2026.5.16
メンタルよりも...
2026.5.16
メンタルよりも...
(後ろはサーキット場)
今週は通常よりも地味練に時間を割いてきました。ということで私も息子につられて横で地味に練習する1週間。ゴルフを始めてから遊びと地味練ばかりですけど、コースにいる時間が長いのでその反動としてコースに行かなくなる日が極端に増える週や月があります。
引き続き本日、会長のところで地味練。バンカーでショット練習をする。なかなか息子がバンカーから出てこない。日焼け止めをバッチリ塗り、サングラスをかけ、ハットをかぶる。まるでここはリゾート。会長のところにはヤシの木があるのでなおさら。
午後はサクッとラウンド。場所は国際レディースゴルフ倶楽部。久しぶりに。親子ストローク対決で、なんと息子と引き分ける。ショットもアプローチも冴え渡る。ドライバーは全部フェアウェイ。アイアンはキレッキレでバーディチャンスに何度もつける。今週は月火以外、フルショットしていないのに。これは地味練の効果だ、とは言えないか... 今日も父はラウンドまで一球もフルショットしていない。グリーンが遅めで芝目もあり親子でパッティングには苦労しましたけど、イライラは鳴りを潜める。
なぜか。最近、息子にメンタルコーチの本を読ませているのも大きい。技術やスコアはさておき、メンタルは相当強い息子@ゴルフ。親バカですけど、特に試合ではプロゴルファーよりも精神的な安定があるのではと勘違いしてしまうレベルにおります。生活がかかっていないのだから当たり前か... ただ、静けさと言いますか、動じないと言いますか、失敗を機会と捉えていると言いますか。海外の試合でも明らかに秀でいると感じる。初戦となった未就学児の頃からそれは変わらない。父とは正反対。
で、なんでこうなったのかを考えると、生まれつきのものがおそらく9割(性格)、そして残る1割はゴルフ道に関する本を私がかつて貪るように読みそのエッセンスを息子に叩き込んだからだと考えています。4歳児に。
そのエッセンスを頭の中に詰め込んだものの父の方はすっかり忘れてしまいまして、試合でも親子ラウンドでもキレまくっている。ただ、昨年のスコットランドでの試合で、息子が職人芸に如く淡々と、そして静けさとゆったりとした佇まいでラウンドする姿に感銘を受けて、それ以来、キレる父の姿がほぼ消えました(注: ラウンドのみ。地味練も日常生活も除く)。
息子も9歳になりましたので、私の言葉に変換せずにそのまま原文で伝えようと、息子に読み聞かせしているというわけです。まるで絵本の読み聞かせ。
ゴルフのメンタル本で一冊、あげて、と言われたら悩みます。かつてここで取り上げた『Golf is Not a Game of Perfect』。Rory McIlroyプロのマスターズ制覇を支えたBob Rotella氏の著作。他にも、ゾーンやイップス、どうゴルフに向き合うのかなど、名作はある。ただ一流プロのすぐ側で時間を共にし、やりとりを重ねて昇華した知見をまとめたものとなると、数は限られます。
息子に読み聞かせて反応が良かったのはこちらの本です。
『Golf Flow』*1
書き手はGio Valiante 氏。Justin RoseプロやMatt Kucharプロなどをサポートし、特にプロ転向後なかなか勝利が来なかったJustin Roseプロについては、PGA初優勝を支えた経験を持っておられる。日本語版のタイトルは『フローゴルフへの道』。息子は "プロ" ゴルフへの道、と読み間違えた可能性大。
ゴルフを息子と始めてから、いやゴルフ中継を見始めた時(30年ぐらい前)から生じていた疑問。同じゴルファーが、ピン位置や気象条件は違えど同じコースでプレーしているのに、前日と比べて10打ぐらい差がついてしまう時がある。1日で技術が落ちたわけでもない(or 技術が上がったわけでもない)のに、なんで?、と。ちょっとした感覚のズレとか、リズム・テンポとか、色々とあるのでしょうけど、ゴルフをしたことのない当時の私からしたら謎だらけ。日々練習を重ねて、再度同じコースに戻ってきてプレーしているのに、数年前のスコアを破れないとか。それがゴルフでしょ、と言ってしまえば謎にはならないんですけど、メンタルだけでは説明できないでしょ、とも思っていた。技術が足らないだけ? 基礎基本がしっかりしていないから?
