめんなさい!!

   まさか人がいると思ってなかったから、つい防衛本能が……!

   あ、いや、別に!

   本当に、貴方に恨みがあってこんな事したんじゃなくて!

   後ろからいきなり声掛けられたりしたもんだから……!

   ……って、アレ?

   もしもし、もしもぉーし……?

   ……あの、あれ、ちょっ、聞こえてますかぁー!?


潤一:………………


ヨミ:えっ、あれ……?

   えっと……もしかして……?

   いやいやいやいや、そんなそんな!!

   まさかそんなことが、


閻魔:……ヨミ。


ヨミ:ひきゃぁあああっ!!?

   ごめんなさい! ごめんなさい!!

   ごめんなさいぃぃいいっ!!


リム:……はぁ。

   ヨミ、ヨミ。

   取り敢えず落ち着きなさい。

   ほら、深呼吸、深呼吸。


ヨミ:は、はひっ!

   ……すーー、はぁーー……

   すぅーー、はぁあーー……


閻魔:……さて、では。

   落ち着いたところで、状況を整理しましょうか。

   ……ヨミ。

ヨミ:は、はい……

閻魔:君は、今此処で、何をした?

ヨミ:(M)

   ひぃっ!?

   閻魔様の敬語が無くなったぁっ!?


ヨミ:……えっと……最終試験のノルマの、自殺者の魂を回収してました……


閻魔:うん、で?

   その最中に、何をした?


ヨミ:……いきなり、後ろから声を掛けられて、びっくりしちゃって……

   その、鎌の、いっちばん堅い部分で、思いっきりこの人の、側頭部を殴り飛ばしました……


リム:……まあ、これでこの人が気絶してるだけなら、傷を治療して、記憶を消し、

   自宅まで転送して、何とか事無きを得る手筈だったんだけど……ね。


閻魔:最悪な事に、今の衝撃でこの青年はほぼ完全に死亡した。

   ……ヨミ、死神が最もやってはいけないこと、三大禁忌を言ってみろ。


ヨミ:……ひとつ、「役目の際に己の姿を何人にも見られるべからず」、

   ひとつ、「如何なる状況であろうとも、第三者に危害を加えるべからず」、

   ひとつ「如何なる理由があろうとも、決められた命日以外でその魂を奪うべからず」

   ……です。


閻魔:そうだ。

   そして言うまでもなく、その青年の命日は今日ではない。

   だがしかし、こうしてヨミの一撃で、その魂を回収せざるを得なくなりつつある。

​   人目も人通りも無いこの状況では、偶々奇跡的に一命を取り留める……というのも、まず無いだろう。

   ……さあ、この状況。どう責任を取る?


ヨミ:……ごめんなさい……


リム:謝ったって、やっちゃったものは取り返しがつかないわ。


ヨミ:はい……


閻魔:死神の三大禁忌を全て破り、剰え第三者を、死に至らしめる。

   これをやってしまった死神は、長い歴史の中で、決して前例が無い訳ではない。

   ……が、ルールはルールだ。

   タブーを犯してしまった以上、然るべき処罰を受けて貰う。


ヨミ:しょばつ、って……?


閻魔:死神という立場そのものを懸けて、ある特別試験を受ける。

   それに合格する事が出来れば、もう一度だけ、死神としてやり直すチャンスが与えられる。


ヨミ:えっと……あの、もし、不合格だったら……?


リム:可哀想だけど、死神の権利を全て剥奪され、大罪人として地獄送りよ。

   ……文字通り、永遠に、ね。


ヨミ:っ……!!

   や、やります、やらせていただきます!

   やらせてください!!


リム:……でも、本当にやらせるんですか? 閻魔様。

   他にも汚名返上の方法は無くはないですし、何より「これ」は、ヨミには荷が重いんじゃ……


閻魔:……出来れば私も、こんな事やらせたくはないんですがね。

   しかし、偶然にも出会った彼が、何の皮肉か……

​   言い方は悪いですが、今回のヨミの特別試験には、一番最適な人材なんです。


リム:……泣きっ面に蜂……ね。


ヨミ:…………?


閻魔:……では、死神ヨミよ。

   この試練を見事乗り越え、汚名を返上してみせよ。   

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


潤一:……んんっ……?

