佐郷谷美波さん
2022年11月26日、物見遊山企画第二弾として、舞踏家の佐郷谷美波さんをお招きし、身体表現ワークショップをおこないました。
舞踏とは、秋田市出身の舞踊家・土方巽(ひじかたたつみ)と大野一雄が創出した舞踊のジャ ンルです。旧名称を暗黒舞踏と言い、世界では butoh(ブトー)として日本の現代美術独自の 表現と評価されています。 今回は土方巽の著書『病める舞姫』の一節を手がかり に、日常とは異なる身体の感覚を探りました。
初めに全員の簡単な自己紹介を終えると…
佐郷谷さんが合図し、突然走り回ります。
「ちょっと、足元が、ぬかるんできた」
「背中になにか重いものが乗っている」
「ガラスの破片が落ちている」
「泥の水っぽさが、増してきた」
走ってからだが目を覚ましたところで、ぽつぽつと佐郷谷さんが具体的なイメージをつぶやき始めます。
からだが床に吸い寄せられ、溶けるように沈んでいきます。
次は、木になる基礎練習です。
からだを天と地、それぞれに引っ張る糸や、指先を走る電流を想像し、自身の腕の重みやからだを包む空気を確かめながら、ゆっくりとからだを使っていきます。
最後に「病める舞姫」の一節を音読。
―――「病める舞姫」は”暗黒舞踏の創始者による、シュルレアリスムとしての自叙伝。豊かな感性が屈曲と変節を重ねながら自らの肉体と同化していく様を、記憶の彼岸に佇んでいた舞台の感動とともに甦らせる。”(「病める舞姫」2011、白水社 紹介文より引用。)
音読されていく印象的な言語をからだにひとつずつ、インストールしていきます。
からだを使って思考してみることで、身体のもつ想像力に気付かされた気がします。
佐郷谷さん、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!
佐郷谷 美波(さごやみなみ)/ 舞踏家
千葉県生まれ。大学在学中、山本萌氏の独舞を観劇し舞踏の虜になる。 以降 2 年間、山本萌氏・白榊ケイ氏に師事。現在は会社員をする傍らイベ ント等に出没し舞う。虫・あるいは小さき生き物への憧れや、自身・ある いは誰かの子供時代の記憶や思い出・身体遊びを踊りの主軸テーマとする。
佐郷谷美波『身体表現ワークショップ「舞踏を使う」ー病める舞姫ー』
2022年11月26日(土)14:00 ~ 16:00
場所:秋田アトリオン 地下一階多目的ホール
企画:物見遊山
助成:秋田市地域づくり交付金
協力:秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科