フローという概念は専門ではないけど興味があって大学生のときに周辺の論文も読んだし、さらに大学院では自分なりに突っ込んで理解してきたつもり。その上で、本書の議論に触れると、正直混乱してしまう。おそらく今でもゴルフの世界の奥底まで到達していないので理解が及んでいないのだと思う。ただ、日々の心構えや、親としてジュニアゴルファーにどう接していけばいいのか、そのヒントをもらうことはできる。
本書では、試合で経験したことで失敗なんてひとつもなく、それを自分を高める上での機会として捉えることの重要性を語られておられるのですが、文字通りとれば、経験値があがる、Tiger Woodsプロもそうだったのだからジュニア時代から試合に出まくることがキーだとふと思う一方で、私的にはそれはフローを機能させる上で有効ではないと感じてしまう。
「フローに入るためには、自ら意欲的に取り組む姿勢が要求される。つまり、そもそもなぜそうしようとしているのかという、行動の根源的な意味づけが必要なのだ(翻訳書, p.122)」
悩めるJustin Roseプロ。Gio Valiante 氏が指導をし始めた際に投げかけた質問。「なぜ君はゴルフをするんだい」。その問いに答えられないJustin Roseプロ。同じ質問をちゃんと息子にしたことはありません。どう答えるのだろうか。怖くて聞けない面もある。私の中では、その怖さと幼少期に試合に出まくることがリンクしている。そして我が家においては、息子が試合に出ることは自らの意思ではなく、わたくし父が主導している。息子が、出たい!、とは言ってても、自分を高めるための場としてはおそらく捉えていない。さらに、Gio Valiante 氏が熟達志向ゴルファーと対置するエゴ志向ゴルファー。幼少期から出まくっていたら相当な条件付けをさせてあげないと後者になりやすいと私は思う。スコア、勝利、数字、他者、親からのプレッシャーに賛辞にネガティブ発言。
ちなみに本書で息子が一番反応したのがこの部分です。
「ゴルフとは周囲の状況ではなく、コースに対して真摯に向き合って初めて、良いプレーができるものである。だからこそゴルファーは自分なりのプレースタイルを確立し、どんな状況でもそれをやり遂げようとしなければならない(翻訳書, p.217)」
で、二番目に反応したのが次になります。
「たとえば、一度に1000球を打つ練習をするとしよう。その際、何も考えずにただ機械的に打ったとしたら、確かにスイング動作は身につくかもしれないが、同時に集中力のないままボールを打つという悪しき心の習慣も定着することになる。つまり、いい加減な気持ちで練習すれば、そのいい加減さも習慣になるのである。多くのトッププロたちが、練習に多くの時間をかけることは事実だが、彼らはそれを決して機械的にではなく、高いモチベーションと集中を伴って行なっていることを忘れてはならない(翻訳書, p.294)」。
息子におきましては、それを忘れずに明日からも練習に励んでいただきたい。メンタルと基礎基本。自動化(注: これがイップスの元にもなるというは本書では詳しく触れていない)。
で、息子が反芻しているのが次の言葉。
「真のコントロールを得たければ、コントロールを手放せ(翻訳書,p.83)」
このパラドックスを息子は本当に理解できているんだろうか。言葉の流れが息子にとっては心地よいのか。わたくし父におきましては、親と子の関係としても当てはまりそうなお言葉ですので、忘れずに明日からもゴルフライフを過ごしたいと思います。逆にも読めるわけでして。
*1 Valiante, Gio (2013), Golf Flow,Human Kinetics (白石豊訳,『フローゴルフへの道 The road to Flow Golf: 世界最高のメンタルコーチが明かすトッププロの秘密』,水王舎, 2014). はしがきは、なんとNick Faldoプロ。フローに入るためのツールのひとつとして、自信、をあげておられる。自信の源、そのひとつが "良質な練習"。本書で取り上げられているC(challenge) - S(skill) 一致。二つのレベルが一致しているとポジティブ感情が生まれやすい。幼少期(小学生)において試合に出まくれない背景のひとつにこれが私にはある。パープレーができないヤーデージは言わずもがな。ヤーデージが適正であっても数多くは出れない、息子の性格とC-S一致を踏まえると。理由はこれだけではないが、これもデカい。