   ここは……俺の部屋……か?

   ……あれ?

   確か俺、飛び降り自殺に出くわして、そこで変な女の子に会って……

   えっと……その後、どうしたんだっけか……

   ………………

   ……ああ、そうか、夢か。

   そうだよな、あんな馬鹿馬鹿しい出来事が現実なわけない。

   はあ……くっだらねえ夢見たなぁ。

   今何時だ、スマホどこ置いたっけ……


ヨミ:あのぉ~……


潤一:なんだよ、人がせっかく……

   ……えっ?


ヨミ:えっと、おはようございまーす……


潤一:……なに、は?

   ああ、まだ夢が続いてんのかな、これは。


ヨミ:いえ、全部、れっきとした現実です……


潤一:……待って、えーっと。

   とりあえず、整理させてくれ、情報が多過ぎる。

   まず、君は誰なの?


ヨミ:ヨミです、……元、死神の。


潤一:死神、ねえ……うん、まあ今はそれは良いや。

   ……で?

   俺も君も、飛び降り自殺の現場にいた……んだよね?


ヨミ:はい、間違い無く。


潤一:で、俺が君に話しかけてからの記憶が、一切無いんだけど。


ヨミ:えっと……今はちょっと没収されたので持ってないんですけど、

   愛用の鎌の、一番堅い所で、貴方の頭をガツーン! って、やっちゃいました……


潤一:ほう。

    それは、俺に何の恨みがあって?


ヨミ:あの、本当に恨みとかじゃなくて!

   ……その、つい、脊髄反射で……?


潤一:~~~~~~っ!!


ヨミ:いひゃいいひゃいいひゃい(痛い痛い痛い)!

   ほっへほんはひひっはっはらほれひゃうぅ(ほっぺそんなに引っ張ったら取れちゃうぅ)!!

   ほへんははい、ほへんははいいぃ(ごめんなさい、ごめんなさいいぃ)!!


潤一:……はぁ。

   じゃあ、あとは、あれだ。

   なんで君は、さも当然のように、俺の部屋にいるんだよ?


ヨミ:うううぅ……

   それは、その……不可抗力というやつで……ごにょごにょ……


潤一:もう一回抓るぞ。


ヨミ:ひぃっ!

   言います、言いますからぁ!!

   ……これが出来なきゃ、私は地獄送りにされてしまうんです。


潤一:これって、何を。


ヨミ:貴方の命日まで見守り、貴方が亡くなったその瞬間に、貴方の魂を即座に回収するのです。

​   つまり、貴方自身が、私にとっての特別試験内容なんです。


潤一:……特別試験とやらが、何なのかは知らんけど。

   つまり何、それまで君は、俺にずっと付き纏うのか?


ヨミ:はい。


潤一:死ぬまで?


ヨミ:はい!

   よろしくお願いします!


ショウ:………………


ヨミ:いひゃいいひゃいいひゃいいひゃいぃい(痛い痛い痛い痛いぃい)!!

   はんへ(なんで)!?

   ひょうひひひははひはひゃはいへふはぁ(正直に話したじゃないですかぁ)!!


ショウ:誰の許しを得て、そんなことにしてんだよ、断固お断りだ!

    帰れ、今すぐ帰れ!!


ヨミ:あぃたたたたたぁ……

   これは閻魔様がお決めになったことです!

   それに、私は地獄行きなんて嫌です!


ショウ:そんなそっちの身勝手な都合で納得出来るかぁ!!

リム:……あらあら……どうやら、彼は納得がいってないようね。

   まあ、無理もないけれど……


閻魔:死神の都合に付き合わせるのは悪いとは思いますが、これは彼女の勉強の為でもありますからね。

   申し訳無いですが、我慢してもらいましょう。


リム:今回ばかりは、100%彼のほうが正論ですね。


閻魔:いつでも私の言うことが正しい、というわけではないんですよ。


リム:……でも、度々訊くようで申し訳無いんですけど、本当にいいんですか?

   彼は……


閻魔:……彼はあの日、死ぬべき人では無かった、それが全てです。

   これはヨミの試練なのですから、口出し無用ですよ、リム。


リム:はい……

   やっぱり、閻魔様も性格が悪いわ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


潤一:……で?


