AKI SAITO / 齊藤 明希

Faceless

[ Clasp bag ]Split leather
「床革」は革を漉く際に出る副産物です。「吟(表面)」付きの革と比べられがちですが、異なった素材としての面白さがあります。通常の革なら縫い合わせでしか出せないような表面のデザインも、床革を使うと一枚でもそれが可能になります。「吟」がないからこそ、様々な「顔」を持たせることができる「床革」の魅力を探りました。
染色や、艶出し(とにかくいろいろな方法で磨いてみました)、毛羽立ちなどのテクスチャー実験、利用できる特性を探していきました。
何重にも色を重ねていき、べっ甲のような模様を染色で表現しました。
磨き方はパーツによって多少異なりますが、基本的には毛羽立ちを抑える液体を使用し、ガラスでなじませてから磨いていきます。
細かい模様はひとつひとつ穴あけをした型を粘着テープで作り、柔らかく保ちたい部分に被せながら磨いていきました。ハンドルの型や鞄の内側の芯材にも床革を使用しました。
革以外のパーツ:金具を差し込むために口金を加工しました。内装は2年間のバッグ制作の中で使用した生地のストックから今回スタイルに合ったものを選びました。