TAKANE SHIBATA / 柴田 理音

継手靴

[ Sandal ]Cypress, Cedar, Ebony, Oak, White wood, Deer skin
日本は国土の7割を森が占める世界有数の森林国です。古くから木造建築が多く、木材を扱う技術に長けています。日本建築にある継手・仕口と呼ばれる、接着剤や釘を使わずに木と木を組み合わせる技法を参考に、サスティナビリティ(持続可能性)の高い作品を制作しました。木材は間伐材、革は害獣駆除された鹿革を使っています。
間伐材を建築材などに切り出す際、余分な部分が必ずできてしまいます。そういった端材を靴のソール部に使えないかと考えました。
継手は宮大工が継承してきた技術であり、複雑で精密です。また、主に大きな建築物に使われてきたため、靴とは違う負荷分散で設計されています。
継手の技術を応用した木の継ぎ方を考案しました。特殊な技術がなくても電動工具を使って量産することができます。
ソールを4部分に分けて継ぎました。木材毎の強度、重量、木目を考慮し、ヒールには硬く耐久性のある楢、土踏まずから後方は湿度に強く消臭効果もある桧など、適材適所に使うことで履き物としての完成度を高めました。パーツ毎に摩耗した際の交換も可能です。
素材は全て土に還るものです。地球温暖化などの気候変動が進み、世界規模で森林火災などが発生している今、自然のサイクルの一部となれる靴の提案です。