ヨミ:へ?


潤一:君が俺に付き纏うのは、もういい。

   まっっっったく納得いかないけど分かった。

   それより、君は、他の人からはどうなの?

   やっぱり死神だから、俺にしか見えないとか?


ヨミ:見えますよ?


ショウ:……え、見えるの?


ヨミ:はい。

   見えますし、声も聞こえますし、触れます。

   あくまで死神は「元」であって、貴方の魂を回収する時までは、普通の人間ですから。

​   といっても、この肉体は、現世と存在の辻褄を合わせる為の、仮初の肉体だとか、なんとか……

​   ……えっと、正直、ちょっと私もよく分かってないんですけど。

潤一:ああ、そう……

   それはそれで余計にめんどくさいな……


ヨミ:どうしてですか?


潤一:色々あるんだよ、人間には。


ヨミ:……あ、そうだ!

   そんなことよりも、大事なお話が!


潤一:なんだよ。


ヨミ:お名前で、呼んでもいいですか。


潤一:名前?

   ……ああ、そうか、まだ教えてなかったっけ。


ヨミ:二ノ宮潤一さん、ですよね。


潤一:……なんで知ってんの?


ヨミ:リストに書いてありましたから。


潤一:リスト?


ヨミ:はい、死神のリストです。

   ほら、私が貴方に初めて見られた時に持ってた、アレですよ。


潤一:ああ、アレか……ふうん。

   ……で、君の名前はなんだっけ?


ヨミ:あ、はい!

   (姿勢を正し直し、咳払い)

   改めまして、元・死神のヨミと申します。

   不束者ですが、これからよろしくお願いします!


潤一:はぁ……うん。

   まあ、死ぬまでは本っ当に勘弁して欲しいけど、取り敢えず、よろしく。


ヨミ:はいっ!


潤一:(M)

   それから、ヨミとかいう死神は、俺の部屋に住み込んだ。

   朝起きてから大学へ行って、帰ってきて寝るまで本当に四六時中俺に付き纏い、

   人間の世界が物珍しいのか、見る物見る物に過剰なほど騒ぐ。

   ……ぶっちゃけ、めんどくさい。

   それでも、人間の慣れとは恐ろしいものだ。

   俺は次第に、これが当たり前なのだと感じ始めていた。


ヨミ:(M)

   私は内心、不思議でした。

   一人の人間を、命日まで見守り、死を迎え次第その魂を回収する事。

   ……なんで、そんなにも手間の掛かる事を?

   老い先短い人ならともかく、潤一さんはまだ、二十歳前後。

   普通に考えて、平均的な人生を送るのならば、あと半世紀近くは生きるはず……

   規則を破った私に課せられた試練なのだから、と、割り切ってはいたけれど、

   完璧主義の閻魔様にしては、あまりにも要領の悪い内容だなぁ……なんて、

   こっそり考え始めていたのです。

​   ……でも、来るべきその時が来るのは、本当に唐突で。

   それは、ほんの少し肌寒く、どんよりとした雲模様の日の事でした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


潤一:じゃ、ちょっと出掛けてくるから。


ヨミ:えっ、出掛けてくるってどこにですか!

   私も行きます!


潤一:コンビニにコピーとりに行くだけだよ。

   付いてきても面白い事なんて無いし、下手に彷徨き回られても面倒臭い。

   すぐ帰ってくるから、留守番でもしててくれ。


ヨミ:えーーーー……


潤一:……はぁ……分かったよ。

   なんか菓子でも買ってきてやる。

   だから、家で大人しくしてろ。


ヨミ:はーい。


潤一:いきなり聞き分けよくなりやがった。

   都合いいなあ、ったく……


ヨミ:行ってらっしゃーい!

   ……って送り出したはいいけど、何してようかなぁ……。


リム:……ヨミ?


ヨミ:へっ!?

   リリリリリリ、リムさん!?

   どっから、ていうか、いつからそこにっ!?


リム:今来たばっかりよ。

   それより、彼の姿が見えないようだけど……


ヨミ:え?

   ああ、潤一さんなら、少し出掛けてくるって……


リム:……それで、なんで貴女は此処にいるの?


ヨミ:え、いや、すぐに帰ってくるって言ってたから、良いかなって……


リム:はぁ……

   やっぱり、気付いてないのね。


ヨミ:え、何がですか?


リム:本当は、試験に口出しはしちゃいけなんだけど、特別ね。

   いいヨミ、よく考えて御覧なさい。

   貴女が彼の名前を知ってたのは、何故だったかしら?


ヨミ:……えっと、死神のリストに載ってた、から……?


リム:そう。

​   でも、最終試験の対象者は彼じゃなく、別の人間だったわよね?

​   じゃあどうして、彼の名前が死神のリストに載ってたのかしら。


ヨミ:……っ!!


リム:……気付いたみたいね。

   そして今日は、ひと月の終わりの日。

   あとは言わなくても、


ヨミ:行ってきます!!


リム:……はい、行ってらっしゃい。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ヨミ:潤一さん!!


潤一:んなっ、ヨミ?


ヨミ:……潤一さん……無事だった、良かったぁ……


潤一:はあ?

   お前何言って……っていうか、なんで来たんだよ?

   大人しく留守番してろって言っただろ。


ヨミ:それはっ……

   えっと、そのぉ……なんとなく……?


潤一:……わけ分かんねぇ。

   菓子買ったけど、ヨミの分は無しだな。


ヨミ:ぇえ、そんなぁ!


潤一:さっさと帰るぞ。

   その様子じゃどうせ、家の鍵締めてないだろ。


ヨミ:あっ、ちょっと潤一さん、待って、

   !!!

   潤一さん、危ないっ!!


潤一:はっ?

   ……っ!!?


潤一:(M)

   ……全ては一瞬だった。

   俺は確かに、信号が青に変わったことを確認して、足を進めた。

   にも関わらず、減速する様子も無い一台のトラックが、俺へと突っ込んできた。

   そして、そいつに俺が轢かれる刹那。

   ヨミは俺を突き飛ばし、トラックはヨミを撥ね飛ばした。

   今さっきまで目の前にいた少女は、自身の重さの数百倍はあろう鉄の箱によって、

   まるで放り投げられた人形の如く、十数メートル先の道端まで、不自然な姿勢で宙を舞った。

   そして、野次馬の悲鳴、騒めき、遅すぎる急ブレーキ音が混沌と入り混じる中で、

   俺は呆気無い程に容易く虫の息と化した、ヨミの傍らに居た。


ヨミ:……潤一、さ……ご無事で……


ショウ:……ヨミ……なんで、だよ……

    なんで、こんなバカなこと……!?


ヨミ:えへへへ……っ……なんで、でしょうね……


潤一:……お前は、俺の最期が来るまで……ずっと付き纏うんじゃなかったのかよ……?

   逆に俺がお前の最期を見届けるだなんて、何だよこれ、何なんだよそれ!

   何の冗談にもなってねえ!

   何も笑えねえよ……なあ、ヨミ!!


ヨミ:……ぁは、……ですよ、ね……

   …………ごめん……なさ……ぃ。

   ………………


潤一:…………ヨミ?

   おい、ヨミ……ヨミ、おい!!


閻魔:……二ノ宮潤一、19歳。


   死亡時刻、10月31日土曜日、午後2時31分53秒。


   死因、信号無視をした運搬用大型トラックに轢かれ、全身打撲及び大量出血により即死。


潤一:っ!?


閻魔:……と、なるはずだったんですが。

   よもやこのような事態になってしまうとは……


リム:だから言ったじゃありませんか。

   ヨミみたいな子には、無茶な注文だったんですよ……可哀想に。


潤一:……誰だよ、あんたら……?


閻魔:ああ、失礼、申し遅れました。

   私は世間一般で言われているところの、閻魔を務めている者です。

   私が人間に認知される訳にはいかないので、今この場の時間は止めさせて頂いてますが。

   で、こちらが私の秘書、兼死神のリム。


リム:よろしくお願いしますね。


潤一:………………


リム:……信じられていないようですよ、当たり前ですけど。


閻魔:ふむ……それは困りましたね。

   そこを信じて貰えないことには、話を進められないんですが……


潤一:……閻魔とやらが、何の用だよ?

   俺を散々変な目に遭わせといて、ヨミに目の前で死なれて……まだ何かあるってのか。


閻魔:貴方を巻き込んだ件に関しては、申し訳無いとしか言い様がありません。

   ……ただ、今は貴方の処遇をどうするべきか。

   不測に不測の事態が重なってしまいまして、非常に悩ましいのです。


潤一:……どういう事だよ、それ?


リム:まずは、結論から単刀直入に言うわね。

   本来、今そこでそうやって死んでいるのは貴方だったはずなのよ。


潤一:……は?


リム:私達死神は、一ヶ月の間にどこで誰がどのように死ぬか、というのが明記されている、

   月ごとの死亡予定者リストっていう物を持ち歩いてるの。

   ヨミと貴方が出逢った日、貴方が出くわした飛び降り自殺した男性も勿論載ってるし、

   貴方の名前も、今月のリストに載ってるのよ。


ショウ:なっ、それって……!?


リム:そして、今日は月の最終日。

   今月のリストに載ってるのにも関わらず、今日まで貴方は死ななかった。

   それはつまり、逆に言えば、今日が貴方の命日だったって事よね。

   ……そして、さっき閻魔様が言った通り、死亡時刻はちょうど今。

   死因は見ての通り、赤の他人の不慮が招いた、不運な事故死。


閻魔:そう。

   本来ならば先ほどのトラックに轢殺されているのは貴方で、

   ヨミにはその後、貴方の魂を回収してもらう。そういう予定だったんですが……

   あろうことか、ヨミが身を挺して貴方を守ってしまった。


潤一:……随分、不服そうな物言いだな。

   まるで俺には今、生きて貰ってちゃ困るみたいに。


リム:あら、その通りよ?


潤一:っ!


リム:命日より前に死なれるのも困るけど、命日よりも長く生きられるのはもっと困るのよ。

   また命日の設定をし直さないといけないし、それだけでもとんでもない手間だから。

   それこそ、本当に特殊なケースでもない限りね。

   私達だって暇じゃないんだから。


潤一:…………っ。


閻魔:リム。

   ストレスが溜まってるからって、無闇に八つ当たりなんてするものではありませんよ。

​   今回ばかりは、こちらに全面的に非があります。


リム:……すみません。


閻魔:さて、二ノ宮潤一さん。

   まあ、表現こそ悪かったですが、こちらのおおよその事情は、今聞いてもらった通り。

   貴方は一度、ヨミの突飛な行動によって、命日より前に死んでいます。

​   ……正確には、死ぬほどの目に遭ったのを、無理矢理無かった事にしたんですが。

   そして今、ヨミの勝手な行動によって、今日の今この瞬間が命日であるにも関わらず、生きています。

   流石に、ここまで命の予定を狂わされたのは初めてなので、

   さて、どうしたものか……

潤一:…………


閻魔:……ああ、そうそう、その前に。

   先に一つ、安心させて差し上げましょう。

   死神に生死の概念はありませんから、ヨミは厳密に言えば死んではいません。

   こちらにも色々規則がありますので、あくまで厳密に言えば、としか言えませんが。


潤一:……そっか。


閻魔:貴方にはこれまで、こちらの不手際や勝手な都合で、多大な迷惑をかけているのも事実です。

   なので、今回は私の独断ではありますが、特別に貴方の残りの寿命を、自由に決めさせて差し上げましょう。


リム:えっ……良いんですか?

   それではあまりにも、後々の処理が……


閻魔:良いんですよ。

   かなり強引な手段ではありますが、そっちのほうがルール的にも、丸く収まります。

   ああ、でも、100年だの200年だの、非現実的な数字は無理ですからね。

   ……さあ、どうなさいますか?

潤一:……いらねえよ、そんなの。


閻魔:……と、言いますと?


潤一:余計に生きられたんじゃ、あんたらが困るんだろ?

   それに、ヨミが居なかったら、俺はもう、今頃ここで死んでるはずなんだろ?

   だったら、閻魔様にまで気を遣って貰ってまで生きようなんて思わない。


リム:……思ったよりも謙虚というか、素直なのね。

   普通なら、是が非でも長く生きたいって言うのに。


潤一:……その代わり、だ。

   俺の魂は持って行ってもらって構わない。

   その代わり、ヨミを、人間として生まれ変わらせてやってくれないか。


閻魔:……それは、どういう風の吹き回しですか?


潤一:あんたらも薄々思ってたろ、人間の俺にだって分かったさ。

   ……ヨミは、死神になんて仕事には向いてない、って。

   死神の世界でどうだったかなんて俺は知らないけど、

   人間の世界で生きてたヨミは、心底楽しそうで、馬鹿みたいに明るくて……

   死んでるみたいに生きてる下手な人間なんかより、よっぽど生き生きしてた。

   ……どのみち、二人の口振り的に、ヨミはもう、死神としては失格なんだろ。

   だったらいっそ、俺に免じて……俺の分まで、人間としてもう一度、生かしてやってくれないか。


閻魔:………………


リム:……どうされますか?

   ここまで来たら、あとはもう、私が挟める口はありませんが。

閻魔:言うまでも無い事ですが、一生の長さに関わらず、命の価値は皆平等です。

   しかし、同じものではない以上、代替する事など出来ません。

   これは我々のルール云々ではなく、自然の摂理ですから、私でも覆すことは不可能です。


潤一:……そうだよな。

   分かってる、それが正論だよ。


閻魔:ですから、貴方のご要望にそのままお応えする事は、申し訳ありませんが出来ません。

   ……しかし、私なりの代案があります。

   それで納得されるかどうかは、分かりませんが。


潤一:いいさ。

   今のこの最悪な結果が変わるんだったら、何だって。


閻魔:では、そのように。

   ……おっと、少々時間を長く止め過ぎましたね。

   ひとまず、この世界を本来の時間軸まで戻しますので、また後ほど、お会いしましょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


潤一:……っ……?

   ここは……俺の、家……?

   ……なんだよ、俺だけが、そのまんま生きてるのかよ……

   はは……結局、たかが人間一人の願いなんていちいち聞いてられない……って事か。

​   ……なんでだよ……ヨミ……


ヨミ:たっだいま戻りましたぁー!


潤一:……っ!?

   ……ぇ……ヨミ、なんで……!?


ヨミ:えっ、どうかされました?


潤一:え、いやだって、お前……さっき、俺の代わりに車に撥ねられて……

   ……その、死んだんじゃ……?


ヨミ:な、なんですかそれ!?

   ひどいです、勝手に殺さないでくださいよぉ!

   確かに留守番中に勝手に家を飛び出して、しかも迷子になってたのはごめんなさいですけど!


潤一:……ど、どうなってんだ……?


閻魔:これが、私なりの代案です。

   満足して頂けましたか?


潤一:……っ!

   なんだ、いたのかよ……

   満足もなにも、どうなってんだよ?

   一体何したんだ、あんた。


ヨミ:……そちらは……えっと、どなたですか?


潤一:……え、誰って……?


閻魔:……先程私は、こう申し上げましたね。

   死神には生死の概念が無い、と。

   死神とは、本来現世には存在し得ない、現世の魂のみを回収する者。

   確かにヨミは、あの時貴方を庇ってトラックに轢かれ、仮初の人間としては死にました。

   しかし、その死が現世に影響を与える事は、一切無いのです。

   その存在も、その概念すらもが、元より現世には存在していないのですからね。


潤一:で、でも……あの時はあそこに居たのは俺だけじゃない。

   周りの人達だって、しっかり事故の一部始終を見てたはずだろ?


リム:そう。

   あの場に居た人達の記憶には、「目の前で交通事故が起きた」という事実は確かにあるわ。

   でも、そこで犠牲になったのが誰で、どんな事故だったのかは、すっぽりと抜け落ちてる。

   ……事実とは即ち、其処に居た人間達の記憶の集合体。

   それを証明する手掛かりが無くなったから、事故があったという事実すら、曖昧になってるのよ。

   そしてそれは、程無くして、曖昧から無へとすり替わる。

潤一:……つまり?


閻魔:つまり、ヨミは現世で仮初の肉体として死に、その魂は死神としてのヨミへと返還された。

   そしてこの現世に於いて、「交通事故は無かった」という事になったんですよ。

​   現場には血痕一つ残っていませんし、トラックに残った衝突痕すら、いずれは消えて無くなります。


潤一:それじゃあ、今のヨミは。


リム:ただの人間。

   正確には、死神から転生した、ね。

   ……当の本人は、そんな事は一生、知る由も無いでしょうけど。

閻魔:ええ。

   ヨミ自身もまた、先ほどの一部始終の記憶も、死神だった頃の記憶も。

​   全て無くなっていますからね。


ヨミ:あのぉ~……さっきから何の話を……?


閻魔:……貴女は気にする必要の無い話ですよ、お嬢さん。

   どうぞ、二人で幸せにお過ごし下さい。


潤一:んなっ!?


ヨミ:べっ、べべべべべ別に私達そういう関係じゃあ……!


リム:うふふっ、初心なものね。

   それより、閻魔様。流石にそろそろ戻らないと。


閻魔:ああ、それもそうですね。

   ……ではご機嫌よう、二ノ宮潤一さん、ヨミさん。

   いずれ死んだ時は、またお会いしましょう。


ヨミ:……あ、消えちゃった……!


潤一:……ヨミ。


ヨミ:はい、どうし……

   っ!?

   ななな、な、どっ、どうしたんですかショウさん!?

   急に抱き着いてきたりして!

   病気か何かですかっ!?


潤一:……いや、悪い。

   でも何か今は、これくらいしか、俺が出来ることって無さそうだから。

   ……これからも、よろしくな。


ヨミ:え、ええ!?

   えっと、……はい!

   こちらこそ、よろしくお願いしますっ!


潤一:ああ。


潤一:(M)

   ……こうして、この一連の死神騒動は幕を閉じた。

​   後日、改めてあの事故現場へ足を運んでみたが、やはりあの閻魔とやらが言っていた通り、

   現場であるはずの場所には、その痕跡と思しき物は何一つ無く、

   またその噂の影すら、全くありはしなかった。

​   どうやら本当に、世界そのものが、あの出来事を忘れ去ってしまったのだろう。

​   ……それで良いんだ。

​   俺だけが覚えている。

   俺だけが、忘れない……それで良い。

​   ……そして、肝心のヨミはと言うと。

​   今は成り行きで俺と同棲しており、人間の生活を謳歌している。

​   これまでの記憶を全て無くしているはずなのに、まるで不安そうな様子も無く。

​   そんな彼女とこれから生きていけば、下らないと思っていた、

   何の変哲も無い日々の素晴らしさという物も、いつかは分かる日が来るのだろう。

   ……根拠なんて物は無いが、そんな気がする。

ヨミ:(M)

   数日後、私達の元に、一つの大きな荷物が届きました。

​   差出人も書かれていない謎の荷箱に入っていたのは私の身の丈程もある大きな……鎌?

​   と、何故か私の名前が刺繍された、一着のマントのような真っ黒の装束。

​   てっきり潤一さんの悪戯かと思いましたが、俺は知らない、やってないの一点張り。

​   けれど、そう否定する彼の表情は、何故かとても朗らかでした。

​   ……でも、私もこれらには覚えも無いのに、何故だかとても大事な物で、

   絶対に無くしてはいけない物のような気がして。

​   今でも大切に、部屋の片隅で保管されています。

​   それと、もう一つ。

   私はこの荷物が届いた時から時々、不思議な夢を見るのです。

​   知らないはずなのにとても懐かしい、知らないはずの世界にいる、そんな不思議な人達の夢を。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


閻魔:リム。


リム:はい?


閻魔:……私達も、考え方を改めなければいけませんね。

   知らず知らずのうちに、大切な命の管理を、事務的にしか見れなくなっていた。

   もっと柔軟な考え方が出来るようにならなければ。

   あと、特別試験は、これを機に廃止にしてしまいましょう。

   いくら死神であろうとも、長く共に過ごした相手に情を抱くな、と言うのは、あまりにも酷な話だ。


リム:あらあら、そんな一面もあったんですね。

   閻魔様ともあろう方が、人間に感化されてしまったんですか?

   そんな事ばかり考えていては、ただでさえ忙しいのに雑務が増えてしまいますよ?


閻魔:はは、これは手厳しい。


リム:さあ、早く帰って、私達は私達の仕事をしましょう。

   あの二人に構っていた分、今日こなさなきゃいけない仕事は山積みですよ。


閻魔:少しは私達の仕事が減る日々が、早く来れば良いんですがねえ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━